News

高知大学と共催の『Local Innovation Program』開催!

2016/09/28

高知大学 地域協働学部須藤順研究室と株式会社リクルートホールディングスは8月6日(土)高知大学にて『Local Innovation Program』を共催しました。

高知県内キャンパスにて開催された、1日限りのこのプログラムは、2部構成で行われました。第1部ではインプットパートとして、高知大学とリクルートからそれぞれ1名が登壇しました。

最初に、高知大学 地域協働学部講師の須藤順氏より、本日の講義の目的をご説明いただきました。

「高知大学 地域協働学部の研究テーマである地域の社会課題の解決について、一大学が考えて実行するだけではなく、大学外とも連携を取りながら地域全体で進めていくことが大事であるという考えからこのプログラムの企画が始まりました。

日本は人口減少や、産業衰退の中で、生活スタイル、都市構造などが大きく変化し、イノベーションがこれまでよりも求められる時代になってきたといえます。

kochiuni_01

また、高知は地方における課題の宝庫であり、県を挙げて、「課題解決先進県」となるための取組を進めており、イノベーションを起こすには有効な場所、実験の場として使える環境であると考えられます。

さらに、「教科書には載っていない自ら創り出す学びの世界」を体現しやすい環境がすぐそこにあるため、地域の課題を解決するための「五感を活かした学び」ができます。
これらの学びは都会ではできないものであり、だからこそ地域で学ぶ意義、価値があります。

ではその中で、どうやってイノベーションを起こしていけばいいのでしょうか?

近頃では、多様なバックグランドを持った人が一緒に活動することによって、ユニークな価値が創造されるといわれています。

そこでローカルイノベーション(=地域におけるイノベーション)においては、もっとコミュニティをオープンにしていくこと、すなわち大学だけではなく、地域、行政、企業がともに連携し合いながら、それぞれの強みを活かし、イノベーションを起こしていくことが成功の鍵だと考えています。

この『Local Innovation Program』は、同じ思いのある人たちが一緒に何かに取り組んでいくことで、大きな価値を生み出せる、という考えのもと始まりました。

今日は固定観念やそれぞれの立場は横に置き、正解を見つけようとせず、少し振り切って物事を考えてみてほしいと思っています。とにかくプレイフルに、みんなで一緒に共創することを楽しんでください。」

 

続いて、リクルートホールディングスからも、Media Technology Lab.(以下、MTL)プロデューサー幸田泰尚氏より、ご挨拶およびMTLについてお話しさせていただきました。

「みなさんがよく知っているような、『ゼクシィ』や、『カーセンサー』といったリクルートの事業は、実は『NewRING』という、新規事業提案制度から生まれてきています。つまり、ボトムアップで生まれていて、今も多くの事業がこの『NewRING』から生まれ続けています。

 

昨今では、リクルート一社で取り組むより、行政・NPOなどの公共領域、あるいは他社など、リクルートが持っていない要素を持っている組織と一緒に取り組んだ方がより大きなインパクトを起こすことができるはず、という考えから、オープンイノベーションに主軸を置く戦略に変わってきています。

今日は、普段は聞くことがないようなアイデアが聞けることを楽しみにしています!」

またリクルートからは、MTLの『あいあい自動車』プロダクトオーナー金澤一行氏が登壇、事業化までのプロセスと、仮説検証方法の1つである「MVP」の作り方の実例をお話しさせていただきました。

「まず企業における製品の開発方法には、大きく分けて2通りあります。
一つは「マーケット・イン」と呼ばれる方法で、市場の「こんなものがほしいな」というカスタマーのニーズを企業が察知してモノを作る方法。
もう一つは「プロダクト・アウト」という方法で、「こんなすごいモノができた」という企業側の技術から誕生する製品を市場に出していく方法です。

kochiuni_02

リクルートも、「マーケット・イン」の手法で、新規事業、サービスを開発してきた会社です。マーケットを知って、柔軟に自分たちをマーケットに合わせて変えていく形で事業をしてきました。
ではマーケットのニーズとは、何なのでしょうか?

新たなニーズを創り出すのは非常に難しいですが、今、目に見えて困っているものがあればそれがニーズであるとリクルートは考えてきました。

『あいあい自動車』も、地域で困っている人がいる、きっとその中にはお金を払ってでも解決したい人がいるはず。その困っている課題を需要としてとらえることができれば、こんなに可能性のある事業開発はないと考え、生まれたものです。

『あいあい自動車』は、地域住民が共同所有する車を使って行う送迎サービスですが、このサービスを導入することで、移動に困っている高齢者と、車の維持費に困っている運転者の双方の問題が解決され、低コストの地域間移動の持続可能な仕組みができあがりました。

