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渋谷のコミュニティマネージャー4人が語る 「イノベーションが生まれる場のつくりかた」

2016/03/28

リクルートホールディングスがテクノロジーをベースにしたオープンイノベーションを支援する場として運営している『TECH LAB PAAK』(以下、PAAK)が1周年を迎えました。これを記念し、2月12日(金)THANKS PAAK DAYと題した1周年記念イベントが開催されました。

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プログラムは三部構成でしたが、本記事では、第2部のトークセッションをしっかりレポートします。

トークセッション『イノベーションが生まれる場のつくりかた』

ゲスト

「#Hive渋谷」SkylandVentures 岡山佳孝氏
「Roots」株式会社コロプラネクスト 緒方仁暁氏
「dots.」株式会社インテリジェンス 小沢宏美氏

モデレーター
「TECH LAB PAAK」株式会社リクルートホールディングス 岩本亜弓氏

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まずは、お一人ずつ運営するコミュニティについて紹介しました。

トップバッターは現在25歳1番若手の岡山氏。
「私たち#HiveShibuyaはSkyland Ventures, East Venturesという、ベンチャーキャピタル2社で運営するワーキングスペースです。若い人を応援したいという想いで、親和性のある渋谷という地を選びました。自由に往来できるスクランブル交差点であり、良い意味で雑多な雰囲気を目指しています」と挨拶しました。

次に小沢氏。
「エンジニアのためのイベント&コミュニティスペースdots.を運営しています。去年の夏にPAAKの向かいにオープンしたときは、リクルートさんに喧嘩を売っているようで、叱られないかとヒヤヒヤしましたが(笑)、このような場にお招きいただき嬉しいです」と話し、岩本氏も「そうそう、よく仲悪いんですか? って言われるけど、そんなことないですよね」と会場の笑いを誘いました。
さらに小沢氏は「イベントが主体、空き時間をコワーキングスペースに解放するスタイルで、ほぼ毎日なにかしらのイベントを開催しています。」と具体的な活動をご紹介くださいました。

そして緒方氏。「Rootsは学生起業家に特化した投資活動を目的に、コロプラが設立したコロプラネクストが運営するコミュニティです。学生向けのコワーキングスペースというコンセプトで運営しています。クローズドで、秘密基地といった趣です。といってもイベントをまったくやっていないわけではなく、月1、2回はミートアップなどのイベントを開催しています」

そして最後に岩本氏。「PAAKは会員制のコミュニティスペースで、世の中を良くするプロジェクトやプロダクトを応援しています。技術をもった若い才能を活かしていきたい。スタートアップだけでなく、社会活動家、研究者、いろんな方の交流を促すことでオープンイノベーションを生みたい」と意気込みを語りました。

それぞれのコミュニティの色

次のお題は、「運営している場の特徴は?」。

Rootsの緒方氏は「オフィスとして完全に解放している点でしょうか。投資先の主体性に任せる形で掃除などの管理業務にも関与していません。デスクをひとしま丸ごと渡し、ミーティングなども含めて自由に使ってもらっています。このスタイルにいきついた背景には、学生にとって居心地が良い場の探求がありました。放っておくと彼らはカフェなどで仕事をするようになるって、メンバーとのやりとりが遠隔になってしまう。そうじゃなくて、みんなで顔をあわせながらクリエイションしていける場を提供したいと思ったんです」と語りました。
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次いで#HiveShibuyaの岡山氏。大きくふたつの特徴をあげました。「ひとつは、歴史の集積です。スカイランドベンチャーズとイーストベンチャーズの2つのベンチャーキャピタルが母体ということで、全世界1300万ダウンロードを記録したトランスリミット社さんや、ネットショップを無料で簡単に作成できるBASEさんなどの成長し続けているベンチャーさんも、もともとこのオフィスで働かれていたり、一方で高校生の起業家などの新興のコミュニティがつながるのは#HiveShibuyaならでは。

そして、もうひとつは多様性。エンジニア、デザイナーといった職種的な多様性だけでなく、四葉のクローバーを集めて稼いでいる子、歴史に詳しくて普段から侍の服を着ている子など、変だけど、ある特定の領域に精通している”天才”が集まっているのが特徴です」と語りました。

そして、dots.の小沢氏。2つのコミュニティとはだいぶ異なります、と前置きし、「うちは大きなスペースがどん、とあります。250人くらい着席できるんですが、会員が毎日いるわけじゃないんです。エンジニアの勉強会サイトを運営する仕事を受けたのをきっかけに勉強会そのものを実施するようになり、さらに会場を探す手間を軽減するために、いつでも使えるスペースを自分たちで確保したことで現在に至るんです」と説明。この言葉に、ほかの3人は「それほど広いスペースなのに、イベント開催時以外のときに利用する人が少ないなんて!」と反応、さらに「利害がぶつからないから、コラボレーションできますね!」と盛り上がりました。

最後にPAAKの岩本氏。PAAKはそれぞれの中間に位置しているように思う、と前置きを上で、「PAAKは先程もお話したように、オープンイノベーションを目的にしたスペース。そのため、普段は会員制をとりながらも、2日に1回はイベントの実施もしています。半分イベント、半分は会員さんが耳を傾けながらもワーク、っていうスタイルはPAAKではよく見られる光景です(笑)。イベントは3種類、外部からの完全持ち込み・PAAKの共同開催・PAAK主催、に分かれるのですが、どのイベントもPAAKの会員さんにとって意味があることはもちろんですが、まだまだPAAKを知らない皆さんにもこの場を知ってもらって、この場で新しい気付きやコラボレーションが生まれることを目的に実施しています。」と話し、「このスペースは絶対イベントやりたくなりますよね〜」と他の3人も納得の様子でした。

