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ヘルスケアビジネス最前線!コンテスト同時開催 リクルートがサポート企業に

2016/03/18

経済産業省×厚生労働省 ヘルスケアビジネスコンテスト開催。
リクルートがサポーター企業に

経済産業省は、平成26年度からヘルスケア産業の創出・発展のために、健康寿命延伸産業創出推進事業(地域資源を活用するヘルスケアビジネス等)の実証支援を行ってきました。この成果発表を目的に、3月14日(月)「ヘルスケア産業の最前線 2016」が開催されました。4度目の開催となる今年度は、先進の事例紹介だけでなく、厚生労働省と共に新たなビジネス創造にチャレンジする企業を応援する「ジャパンヘルスケアビジネスコンテスト 2016」が開催され、株式会社リクルートホールディングスならびに株式会社リクルートライフスタイルがサポーター企業に名を連ねました。

プログラム
第1部 地域を支えるヘルスケアサービス事業者の事例紹介
第2部 平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業 成果報告会
第3部 ジャパンヘルスケアビジネスコンテスト2016

開会の挨拶は、おふたりから。
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おひとりは、経済産業省 商務情報政策局長 安藤久佳氏(写真左)。
「増え続ける医療費をどうやって適正化していくか。一人ひとりが、幸せな終末を迎えるには、どのような事業や地域の取り組みが必要で、国がそれをどのように支援していくかを一緒に考えさせていただきたい。この場で得た気づきをどれか一つでも持ち帰り、地域や職場で共有してもらい、日本の未来を考える契機にしていただけたら幸いです」と挨拶しました。

そして、厚生労働省 保険局長 唐澤剛氏。
「地域包括ケアとは最期まで安心して暮らせる地域をつくろうという取り組みですが、これがとても難しい。医療と介護の一体化が縦軸だとしたら、予防を含めた自己管理を周りが支援する枠組みという横軸のかけあわせが不可欠。ご紹介する事例を参考に、各地で取り組みを進めてほしい。さらなる支援をもって推進させていただきます」と挨拶しました。

そして、第1部がスタート。

第1部 地域を支えるヘルスケアサービス事業者の事例紹介
医療機関と連携し、安心・安全なヘルスケアサービスの提供および地域貢献を果たしている3つの事例が紹介されました。
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軽度認知機能低下(MCI)予防のための統合プログラムの開発と事業展開
株式会社ルネサンス 取締役常務執行役員 高崎尚樹氏
MCIの早期発見、進行予防に向け「運動・食事・睡眠」を統合したプログラムを開発。東京都豊島区・香川県三豊市で実証事業を行い、成果を得ることができたといいます。事業終了後の現在は、自治体からの事業受託や個人が参加費を支払うビジネスモデルにシフト。MCIの予防だけでなく、生活習慣病対策や高齢者用住宅などへの活用、地方創生事業、一億総活躍推進のコアプログラムとしての活用に至っているといいます。

地域の観光資源を活用した、楽しみながら効果につながる新しい保健指導
スマートライフ・ステイ
株式会社ベネフィットワン・ヘルスケア 取締役 河原章氏
糖尿病をはじめとする生活習慣病を患っている人の数は急増し、対応が急務となっています。しかし保健指導は「暗い・面倒・辛い」というイメージが定着しており、実施率も低迷している現状があります。これに対し、健康増進と観光を融合させた「楽しく・明るく・成果につながる」保健指導を提供するという事業。医師の監修のもと、地域の観光資源を活用した宿泊型の保健指導プログラムを開発し、糖尿病のリスク保有者を対象に効果検証を行ったといいます。

少額短期保健(ミニ保険)を活用したヘルスケアのインセンティブ
アイアル少額短期保健株式会社 代表取締役社長 安藤克行氏
未病予防医療の大切さを啓蒙することをコンセプトに、健康になればなるほど保険料が割引される医療保険を開発するという取り組み。少額短期保健(ミニ保険)の特性を生かし、企業や団体などの特定マーケットを主な対象に、毎年の健康状態に応じた保険料の割引(インセンティブ)によって保険加入者の健康管理意識を高めます。

