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「イノベーションが生まれる場 vol.1」
サイバーエージェント×リクルートトークセッション
-OPEN PAAK DAY#2レポート

2015/12/25

12月18日(金)。テクノロジーをベースにしたオープンイノベーションを支援する『TECH LAB PAAK』にてOPEN PAAK DAY #2が開催されました。
OPEN PAAK DAYは、TECH LAB PAAK会員の卒業成果発表イベント。
その様子を前後半に分けてお届けします。

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前半は、ゲストを招いてのトークセッション「イノベーションが生まれる場所」の様子をレポートします。
ゲストは株式会社サイバーエージェントの社内起業家と、リクルートホールディングスの新規事業『BRAINPORTAL』の プロダクトオーナー、そして『TECH LAB PAAK』のプロジェクト会員。セッションテーマは「イノベーションが生まれる場」。それぞれが身を置く環境や、現在に至るまでのプロセスで得た知見を三者三様に語りました。

トークセッション「イノベーションの生まれる場」

『TECH LAB PAAK』の所長であり、リクルートホールディングスで社内インキュベーションを行うMedia Technology Lab.(以下、MTL)室長の麻生氏と、株式会社サイバーエージェント子会社シロク代表取締役、サイバーエージェント内新規事業研究会(NABRA)の責任者でもある飯塚勇太氏をモデレーターにセッションがスタート!

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(左から、TECH LAB PAAK所長 麻生要一氏、株式会社シロク代表取締役 飯塚勇太氏)

スピーカーは、以下の3名。
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株式会社サイバーエージェント子会社
渋谷クリップクリエイト CEO 桑野俊一氏
 (写真左)
提供サービス:動画PR事業。YouTubeやゲームクリエイターとのコラボでクライアント商品やサービスをPRする。

TECH LAB PAAK第1期プロジェクト会員メンバー
Coaido株式会社 代表取締役 CEO 玄正慎氏
 (写真中)
提供サービス:心停止で失われる命を救うため、現場に迅速にAEDを届ける仕組みを提供する。

株式会社リクルートホールディングス
BRAIN PORTAL プロダクトオーナー 笠井一貴氏
 (写真右)
提供サービス:ハードウェアスタートアップと工場・専門家をマッチングするマーケットプレイス事業

セッションにあたり、まずは株式会社サイバーエージェントと株式会社リクルートホールディングスが行っている、新規事業を生む取り組みについて紹介がありました。

まずはリクルートホールディングスから。
「MTLではステージゲート方式のもと、現在、大小あわせて30個くらいの新規プロダクトを開発しています。社内ベンチャーですが、感覚的にはスタートアップ。次のステージにあがるにはKPIや組織体制といったマイルストーンをクリアすることが必要で、ベンチャーキャピタルから融資を得ているような感覚を心がけています。」と麻生氏が語りました。

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次に、マイクをとった飯塚氏から、サイバーエージェントの取り組みが3つ紹介されました。
「ひとつは、役員対抗の新規事業立案会議。社長藤田へのプレゼンで、その場で事業化が確定します。ふたつ目は事業規模に伴う昇格基準や、 降格・撤退基準を明確にすることで、事業成長を促進する当社独自の仕組みです。四半期ごとの営業利益をベースに、 事業フェーズを10段階に分けて管理をしています。それと、現場から新規事業を生む制度。社員が役員に自主プレゼンします。」と紹介されました。

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イノベーションを創発するための仕組みという目的は同じでありながらアプローチの違いが印象的です。
それぞれの取り組みが紹介された後には「ビジネスアイデアが生まれたきっかけ」「アイデアをどうやって育てたか」「イノベーションが生まれる場所」と大きく3つの観点でセッションが行われました。

ビジネスアイデアが生まれたきっかけ

麻生氏が個人的にも聞きたかったというのが、ビジネスアイデアが生まれたきっかけ。
三者三様の起点が語られました。

まずは笠井氏。「実は僕、新規事業提案制度に何度もエントリーしていたんです。社会と技術をつなぐことに興味があったものの、それをどうニーズに接続していいか見えなくて。考えているうちに、自分と同じように、やりたい気持ちがありながら手段がない人を応援するサービスを思いついたんです。」と語りました。

それを受けて麻生氏が「最初はぜんぜん違う事業だったんだよね。採用のポータルサイト」と投げかけると、笠井氏は「そうなんです。スタートアップにフォーカスした採用サイトでした」と。麻生氏が驚いたのは、製造業というキーワードがまったくなかったこと。大きくピボットした結果、いまがあると笠井氏は語りました。

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次にマイクが渡ったのは玄正氏。
自分はけっこう珍しいタイプと語るその真意は「多くのスタートアップは原体験をベースにしていると思うんですが、自分は違うんです。とにかく起業したいと思い、ハッカソンなどに参加していました。そのひとつで、20秒以内にアイデアを出すというワークがあり、その場でいちばん社会価値の高いことを考えた結果です。」と話すと、麻生氏はびっくり。「珍しいよね。サービスはなんでも良かった?」と訊ねると「最初はそうでした。でも、自分のアイデアを検証するためにネットでいろいろ調べていく中で、そこにある課題に触れました。これは改善しなければという思いが高まり、最終的には強く動機付けされ、自分ごとにできたんです。」と話しました。

