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ドコイク?:
MTLを卒業して→舞い戻って。
時代時代の先端技術を投入し進化し続ける「ドコイク?」

川崎有亮
メディアテクノロジーラボ チーフアーキテクト

舩見高貴生
メディアテクノロジーラボ チーフエンジニア

MTLよりも歴史の長いプロジェクト。

初期ドコイク?のロゴと画面
初期ドコイク?のロゴと画面

【川崎】
 僕がリクルートに入社したのが2006年。ドコイク?はすでに走り出したプロジェクトでした。「女性向けモバイルメディア、近所のお店を気軽に探せるサービス」というコンセプトで。...というと気楽な感じがしますが、これ、1000万件という当時のリクルートで最大規模のデータベースになるんです。この規模の高速検索をできるエンジンが当時日本にはなくて、ヨーロッパで開発されたFASTの、日本の最初期のクライアントになりました。サーバも自前で揃え、50台ぐらい投入した。ブレードサーバをリクルートで最初に使ったのもドコイク?でした。こうした技術的なチャレンジがあって、2005年4月28日にベータ版をリリース。『「選んで検索」から「フリーワード検索へ」』リクルートの情報サービスを一歩前に進めることができたことも功績でした。ドコイク?以降、ホットペッパーやゼクシィのサイトにも検索窓がしっかりつくようになりましたから。

ドコイク?アドネットワーク
ユーザーが検索している「ジャンル」と「エリア」の情報をもとに最適な広告配信を行う、地域密着型のネット広告サービス。『ドコイク?アドネットワーク』

 こうして順調に走り出したかに見えたドコイク?が、MTLに持ち込まれたのは2007年のことです。MTL=インキュベーション機関ですから、すでに事業化した案件が持ち込まれるというのは何らか失敗があったということ(笑)。当時のドコイク?は、システム面はうまく機能していたけれど、ビジネスモデルが全く描けていなかったんです。ただ、2005年の開設当時にはなかった地域情報の口コミサイトがたくさん出てきていたのでアドネットワークの道を見いだすことができたんですね。ドコイク?が情報発信のハブになり、リクルート内外のさまざまなメディアにつなげていくと。これはなかなかうまくいって、今ではエリア連動型アドネットワークとしては日本最大級になっています。地域情報ポータルとして始まったものが、エリア連動のアドネットワークへ変化を遂げて、2009年にMTLを卒業。ここらへんがドコイク?の第2期ですね。

オープンソースとクラウドで、1000万件のデータベースを再構築。

店舗情報・お店情報の検索サイト『ドコイク?』
飲食店からATM、郵便局、駐車場、美容室まで1000万件以上の圧倒的な情報量から検索できる、地域情報検索サービス『ドコイク?』。

【舩見】
 卒業したはずのドコイク?が、2010年9月にMTLに戻ってきました。正直な感想は「なにウロウロしてんの?」と(笑)。ただ、今回の課題はビジネス面ではなく、技術に関することだったんですね。カットオーバーから4年が経ち、FASTを使わなくても、オープンソースでいい検索エンジンを作れる可能性が出てきた。同時に、スマートフォンの普及で緯度経度の情報がますます重要になっている。ドコイク?は地図が全面に出ているサイトですし「今いる場所から店までの地図を表示」といったことができるのも、緯度経度の情報がデータベースに入っているから。この情報がまた、重いんですが(笑)。川崎くんから相談を受けて、2010年の12月から検討をスタートしました。

 目をつけたのはsolrというオープンソースの全文検索エンジンでした。使われはじめていたが、僕らMTLの中では実績がなかった。「初めて取り組む技術は、自分たちで咀嚼しマスターする」ことを基本としているので、開発は僕ともう一人のエンジニアとで進めました。以前から緯度経度には興味があって、ジオ系のカンファレンスに顔を出したり、iPhoneの「FOOMOOホットペッパーアプリ」(今いる場所のそばで開いている店を探せる)を開発したりはしていた。そうしたつながりから得た情報も助けになりましたね。僕らエンジニアは社内に閉じていないで、あちこちいってタネを拾ってくることも大事だと思っています。緯度経度好きエンジニアの皆さんから得た情報、あと一冊買った本から得た知識で、1000万というハンパない件数のデータベースをsolrに移行することができました。検討開始から3ヶ月弱、2011年2月14日にカットオーバーしました。こういうのはオープンソースのエンジニアとしてはすごく痛快だし、正しい感じがしますね。

 

 もうひとつの挑戦がAmazonクラウドの活用でした。いちばん問題になったのは「どうしても距離が遠い。光の速度は超えられない。アメリカ往復で400ミリ秒かかってしまう」ってことだったんですよ。東京リージョンが2011年3月にできて、100ミリ秒以下で返せるようになったんですが、それまではアメリカかシンガポールに飛ばすしかなかった。400ミリ秒では遅すぎるので、solrの本体はシンガポールに置きながら、できるだけ東京でキャッシュして本当に必要なときだけ取りにいく仕組みをつくりました。それでも若干慣れない設定もあったのでレスポンスに10秒くらいかかることが1時間に数回...なんて時期もあったんですけど、こちらはJavaVMのメモリ設定を変更することで解決できました。東京に移行した時もおもしろかったですね。オープンの前日、Twitterに「オープンしました」とツイートされた瞬間に移したんです。完全に準備を整えておいて、まさにその瞬間に(笑)。

ドコイク?はエンジニアの砂場。時代時代のチャレンジを吸収して、大きくなっていく。

【川崎】
 オープンソースとクラウドの導入でドコイク?の運営コストは3分の1になり、最盛期50台近くあったサーバも10台以下に。月間約1億リクエスト、1分間に約2000リクエストを返しながら、検索速度はさらに向上。いずれまたMTLを巣立っていく日も来るかもしれません。ドコイク?ってMTLの他のプロジェクトとは成り立ちがかなり違いますが、歴代のエンジニアの、その時代時代ならではのチャレンジがつまっているところがおもしろいと思う。砂場感があるんですよね。フナミさんは「今はお店の情報のみだけれど、スマートフォンが普及したから、個人にひもづく足あと情報なんかも取り込んだらおもしろいよね」なんて言っていたりもする。コンテンツも、技術面も、まだまだ膨らむ可能性があるし、それをやれてしまうエンジニアがいるのがMTLですね。

卒業プロジェクトインタビュー

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