各事例の発表に対する講評があった後、厚生労働省 保険局 保健課長 宮本直樹氏の挨拶で第1
部は閉会となりました。そしてランチ休憩をはさみ、第2部がスタート。

第2部 平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業 成果報告会
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はじめに経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課 課長補佐 梶川文博氏から、本事業の狙いと今年度の特徴、今後に向けてお話しがあり、そのうえで27件の委託事業の中から特徴的な6事業が紹介されました。
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健康経営に貢献するオフィス環境の調査事業
株式会社イトーキ・ソリューション開発統括部 Ud&Ecoソリューション開発チーム 高原良氏
疫学調査と事例調査を実施し、オフィス環境が健康経営におよぼす影響の関連性を明らかに。その結果をもとに「健康経営オフィス普及啓発委員会」にて、健康経営の視点からオフィス環境づくりに取り組む企業を社会的に評価する仕組みを検討したといいます。

成果報酬型ソーシャルインパクトボンド構築推進事業
福岡地域戦略推進協議会 事務局長 石丸修平氏
ソーシャルインパクトボンドのヘルスケア分野への導入に向け、認知症予防・重症化予防サービスの実証評価や検討委員会を設置するなど、基本的な考え方の整理を行ったといいます。最終的には、成果報酬によるサービスの質向上をはかりながら、自治体の健康投資促進と社会保障費の削減を目指します。

市民との共創による松本ヘルス・ラボ構築事業
特定非営利活動法人SCOP 経営統括 北村大治氏
企業向けのサービスとして、市民の商品企画への参加、市民へのニーズマーケティング調査など、ビジネス創出と健康づくりを同時に実現する「松本ヘルス・ラボ」を構築。持続的・自立的に運営するビジネスモデルを確立したといいます。
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ながさき介護周辺サービス創出推進事業
株式会社くまもと健康支援研究所 代表取締役 松尾洋氏
小規模自治体の地域包括ケアシステムに公的保健サービスを適用。民間遊休資源(旅館・ホテル・温泉施設・飲食店・商店街など)を拠点とする通いサービスを開発し、実証・効果検証・プロモーション戦略まで実施。さらに地域版協議会の設置、アクセラレータの育成、リビング・ラボ運用などビジネス創出の良環境づくりを行ったことに加え、県内の保健師・理学療法士の潜在有資格者を雇用し、サービス提供につなげたといいます。

オムニアプローチによる中小企業家族ぐるみ健康増進プロジェクト
株式会社サンキュードラッグ 経営企画室 植村陽嗣氏
ドラッグストアに健康データ取得環境を構築。検診受診率の向上や健康意識向上による行動変容からの生活習慣病等の早期発見・治療を促進するという取り組み。薬剤師や管理栄養士、登録販売者による健康アドバイスを通じた受診勧奨も実施したといいます。また、地域のメーカーや流通業者に健康データを含むマーケティング情報を提供し、健康増進関連商品の開発・改善、効果的な販促の仕組みを構築したといいます。

プチ湯治とヘルスケア 四万せんか
公益財団法人 群馬県観光物産国際協会 事務局長 上原克之氏
健康状態や生活習慣を省みる機会として、四万温泉という地域資源を活かした滞在型ヘルスルーリズムを開発。また専用の食事管理アプリやWebの健康管理ツール、管理栄養士のサポートを通じて取り組みの定常化をはかったとのこと。さらに地域の食材を活かした健康料理を地元の板前と研究し、地域にノウハウ提供するとともに観光客誘致につながる名物料理化をはかったといいます。