そして桑野氏。
「Facebookで社長の藤田が事業責任者を募集したんです。」と話したのに対し、麻生氏は「それって、社内向けのグループみたいな感じですか?」と訊ねると、「いえ、社外の人も普通に見ることができるオープンな場です。」と驚きの返答。「それって、すごいですね!」と驚く麻生氏に対し、桑野氏はうなずきながら「経営の意思決定的なこともその場で決まる感じなんです。」と話すとともに「自分でやりたい人に手を挙げさせることを大事にしている会社です。」 と重ねました。

kuwano_msg_2【サイバーエージェント代表取締役の藤田氏と桑野氏の実際のやりとりの様子】

麻生氏は「もともと脚本を書いていたと聞きましたが、そういうのもあってエントリーした感じですか?」と訊ねると「そうですね。ただ、社外取締役に放送作家の鈴木おさむ氏が入っていますから、そんなこと言えませんけどね。」と笑いながら返しました。

アイデアをどうやって育てたか

次に語られたのは、アイデアをどうやって育てたか。

まずは、玄正氏。
「京都大とコラボしました。でも、思うようにいかなくて。はじめは心拍停止の現場に居合わせた一般の方に位置情報を発信してもらう構想だったんです。位置情報が正確じゃないといった問題が浮き上がり、それならば、と消防にフォーカスしましたが、情報をオープンにしてもらえなくて。」と語ると、「考えてみたら、そうだよね。」と麻生氏。「それで最終的に、消防向けのソリューションという形に着地しました。」と玄正氏。確かな技術はありながら、そのプロセスは決して平坦な道のりではなかったそうです。

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そして、桑野氏。
「地道な営業からスタートしました。動画に関しては、最初は自分たちでつくっていたんです。それがあまりにもクオリティが低くて。自分にはタレント性もないので、厳しいなあと。そこから、ユーチューバーとの共創にシフトしました。」と語ると、麻生氏が感心したように「営業といい、動画といい、まずは自分たちでやるという発想もすごいし、徹底的にやりこんだうえで確信を強めていく感じがすごいですね。」と。

それに対し桑野氏は「新規事業はグレーゾーンも多く、勝ち負けの基準も分からない。なので、なんでも愚直にやるのがいちばんと考えての判断でした。」と返しました。「そうはいっても、なかなかできることではないよね」と麻生氏。

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最後は笠井氏。
「先ほども触れましたが、最初はスタートアップを対象にした人材採用プラットホームでした。スタートアップはスピードが速く、再現性がなかったので、現在の形に。理想はスタートアップと工場を自動でマッチングする形ですが、Webだけでは工場の進め方と合わず、人力でやっています。」

これに対し麻生氏は「一つひとつ人力っていうのがすごいよね。いずれは、もともとやりたかったWebに?」と訊ねると、「少しずつWebに切り出せるところを増やしている状態です。」と笠井氏。大変ではあるけれど、工場の方とリアルに接することは貴重な経験と語りました。

イノベーションが生まれる場所

そして、セッションのメインテーマに。麻生氏が「三者三様のお話が聞けたうえで、いちばん気になる本題について聞かせてください。」と話を促しました。

マイクを握ったのは笠井氏。
「意思決定の連続で自信が持てないときに、先輩やメンター、MTLの人に聞いてもらい、大丈夫と背中を押してもらっていました。そういう人とのつながりが生まれる環境が大切だと思っています」と。
桑野氏もうなずきながら「同じタイミングで生まれた社内ベンチャーは、刺激しあえるライバルです。そういったプレッシャーをもらえる環境が必要と感じています。」と話してくれました。
さらに「役員が過去に似た事業を構想していたことがあるので、失敗したことや、いま思えば必要だったことを意識的に聞いています。」と重ねました。
麻生氏はこれを受けて「僕らが提供している『TECH LAB PAAK』はそういう場を目指しているので、たくさんの人に利用してほしい」と会場に語りかけました。

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実際に『TECH LAB PAAK』を利用している玄正氏は「社会起業家とのコミュニティが自分にとっては大きかったです。同じ起業家で自分より先のフェーズにいる人や、専門家、コンテストの審査員から情報や助言をもらい、答えを探してきました。『TECH LAB PAAK』のように、出会いに恵まれ、かつ家賃が発生しない場は理想だと感じます。」と答えました。

印象的だったのは「イノベーションが生まれる場」の問いに対し、誰もが人との関わりが生まれる場を挙げた点でした。
麻生氏が「その対象に基準があるのか」と重ねて訊ねると、意外にも三者から同じ答えがありました。それは、どんな人でも構わない、ということ。
たとえば個人の開業医など、まったく業態が異なる人の経営方針が参考になるというのです。それを受け、ますます確信を強めた感のある麻生氏。

「重ねていいますが、『TECH LAB PAAK』は、そうしたつながりを生む場。ここから世の中を変えるイノベーションを生みたい。」と述べ、セッションを結びました。

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■イノベーションが生まれる場 vol.2のおしらせ

vol.1は主に新規事業を作る側の目線で語られましたが、vol.2では、渋谷のイノベーションスペースで勤務する4人のコミュニティマネージャーを集めて、コミュニティを作る側からの目線で同じテーマ「イノベーションが生まれる場」についてディスカッションいたします。

日時:2016年2月19日(金)14:00~15:00 会場:東京都渋谷区神南1-20-9 6階(受付)内容: 「イノベーションが生まれる場所をつくるには?」-渋谷のコミュニティマネージャー4人が語る−

当日はPAAK1周年記念ということで、終日OPENしているので、ぜひ足を運んでみてくださいね!