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VRの現場トーク!リアルな仮想がやってくる! -OPEN PAAK DAY#4レポート

2016/07/21

6月28日に、TECH LAB PAAK(以下、PAAK)会員 卒業成果発表会 『OPEN PAAK DAY#4』が開催されました。テクノロジーをベースにしたオープンイノベーションを支援する場として1年半前に作られたPAAK。第4期生として100名もの会員が卒業する今回は、トークセッションと成果発表、そして講評&表彰といった3部構成で行われました。

このレポートでは、プログラム前半に行われたトークセッションの模様をお届けします。

セッションテーマは『VRが創り出す未来~私たちの生活はどう変わるのか~』。

「VR元年」ともいわれる今年。第6期PAAK会員募集時より新たにVRコースが新設されたこともあり、今最もホットな話題が取り上げられました。

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左より
モデレーター
『TECH LAB PAAK コミュニティマネジャー』宇都宮竜司

登壇者
『gumi』代表取締役社長 國光宏尚氏
『パノラプロ』代表取締役社長 広田稔氏
『桜花一門』高橋建滋氏

まずは登壇者から、それぞれがどのような立場でVRに関わっているかなど自己紹介をしていただきました。

高橋建滋氏 桜花一門:
3年前からテレビのバラエティ番組などで見られる「スキージャンプ」など、VRの開発をしています。今は家庭用のVRゲームを本格的に作っている真っ最中です。あとは、ユーザーベースのVRイベント「オキュフェス」の代表も務めています。

広田稔氏 パノラプロ代表取締役社長:
元々アスキーなどでライターの仕事をしていました。VRに出会ってから自分でメディアを持たないといけないと思い、一念発起して2014年11月から「PANORA VIRTUAL REALITY JAPAN」というVR系のメディアを運営しています。

國光宏尚氏 gumi代表取締役社長:
gumi自体はモバイルゲームの会社ですが、今はVRにどっぷりといった形で、世間からは「VRおじさん」と呼ばれています(笑)。『Tokyo VR Startups 』というインキュベーションのプログラムと、シリコンバレーで『Venture Reality Fund 』というVRファンドをやっています。
両方やっていて思うのが、日本の方が1年ほど遅い。市場の立ち上がりも欧米か中国からが多いですよね。日本のVRスタートアップで活躍していこうと思うと、確実にアメリカを押さえないと勝てません。そこで、ローカルのコネクションを強くしていこうと思い、米国で設立しました。

今のVRの流行をどう見ているか?

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宇都宮:
みなさんそれぞれ違う分野でVRに関わられていますので、今のVRの流行をどう見ているかお聞かせください。

高橋氏:
3年前とは比べものにならないほど、活気づいています。嬉しい反面、怖さもあります。VRがあって良かったというものを提供できないと、ブームはあっという間に過ぎ去ってしまいます。その怖さがあるので、早く良い物を作らなければならないという使命感がありますね。

宇都宮:
市場の話で言うと、2016年になって大きくなってきたなという感覚はお持ちですか?

高橋氏:
2013年から比べたら大きくなりましたが、市場と言えるものはまだありません。ここからですね。

広田氏:
メディアの立場から話すと、2015年の後半からVRに関するトレンドが伸びていますし、VRに関するニュースも増えてきました。それ以前は1週間に1~2本だったのが、1日に何本もニュースが出るようになってきました。

熱気としては、スマホの初期に近いと言われますが、みなさんもそう感じませんか? 大企業はもちろん開発しているのですが、小さな企業からもわき出てきているのは、すごく近いものを感じます。

國光氏:
意外とみなさん気がついていないかもしれませんが、VRゲームの売り上げも結構あります。それなりの売上のゲームが出始めてきて、市場が立ち上がってきているのかなという感じはあります。

これからVRは2つの方向にのびていくと思っています。ひとつは、「次世代のエンターテインメント機器」としてのVR。もうひとつは、「スマートフォンの次のインターネット端末」としてのVRです。これはVRからAR、MRという形で続いていくと言われていますよね。

「次世代のエンターテインメント機器」は、新しいおもちゃです。ゲームはもちろんのこと、インタラクティブな映像などを含めた形のものです。ここはほぼ成功することが間違いありません。お客さんは今まで見たことのないものや新しい物にお金を払ってきたというのは、任天堂のWiiを見れば明らかです。

「スマートフォンの次のインターネット端末」のほうは・・・、話すと5時間ぐらいかかるので、次の話題にいきましょう(笑)。

注目している技術やプロダクトは?