なぜ今多くのコミュニティが渋谷に集まるのか

次のお題は『イノベーションを誘発するスペースが渋谷に増えている理由って?』。

PAAKに限らず、ゲストが運営するコミュニティがいずれも運営から1年前後ということで、渋谷でイノベーションを誘発するスペースが増えている理由について見解を述べていただきました。

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#HiveSibuyaの岡山氏は「世界的に見て、社会経験のない若者が手がけた会社がイノベーションを起こし、大きくなっている現状があります。これを受け、未来のために、若い人に積極的に投資する傾向が増えているのではないでしょうか。渋谷に集中しているのは交通の利便性もありますが、東京大学などの学生のコミュニティが近くに多いのもあると思います」と語りました。

これに共感したのがRootsの緒方氏。
さらにロケーションについては、こんな意見も。「本社に近いという理由では恵比寿というロケーションも候補にありました。でも、独立系のベンチャーキャピタルが渋谷に多いことがわかった。エコシステムができあがっているのに、そこと距離を置いてしまうのはもったいない。思い切って飛び込んでしまおうと判断したんです」と語りました。

PAAKの岩本氏も同じく「わかります、リクルートも本社は東京。渋谷と距離があるため、起業家にとっては自分たちと関係ない大手企業という見え方でした。これに対し、オープンイノベーションを推進するには自分たちが近づくことが大切と考えて動いたんです」と話しました。

一方で、独自の見解を見せたのがDots.の小沢氏。「うちは少し違って、エンジニアといえば渋谷。それ以上でもそれ以下でもなく、必然の立地なんです」と話してくれました。

コミュティをつくるうえで意識していること

次の質問に対し、最初に語ったのは、#HiveSibuyaの岡山氏。
「ゴミ捨て、メンバーの愚痴を聞く、外の人との交流を促進する。僕らは投資先のためになることをしないといけないけれど、できることってあまりないんですよね。なので、彼らが集中できる環境をつくることに注力しています。異常な環境下に置かれるスタートアップはストレスが多く、メンタルのアップダウンも激しい。その揺らぎを大前提とし、受け止めることを大切にしています。そして人を呼ぶ、100年つづく場にしたいと思っているので、より多くの人が集い、ここに来てよかったと思ってもらう体験を積み重ねてもらい、強い原体験が繋がり会うことを意識しています。」

この発言に「これまで共通する部分がなかったけれど、やっと共通する部分がありました!」と喜んだのがdots.の小沢氏。「私たちが開催する勉強会の目的はテクノロジーの推進に貢献し世の中を少しでもよくすること。イベントは一度で終わりますが、それだけで終わらず、訪れた人同士をつなぐことを大切にしています。そのための取り組みが部活。いま、エンジニア女子部を発足し、110名の部員が集まりました!情報を主とした全てのリソースの適材適所の関係性が生まれれば、それぞれが抱えている問題の解決にもつながるんじゃないかなと思っています」と語りました。

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そして、イノベーションを生む場に必要なのは“お母さん”のような存在という点で意見には、全員が一致。「コミュニティマネージャーはお母さん、WiFiの調子が悪い、部屋が暑い、寒い、そういったことに耳を傾けて居心地の良い場をつくります」、加えて、PAAKの岩本氏も、「まさに、おかん。若い人が多いから気になってしまう。会員で困っていたら、会員同士をつなげてみたりしますね。あとコミュニティマネージャー2人(※PAAKには岩本氏に加え、もう1名のコミュニティマネージャーが在籍)で特に意識していることは、外からのパワーをいかに会員につなげてあげられるか。彼らの調子から、なにがしたいか、どんなことを実現したいかを察して力を貸します。繋ぐっていう役割でしょうか。彼らは皆必死。本気でやっているからこそ、私自分達も本気でこのコミュニティに関わっている姿を見てもらうことも、大切な気がします。」と語りました。

それぞれのコミュニティの今後の展望

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最後になるこのお題にも、全員一致の意見があがりました。それは、イノベーションを一緒に盛り上げていきたいということ。最後になるこのお題には、全員一致の意見があがりました。それは、イノベーションを一緒に盛り上げていきたいということ。起業家たちには複数のコミュニティを往来し、そのときどきで使い分けているメンバーがいると述べたのち、そういった利用の仕方を推進したいと語りました。それぞれの利益を追求するだけではイノベーションは生まれない、よりオープンな空気をつくるために、自分たちも積極的につながりたい。渋谷、最高!の空気をつくり、それを地方にも展開したい!という意見で盛り上がりました。

さらに、そこに向けた具体的な活動としては、4人でコミュニティマネージャー部を発足させようというアイデアも飛び出し、今後のコラボレーションに大きな期待が集まる形でセッションは終了しました。

それぞれ特性がありながら、想いと志を持つ若者を応援し、日本を、世界を変えるイノベーションを起こそう!その目標のために、できることのすべてを実行しよう!という熱い気持ちが伝わってくるトークセッションでした。そして、このセッションをきっかけに、新たなコラボレーションが生まれる予感。渋谷がますます熱くなりそうですね!

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