6つの事業が紹介されたあとは、休憩をはさみ第3部が開催に。

第3部<ジャパンヘルスケアビジネスコンテスト2016>
「動き始めた次世代のヘルスケア産業」というテーマのもと、事前にエントリーがあった54事業の中から5事業をファイナリストに選出。プレゼンテーションからの公開最終審査でグランプリが決定しました。グランプリの審査基準は、国家課題の解決に値する社会的なインパクトが期待できるものとされました。
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開催にあたり、主催者である経済産業省 商務情報政策局 商務情報政策統括調整官 吉本豊氏よりご挨拶がありました。
「早期発見・予防に向けて、いかにアクションを促すかが大切とされる中、データ根拠にもとづくサービスが求められています。そうした潮流がファイナリストの事業プランにも感じられ、多様なアイデアがあるけれど、いずれも新しいテクノロジーとビックデータという共通項が見られました」と傾向を語ったうえで、彼らが見立てた社会課題に対し「サポート企業をはじめ、オールジャパンで課題解決に臨みたい」と想いを語りました。

次いで審査員の紹介へ。
グリーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 天野雄介氏
トーマツベンチャーサポート株式会社 公認会計士 緒方憲太郎氏
特定非営利活動法人エティック エコシステムディベロップメントマネージャー 加勢雅善氏
インフォコム株式会社 デジタルヘルスコネクト代表 城野洋一氏
特定非営利活動法人 Startup Weekend ファシリテーター 田中圭氏
野村リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社 研究員 根岸奈津美氏
インキュベイトファンド 代表パートナー 和田圭祐氏
厚生労働省 保険局 保険課長 宮本直樹氏
経済産業省 商務情報政策局 商務情報政策統括調整官 吉本豊氏

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さらに、株式会社リクルートホールディングス、株式会社リクルートライフスタイルを含む15社のサポーター企業が紹介されました。自社のアセットを活用し、ファイナリストたちの事業プランをサポートする形となる中で、株式会社リクルートホールディングスはスタートアップ全般でのメンタリング、MTLwebへの掲載、コワーキングスペースの提供、RecStyle(体重記録アプリ)との連携機会の提供を提示しました。一方、株式会社リクルートライフスタイルはビューティ&ヘルスケア分野における調査結果や人脈の活用、助言など継続的な支援を提示しました。
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審査員とサポーター企業の紹介が終わったところで、いよいよファイナリストによる15分のプレゼンテーションに移りました。それぞれの事業プランに対し審査員が講評した後、サポーター企業が手持ちの札をあげる形でサポート意思を表明するという仕立てです。

ファイナリスト
糖尿病の方とも一緒に食べられるご馳走
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株式会社竹屋旅館 竹内佑騎氏
家族にひとりは糖尿病といわれる時代。食事制限よりも辛いのが、家族と同じものが食べられないという状況。本人だけでなく家族も辛いこの状況を解決したいという想いから開発されたのが、医学の技術と美味しさの技術を掛け合わせたレシピ。ホテルのフルコースと同じくらい、質と量の面から満足できるといいます。また、全国に配送できる「いとをかし」というお菓子も。開発の背景には、ホテル業と、サッカーチームの食事を提供してきた20年の実績があるといいます。レシピは誰もが使える大衆化を目指し、すでに多くの医療機関や食品メーカーとのタイアップが決まっているといいます。食事を喜びのコンテンツとして発信。糖尿病の患者を孤独にしない笑顔の食卓づくりを目指すといいます。

自宅で薬剤師に相談しながら薬を手に入れられるWEBサービス
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株式会社ミナカラ 喜納信也氏
アプリのカメラで処方箋を撮影し、届け先の住所を入力して送信すると、薬剤師が薬を調合し、自宅まで届けてくれるサービス。対面で服薬指導やアドバイスも実施。最短30分から当日内の配達、24時間365日のサポートで服薬後の不調などにも対応。また飲み忘れ防止のアラートや家族間で投薬情報を共有しての服薬支援サポート、薬剤師による残薬管理サポートも実装。一方で、薬剤師が在宅でも医療に貢献できる、現在非常稼働な薬剤師も活躍できる環境づくりを推進するといいます。薬局の医療現場とエンジニアリンに精通している強みを活かし、医療を身近で感動的なサービスにしたいといいます。