また、『あいあい自動車』は、「RECRUIT VENTURES」(リクルート分社後、リクルートホールディングスが実施する『NewRING』)を通して事業化されました。精度の高い検証を行い、市場規模が見込めると伝えることができ、審査員を説得できました。

ここで検証に用いたのが「MVP(Minimum Viable Product)」です。

MVPは、最小限の労力と時間で構築・計測・学習のループが回せる「製品」のことを指していますが、必ずしも「製品」である必要はなく、本当にそのビジネスがビジネスとして回るかどうかを、検証するために使われる最小限のポイントを押さえたモデルのことです。

ここからは、『あいあい自動車』がどんなMVPを使って検証をしたのかを簡単にご紹介します。

kochiuni_03

まず高齢者にとっては、安くて便利な移動手段が手に入ることが重要です。また運転者については、高齢者のために運転をしてあげれば、車がタダで使えるというメリットを設定しています。

『あいあい自動車』は、高齢者の支払うお金と運転者の労働力を交換する仕組みを想定し、ここにリクルートはシステムを導入して、双方をマッチングさせることを考えました。

ただし、この仕組みが本当に成り立つのかどうかがわからない段階で多額の開発費を投入してシステムを作るのは大きなリスクを内包しています。

さらに、営業許可のない事業者や個人が旅客自動車運送をすることは法律で禁じられていますので、コストとリスクを最小限に抑えて、検証をするにはどうしたらいいかを考えました。

そこでまずシステムは開発せず、コールセンターでマッチングを行うことにしました。

移動に困る高齢者からお金を取るのは、法的な手続きなしには認められないので、実験の段階ではお金を取らず、その代わりに車に乗っていただいた方には、いくらまでなら支払うかを聞き、記録しました。

結果運転者6名、高齢者15名が実験に協力してくださり、運転者6名中5名が高齢者の送迎に協力してくれました。また高齢者からの意見として、タクシー料金の4割程度までなら支払ってもいいと答えました。

この結果が大きな説得力となり、会社から事業に投資してもらえることになりました。

みなさんもぜひMVPという手法を活用し、最小限のリスクで、自身のアイデアの実現に活かしてみましょう。」

 

今回学生の方にはあらかじめ新規事業アイデアを考えてきてもらいましたが、そのアイデアが「本当にイケてるのかどう判断するのか」、「最も効果的な判断をしているか」をテーマにワークショップを進めました。

「「効果的な判断」とは、「コストに対する学びが最大であること」、とわたしは解釈しています。そのためには、効率的に仮説を検証して学びを得る必要があります。

有名な仮説検証の事例をいくつかご紹介しますが、お伝えしたいのは多様な検証の仕方があるということ。一番大切なことは、良質な仮説をたてて、いかに検証するかが、腕の見せどころです。」と最後に金澤氏から学生たちに伝え、第1部は終了しました。

第2部は、アウトプットパート。ワークショップで実践に入ります。

この日は学生が考えてきたアイデアの共有をしてもらった上で、MVPの設計をしてもらいました。

kochiuni_04

自分のプランをチームメンバーに共有し、チーム内で率直な意見を出し合いながら、ディスカッションを行い、ある程度形になったら、講師陣にフィードバックをもらい、検証事項を決め、仮説検証の設計を行いました。

今回は、最もシンプルで簡単な検証方法である顧客になりそうな人にインタビューを行い、検証しました。

今回は、高知の商店街に繰り出し、町の人にインタビューをしてもらいました。また、設定した課題を持っていそうな人に話を聞くことができるのであれば、電話インタビューやSNSを活用してのインタビューなど、他の方法でもOK。今回は、その方法を考えることもMVP検証の主旨なので、あらゆる手段で検証することになりました。

そして最後には、各チームのインタビューを行って検証内容を発表しました。

高知の地域では、青年団として同世代の集まりがあるのか、働きたい主婦の需要に対して実際に雇用先はあるのか、地域事業の課題解決・活性化の方法はないか、若者の減少・少子高齢化のささやかれるIターンUターンで帰ってくる人に対して地域コミュニティで感じる疎外感のようなものを払拭する場を作れないか、など、地域ならではのアイデアが多く飛び出しました。

kochiuni_05

アイデアの共有から、仮説の検証、そして発表まで、わずか数時間で行わなければならないワークショップは、具体的な新規事業の確立までは到底いかないまでも、参加した学生たちにとって、学びの多い時間になったのではないでしょうか。

この日得た学びをそのままにせず、足で稼いで得たカスタマーの声を実現するためにこれからも考え続けてもらえればと思います。

高知大学地域協働学部から新しい事業案の産声が聞こえてきたら、わたしたちにとってもこんなにうれしいことはありません。

これからRECRUIT VENTURESも、「地方創生」というテーマで、地域の課題を全力で解決しにいきます。

地域協働学部須藤順研究室とRECRUIT VENTURESの「地方創生」にご期待ください。

kochiuni_06