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月間520万PV!LIG流コンテンツマーケティングって? -須田允さん MARKETERS CAMP TOKYO vol.1

2017/03/13

マーケティング分野の第一線で活躍する方々をゲストにお招きして、毎回90分の講座を行うMARKETERS CAMP TOKYO。「未来のCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を目指すあなたに」という思いで始まった第1回目の講座が、2月12日に行われました。

第1回目のゲストは、株式会社LIGの経営企画室室長でWeb事業部のマネージャー、須田允さん。月間550万PVを誇るLIGブログについて、どうやってここまで成長させたのか、メディア設計や社内の編集部体制、記事の作り方など、人気の秘密を教えていただきました。その内容を、たっぷりとお伝えしていきます。

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株式会社LIGは、“Life is Good”の頭文字をとったもの。
「人生楽しくいこうよ」という信念を持って企業活動をされているIT企業です。代表の吉原さんは、年中いろいろなところへ旅する旅人なのだそう。そんな代表がいつも言っていることは、「LIGの企業活動で、全世界70億人のLifeをGoodにするんだ」ということ。

LIGの事業活動はWebの制作事業を始め、今回お話しいただくLIGブログの制作事業、ゲストハウス運営事業、教育事業、シェアハウス運営事業など多岐にわたります。そんなLIGに須田さんが入社されたのは、昨年の6月。もともと、新卒でIT系のベンチャー企業でメディア事業部門に所属し、求人等様々な媒体のマーケティングから営業チームを統括されていたのだそうです。

その後、アクセンチュアというアメリカのコンサルティング会社に入社し、2020年に開催されるビックイベントの戦略や、6兆円規模の売り上げを持つ企業の戦略・業務運用からシステム開発まで携わられてきたのだそう。LIGに入社されてからは、まずは3か月間ほどLIGブログ運用体制の立て直しに注力されたのだと言います。

一般的なコーポレートサイトは会社情報や、事業説明を載せているものですが、LIGのコーポレートサイトのトップページは、ブログ。
そのブログの中で、LIGの会社情報を発信したり、企業の広告をしたりしているという特殊な構造です。そんなLIGのコーポレートサイトは月間平均520万PV、ユーザー数にして月間240万の方が見ている人気サイトです。

 

LIGブログは広報活動であり、収益につながるコンテンツ

ここからは、いよいよ本題へ。
まずは、コンテンツマーケティングとは何かをお話しいただきました。
コンテンツマーケティングとは一般的に、認知〜興味〜購買〜ロイヤリティまでをコンテンツを用いて導くマーケティングのこと。

ペットボトルのお茶を商材の例にすると、まずはそのお茶のよさや他とは違うところを記事にして認知させる。それによって、購入してもらう。購入してくれたユーザーには限定でキャンペーンを行い、再度購入してもらいリピーターにつなげていくということ。
そのコンテンツマーケティングの種類は、大きく分けて主に3種類。

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1つ目は、検索型
LIGブログもこの種類のひとつで、4,000件ほどある記事への流入はほとんどが検索エンジンからなのだそうです。

2つ目は、ブランド型
そのWebサイト自体にブランド力があり、ユーザーが最初からそのサイトにアクセスして、コンテンツを見るというもの。ゼクシィや資生堂がその例。

3つ目は、ソーシャルメディア
『TABI LABO』などがそうで、SNSからの流入が主なコンテンツのこと。

昨今のコンテンツマーケティング界隈では、企業が自社メディアを保有しようという流れは引き続き継続されていて、キュレーションメディアはどんどん排他されているのだそう。
そして、外部に依存せずに社内で完結する運営の仕方が増えてきているのだと言う須田さん。
LIGが自らコンテンツを作るのには、事業を行う上での広報活動の役割があると言います。そして、LIGブログは収益を上げるためのツールの1つなのだそう。

実際にLIGブログを使ってどんな広報活動をしているのかと言うと、LIGの制作物について記事を書いて、Web制作の問い合わせにつなげたり、自分たちが企業から依頼を受けてPR記事を書いたり、また、その記事にどれくらいの効果があったのかを計測し、それを記事化することでLIGブログのPR記事への問い合わせを増やしたり…。こういったさまざまな記事を書くことで、LIGの事業に通ずる広報活動となって収益へつなげているのだそうです。

 

指標を設定し、数字をあげる施策を行ってPV向上へ

ここからは、メディアを運営する上でどのような観点でいなければいけないのか、どういった指標を立てていかなければいけないのかのお話をしていただきました。
大きく言うと、まずは「ゴール」を設定し、そのために3つのことを設定するべきだと言います。その3つとは…

①「指標設計/施策」
②「体制」
③「業務」

最初に、指標を設定する。かつ、その指標や施策を実践するための体制を作る。そして、その体制のメンバーが動いていくための業務を定義することが必要だと言います。これは、どんな企業でも言えることですが、マーケティング業界でも必ずやらなければいけないことなのだそうです。

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LIGの場合、ゴールを“認知向上”に設定しています。
まずはこれを、指標化しなければいけない。その時、“定量指標”と“定性指標”の2つの観点があると言います。