赤外線センサーを使用した無接触・無侵襲の体動検知装置を装備した医療機器・介護機器の製造販売
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株式会社イデアクエスト 坂本光広氏
日本と世界の少子高齢化が加速化する中、死亡事故の75%は居住空間で起きているといいます(そのうちプライバシー空間が50%)。このリスクを減らすためには、客観的な情報で異常を感知する仕組みがないと難しいとの考えから、無接触・無侵襲のセンサー技術を開発。人工知能を搭載した介護ロボットとあわせ、地域包括ケアにおけるデファクトプラットフォームを目指すといいます。認知症を患う人の起きあがり、徘徊や、もだえ、ふるえなど小さな動きも完治。また、介護人がスマホで動画を確認し、状況を把握したうえで対処に向かえる安心感が。また、その際にはモザイク画像を映し出すことでプライバシーの侵害も回避。海外からも支持され、すでに販売がスタートしているといいますが、将来的には地域包括ケアや医療福祉ネットワークのプラットフォームにしたいといいます。

高齢者と家族の関係を深める。“会話サービス”と“親史作成サービス”
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株式会社こころみ 神山晃男氏
すべての孤独と孤立をなくすをコンセプトに、コミュニケーションの提供で人と人をつなぐ究極の聴き上手、テクノロジー集団。提供するのは、ひとつが「つながりプラス」という会話型の見守りサービス。傾聴技術を要した担当スタッフが週2回電話で話し、詳細をメールでお子さんに報告するといいます。元気なだけでなく、どう元気か。どんな気持ちで暮らしているのか。お子さんには言えないことも話せるだけでなく、第三者との関わりが刺激となり、外の世界に対して積極的になる効果も。また、レポートの内容が親子の会話のきっかけにもつながるといいます。傾聴スキルは、心理学教授や精神科医、役者さんなどに監修してもらい、現在進行形でブラッシュアップしているとのこと。そしてもう一つのサービスが、「つながりプラス」から派生した「親のための自分史作成サービス」。雑誌風にしてお一人ずつの人生を編集するといいます。今後は、傾聴ノウハウの拡販や、会話データをもとにしたビジネスへの展開も。高齢者のクオリティオブライフの追求に加え、介護のために離職する人をゼロにしたいといいます。

遠隔診療・健康相談サービス ポケットドクター
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MRT株式会社 馬場稔正氏
リモートサポート技術により、離れた場所にいる医療専門家と、医療を必要としている人々をつなぐ遠隔診療(再診)・健康相談サービス。医師がすぐそばにいる安心を広めるとともに、自分の健康は自分で守り、いつまでも元気でいられる世界を目指すといいます。既存の通信システムをベースにすることで低価格が実現。医療機関には無料で提供し、次世代のプラットフォームを目指します。すでに東大の医師のうち3人に1人は登録しているという状況。より賛同者を増やし、世界の医師と一緒に子供たちの命を救いたいといいます。

ファイナリストのプレゼンテーションが終わったのち、グランプリが発表に。栄光を手にしたのは、MRT株式会社のポケットドクターでした。

リクルートホールディングスがサポートを表明したのは、株式会社竹屋旅館、株式会社ミナカラ。そしてライフスタイルは株式会社ミナカラ、MRT株式会社へのサポートを表明。具体的なサポート内容は、後日、話し合いのもとに決められるといいます。未来の日本を変革する良い出会いとなることを期待します。
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MTLweb編集部
まさに「ヘルスケア産業の最前線」。先進的な取り組みの数々が紹介された充実のプログラムでした。その中でも印象的だったのは、初開催の「ジャパンヘルスケアビジネスコンテスト 2016」でした。鋭い視点で社会課題をとらえた秀逸なアイデアばかり。そして、企業がサポートの意思表明をその場で行うという仕立ても刺激的でした。すでに保有しているアセットをベースにサポートしようとする企業もあれば、想いが先にたち、サポートのあり方は一緒に模索したいという企業もあり、オールジャパンで課題解決に臨もうとする強い意志が伝わってきました。今後の課題は、両者の強みをどうコネクトするか。思いもよらない共創が実現しそうで楽しみです。