News

IT Pro EXPO2016パネルディスカッション
「IoTが実現する未来」にMTL 室長麻生要一が登壇

2016/11/04

10月19日(水)~21日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて企業向けITソリューションの総合展示会『ITpro EXPO 2016』が開催されました。

日経BP社が主催する『ITpro EXPO 2016』には、クラウド、モバイル、ビッグデータ(アナリティクス)、ソーシャルなどIT技術を駆使した、モノ・人・組織をインターネット経由でつなぐIoT(Internet of Things)を始めとする“ビジネスのデジタル化”を促進させるITソリューションや、製品、サービスが一堂に会します。
また期間中は製品等の展示のほかにも、会場内でセミナーや講演が催され、クラウド、モバイル、IoTなどのテクノロジーの活用を進める企業や、研究者らが登壇し、多くの関心を集めています。

今回21日(金)に「IoTが実現する未来」と題して開催されたパネルディスカッションに、日経BPイノベーションICT研究所上席研究員・菊池隆裕氏がモデレーターのパネラーとして、SBドライブCTOの須山温人氏とリクルートホールディングス Media Technology Lab.(以下、MTL)室長の麻生要一が登壇しました。

itproexpo2016_1

麻生はMTLではIoTから地方創生まであらゆる新規事業を行っていると話し始め、今回はリクルートが取り組んでいるIoTの事例として「あいあい自動車」と「BRAIN PORTAL」を紹介しました。

itproexpo2016_2
「あいあい自動車」は、交通空白地と呼ばれる地域で、ITを使って乗り合いの事業を行っています。タブレット端末を使って、出かけたくても移動手段がないお年寄りと、登録ドライバーとをマッチングし、運営から提供された車で送り迎えを行うC to Cサービスです。
また「BRAIN PORTAL」というサービスでは、IoT向けの製造事業の手助けをしていると話します。
特に日本では、アイデアはあるがハードウェアをどうやって設計したらいいか、どこに発注したらいいかがわからない起業家が少なくないとのこと。そこでBRAIN PORTALでは国内外の工場を把握し、どのエリアのどの工場が何の製造工程に適しているか(強いか)を整理して、ハードウェアスタートアップとのマッチングサービスを行い、どこにいても一括でハードウェアの製造を発注することができるプラットフォームを提供していると紹介しました。

ここでモデレーターの菊池氏から、なぜリクルートは、このふたつの事業を始めたのか、また既存のリクルートの事業からもかけ離れた事業と感じるが、その理由について聞きたいという質問が出ました。

麻生は間髪入れずに、リクルートというと、メディア事業や、人材領域を生業としているイメージを持たれたる方も多いと思うが、個人的にリクルートはメディアでも人材派遣会社でもなく、社会課題を常にビジネスで解決する会社だという認識でいる、と話します。

itproexpo2016_3
世の中の課題、リクルートでは「不」と呼んでいますが、それを見つけ出し、ビジネスの力で解決していく会社だと。これまで確かに紙のメディアをやっていましたが、それはたまたま提供するソリューションが紙の時代であったからだと。
我々は紙の時代は紙で、ネットの時代はネットで、これからがIoTの時代になるのであればIoTでというように、常にソリューションやテクノロジーを時代とともに変化させながら、変わらず社会の「不」をビジネスで解決するために事業を立ち上げていきたいと、答えました。

続いて、SBドライブCTO須山温人氏の自己紹介へ。

SBドライブは車の自動運転に関する事業を行っていて、今年の4月に「ソフトバンク」と「先進モビリティ」という東京大学のベンチャーで自動運転の技術を持つ会社と立ち上げたジョイントベンチャーだと紹介しました。

itproexpo2016_4
また、SBドライブは事業として自動運転の技術を研究していく会社ではなく、自動運転が広まった時代に必要となるであろう通信・サービスを提供していく予定だそうです。通信は、母体であるソフトバンクはすでに通信事業を行っていることからわかりやすいと思いますが、ではサービスとはどんなことなのでしょうか?

自動運転というと、ほとんどの人が自動車の走行制御技術に注目しますが、実はそれだけでは自動運転の実用化は不可能とのこと。たとえばその車が本当に正しく走っているのかといった運行を管理するシステムや、どうやってその車をお客さんが呼び出すのか、また運賃の支払いをするための決済システムや、それ以外にも実用化のためにはいろいろなサービスが必要だと話します。
具体的には、すでに車内に人がいない状況の自動運転車を想定、最終的には、2020年以降にはタクシーのようにルートを決めずに走ることができる自動運転車の実用化を目指している、と展望を語りました。

菊池氏は、これらIoTがユーザーにもたらすインパクトについて、それぞれの立場からどうとらえているかもお二人にたずねました。

須山氏は、自動運転が実用化されると、高齢者など移動に困っている人たちが、もっと便利に、安全に移動できるようになる、また自動運転の車は検索機能も持ちうるとも話し、たとえば車に「お腹がすいた」といえばおすすめのお店に連れて行ってもらえるともっと面白くなるはず、と締めくくりました。

一方、麻生はユーザーインパクトとして、IoTを突き詰めていくと二つの未来が考えられると話し始めます。
一つ目はユーザーのストレスが劇的に減ること、二つ目はこれまでになかった市場が生まれるといいます。

itproexpo2016_5
その具体的な事例として、TECH LAB PAAKで支援しているスタートアップ企業のお話をしていただきました。
排泄検知シートを開発している「Lifilm」というサービスを紹介、このシートはIoTプロダクトで排泄を検知できるようになっています。介護者のストレスの1つに下の世話があり、特に認知症の方については排泄をしたかどうかもわからない場合もあるそうです。排泄したかを“開けずに”検知できるだけで、大幅にストレスが軽減されるといいます。
これはごく一例ではありますが、IoTが普及していくことで、多くの働く環境でストレスが改善されるだろうと話しました。

また二つ目の「これまでになかった市場が生まれる」という話は、先ほどの話につながりますが、あいあい自動車のようなサービスでお年寄りがでかけられるようになると、多くの方がでかけられることから広がってゆく次のサービスのビジネスアイデアが生まれる可能性が大きいはずと語ります。
IoTによって、何かできなかった人たちができるようになるというインパクトは、新しいサービス、産業が生まれるチャンスであると考えるほうが自然であると話し、パネルディスカッションは幕を閉じました。