具体的にいうと、“定量指標”は、PVのこと。どれだけ見られているのかを指標としています。
“定性指標”は、JNPS(Japan Net Promoters Scoreの略。一般的にはNPS(Net Promoters Score)を用いるが、LIGではこのように定義している)。つまり、どれだけ好まれているのかを指標としています。

PVの指標の取り方は、『Google Analytics』を使っていて、JNPSの指標の取り方は、須田さんご自身が個人で経営されている会社で出しているツール『qualva』を使っているのだそう。
ここで、LIGの社内で実際に使われているKPIツリーの図を見せていただきました。この図は、“KGI”、“CSF”、“KPI”の3構造で成り立っています。

KGI (=Key Goal Indicator)”とは、簡単に言うとゴールのこと(LIGでは、総PV数の向上がゴール)。
CSF (=Critical Success Factor)”とは、そのゴールを達成するための成功要因のことで、いくつかの軸を設定しているそう。
KPI (=Key Performance Indicator)”とは、そのひとつひとつの成功要因を達成するために、どのような指標を見なければいけないのかというもの。

その3つの中でも、重要なのは“CSF”だと須田さんは言います。PV数を向上させるために、LIGではまず “CSF”を流入数の向上(セッション)とおいているそう。そして、“回遊数の向上”。この2つを掛け合わせることで、PV数向上に大きくつながっていくのだそうです。

次が、“リピート率の向上”。その次に、“1PR記事のPV数向上”、“送客数の向上”があります。
そして、“流入数の向上”につなげるために、“外部ソースの流入数”、“検索サイトの流入数”など、“回遊数の向上”のために“下層の非離脱数”、“サイトの速度”などの指標があるのだそう。これらの指標の数字を獲得していくために、LIGではさまざまな施策を行っているのだと言います。
また、施策を行う上で、どの指標がCSFやKGIに影響を与えているのか、というところを常日頃観察しながらスタッフの優先度を決めているのだそう。

LIGにとって一番重要なKPIの指標は、“検索サイトからの流入数”。なので、主にSEO対策に力を入れているとのお話しでした。会場では、具体的な施策についてもご紹介くださいました。

続いて、“定性指標”のJNPSのお話へ。
一般的なNPSは、顧客のロイヤリティを数値で測る指標のこと。それに対してLIGでは、JNPSとして独自に値をとっているのだそう。それによって、定性的に数字をキャッチして、じぶんたちの記事が好まれているか好まれていないかを見続け、品質を落とさないようにしているのだと言う須田さん。

この定性指標をどのようにとるのかというと、LIGらしくチャット形式にしたり、おもしろいコンテンツ形式のアンケートとして数字をとっていくのだそう。過去に、ファンに対して回答してくれたらカレーイベントに応募できるという特典をつけたところ、3週間ほどで8,000回答を得ることができたのだそうです。

 

”体制”と”業務”を設定し、業務効率化を目指す

ここからは、実際にLIGがブログを運営していく上でどのような体制をとっているのかを教えていただきました。

LIGブログを運営するメディア事業部には、営業部、編集部、自社開発室があるとのこと。
営業部は、主にPR記事の営業販売をするところ。
編集部は、ライターとエディターに分かれていて記事の企画やライティングを行うところ。
マーケターは、この編集部と自社開発室の両方にまたがっている立場なのだそうです。

メディア事業部の体制が明らかになったところで、実際にどのようにLIGブログを運営しているのか、業務についてのお話へ。

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LIGブログに関しては日々会議が行われているそうで、主にセールス会議編集会議メディア改善会議の3つに分かれているのだそうです。

メディア改善会議では、今までお話ししてきてくださったマーケターの役割の部分で、行った施策がどうだったのかというレポーティングをしたり、機能運用改善の企画を行ったりしているとのこと。例えば、ライターの人たちが原稿を書きやすいようにWordPressの画面や機能を改善する企画が出されることも。

そして、実際に記事を企画してから公開するまでの業務フローもきっちりと決まっているのだそう。それによって、どこでどれくらいの時間がかかっているのかなどを明確にし、さらなる業務効率化につなげていくのだと言います。

 

ユーザーのニーズを読み、共起語を活用したSEO対策を

LIGブログの記事の種類は、大きく分けて“LIG広報記事”と“PR記事”の2つ。

LIG広報記事は、事業に通ずる記事で、社員は毎月1本書かないといけないという約束事も。また、記事の手法についても3つの種類があると言います。
それは、まとめ記事など社外に出なくても自分の机で書くことができる“コタツ記事”、機材や衣装を現場に持ち出してロケ地で撮影した上で作成する“ロケ記事”、あらかじめ質問を用意して2名以上で行う対談形式の“インタビュー記事”。
続いて、実際に記事を作成する際のプランニングについてのお話へ。

LIGの記事作成フローは…
① ゴールの明確化
② スケジュール策定
③ アサイン調整(ライターと編集者を選ぶ)
④ ブレスト(記事に対して、どんなストーリーを作るのかを考える)
⑤ 構成要素の作成(ターゲット、伝えたいこと、メリット、想定するユーザー反応を考える)
⑥ SEOプランニング

その中のSEOプランニングについて、詳しく説明していただきました。
SEOプランニングは、「準備」→「構成・執筆」→「確認・修正」という流れで行われるのだそう。

まず、”準備”の段階ではユーザーや顧客のニーズを明確にすることから始めます。そこからどんなワードがターゲットに好まれるのかを選定して、共起語(あるトピックスを扱う文章の中に、頻繁に使われるキーワード)を抽出。
キーワードが明確になったら、タイトル、見出し、スニペット(検索結果の一部として表示されるWebページの要約文)を作成していく。
確認・修正”の段階では、他の競合コンテンツと比べて同じような記事になっていないかなどを調べていくのだそうです。

ここで、実際のSEOプランニングの流れを、『BASS EGG(ポータブルスピーカー)』をPR記事の商材とした時を例に、わかりやすく説明してくださいました。

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BASS EGG』は振動型のスピーカー。壁に置くと、その壁全体が振動してスピーカーになるというもの。
まずは”準備”として、『BASS EGG』の特徴と購入が見込まれるユーザー層の洗い出しから始めていきます。
特徴は、振動型のスピーカーであること、Bluetoothに対応していること、コードレスであることなどが挙げられます。実際にその『BASS EGG』を欲しいと思っているユーザーのニーズは、「Bluetooth対応のものが欲しい」や「簡単に持ち運べるものが欲しい」や「アウトドアの時に音楽を流したい」など。このように、商材の研究と市場調査を納得いくまで徹底的に行っていくのだそうです。

その上で、ユーザーがどんなキーワードで検索するのかを考えていきます。キーワードがイメージできたら、そのキーワードをそのまま検索エンジンにかけて、ほんとうにユーザーの欲している検索結果が表示されるのかどうかを確認していくそう。

あとは、予測キーワードも全てピックアップ。その予測キーワードは、Google Adwardsの『キーワードプランナー』というツールを使って、検索ボリューム(ある期間に検索された回数)を確認。ボリュームが少ないキーワードは、余程の見込みがない限りは除外するのだと言います。

『BASS EGG』の場合、ユーザーが検索するであろうワードは、「bluetooth スピーカー」、「ワイヤレス スピーカー」、「ポータブル スピーカー」、「bluetooth スピーカー おすすめ」。実際に、LIGではこの『BASS EGG』のPR記事を書いていて、当時はそれぞれのキーワードに焦点を当てた4つの記事を作成したのだそうです。

その際、共起語検索調査ツールを使って調べた共起語を、文章の中に入れていきます。“Bluetooth スピーカー”の共起語は、“スピーカー”、“メーカー”、“対応”“音楽”、“満足度”、“音質”、“ポケモン”、“イヤホン”など…。ただし、共起語の中には、“ポケモン”のように『BASS EGG』とは関係のない不要なキーワードが出てくることも。こういうものは、きちんと目で判断して取捨選択をしてください、とのことです。

 

広告臭のしないPR記事で商材をアピール

ここからは、実際に記事のライティング・編集についてレクチャーしていただきました。

LIGのライティング・編集のプロセスは…
① 構成の詳細化(どの写真を入れるのか、タイトルを何にするのかを細かくチェック)
② 取材・ロケ
③ 執筆(共起語を入れるなどSEOライティング)
④ 制作
⑤ 編集
⑥ 公開

という流れになっているのだそう。

構成の詳細化の部分についてのポイントは、何と言ってもタイトルづけ。PR記事の場合は商材名をタイトルに入れがちですが、あえて入れないことで広告臭をなくし、ユーザーにとっつきやすくすることも。そして、文章内ではユーザーにとってのメリットを最初にきちんと明記することが大切なのだそう。

執筆する際には、プランニングのお話でも出てきたSEO対策を考えたライティングが必要になってくると言います。タイトルは30文字程度、3つ以内のキーワードを目安に作成していくのだそうです。また、スニペット部分にユーザーが検索したキーワードが入っていると検索した時に太文字になるので、ユーザーもより興味を持ってくれて、クリックされやすくなるのだそうです。どれも、共起語を文章内に詰め込めばいいというわけではなく、自然に入っていることが重要なポイントだということです。

 

こうして、90分間にわたる講座が終わりました。LIGブログを題材に、コンテンツマーケティングについてかなり詳しくお話をしてくださった須田さん。ほんとうにありがとうございました!
講座のあとは、レクチャー内容を踏まえた上でワークショップを実践。お題に対して、PR記事を作成するまでのプロセスを実際に行い、参加者同士で構成した内容を発表し合いました。その際、LIGのメンバーであるもえこさん、馬車馬よすけさん、齋藤ジョニーさんにもフォローしていただき、チームごとに講評をしてもらいました。
当日はセミナーだけではなく、実際にひとつひとつのプロセスを追って自分たちで企画を考えていったので、実践力がアップしたのではないでしょうか。
MARKETERS CAMP TOKYOは、まだまだ続いていきます。今回参加できなかったという方も、ぜひ次回の講座に参加されてみてはいかがでしょう。(ご参加はこちらから)そして、レポートもどうぞお楽しみに!