宇都宮:
最近VR関連のニュースが増えてきましたが、そこにはまだ出てきていないような最新の技術やプロダクトの話がありましたら教えていただけますか?

高橋氏:
ヘッドマウントディスプレイに関しては、改良を加えていく以外ほぼ完成しています。そこから先は、入力方法に注目が集まると思います。個人的には、先日Oculus社が特許を取ったVR内で移動する技術に注目しています。

広田氏:
技術でいうと、位置トラッキングがこれから熱くなると思っています。各社のヘッドマウントディスプレイの外側にセンサーがあり、近づいたか離れたかといった情報を取得できます。現在のモバイルではそういったデータは取れません。しかし、このヘッドマウントディスプレイで使われているような技術も普及してくれば、モバイルを進化させてくれると思っています。

國光氏:
マイクロソフトが「ホロレンズ」という、スカウターのような物を作っていますが、びっくりするぐらいいろんな情報が浮いて見ることができます。このあたりが、スマートフォンの次に繋がっていくと思っています。スマホの次は、直接自分の視力とネットが繋がる世界が広がるはず、と思っています。

VRからAR時代になるときに注目しておきたいのが、Googleがやっている「プロジェクト・タンゴ」みたいな技術です。これと使うと空間の情報を取得することができます。この技術を使って最近アメリカで話題になっているのが、「Snapchat」です。

その中にアバターになれるという技術がありますが、これは顔のデータを自然な形で取得しているのです。それができるようになると、顔を認識してタグを出すといったことが可能になります。

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今年は「VR元年」と言われていますが、今から3年後に「AR元年」。そのさらに3年後に「MR元年」と言う風に、3年おきに「元年」が続く素敵な時代が始まっていくのかなと思っています。

宇都宮:
10年間ぐらいARの時代が来て、もっと先にMRの時代が来ると思っていたんですが、短いスパンで切り替わっていくんですね。

國光氏:
VRとARとMRというのは、基本的に一緒です。MRはVRもARも一緒にできます。

広田氏:
将来的にはバランスが変えられるという話もありますね。

VR技術によって究極的に世の中はどうなる?

広田氏:
人間の欲望は変わっていないので、大きく変わることはないと思います。ARもスマホでありましたが、それって何度も繰り返されてきていることなんです。精度が高いとか安価でできるとかの違いだと思います。

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高橋氏:
中世ヨーロッパは処刑が唯一の娯楽だったと言われるように、今の我々から見ると残酷な時代でした。15世紀に本というメディアが広まり、処刑される人にも人生や感情があるということがわかったことによって、自分以外の人に対して優しくなることができた、と言われているんです。ネットも同様かと思うのですが、VRという新しいメディアの登場によって、人はもっと優しくなったり賢くなれたりするだろうと思っています。

國光氏:
iPhoneが登場してからこの10年間は、起業家や投資家にとっては黄金時代でした。常にPCで流行っていた物を、上位から順番に単機能化してアプリ化すれば成功していました。基本的に流行っている物は同じなので、VRからARも同じ考えでいいと思っています。

VR時代のショッピングはどうなるのか? AR時代は? ニュースやコミュニケーションの仕方はどうなるのか? すでにあるものをVRやARにしたときにどうなるのか?が個人的に気になっています。あとVRが広まっていくと、“こっち側”に戻ってこれない人が増えて、少子化が進むと思います。

私たちの生活はどう変わる?

宇都宮:
オリンピック頃に世の中どうなっているのかなど、ここ数年の変化についてのイメージがあれば教えていただけますか?

高橋氏:
新しいエンターテインメントを手に入れて、前の世代が体験したことのない楽しみを手に入れられる、というのが、コンシューマーとしてはあります。ビジネスとしては、これまで高くてできなかったことが気軽にできるようになると思います。

広田氏:
VRだからといって難しく考える必要はなく、「ディスプレイの新しいもの」と捉えるといいと思います。四角のディスプレイでしか見られなくて、高さや空間の広がりなどが伝えづらかったところが、自分の目で見るだけですぐ把握できます。ナレーションを入れる必要がないなど、言語を使わないところがVRのすごいところです。そこに関する強い映像表現が伸びてくると思います。

國光氏:
この1~2年のスタートアップ業界が面白くないと感じている人は多いかもしれませんが、その理由は簡単です。iPhoneが登場してから始まった、とりあえずPCで流行っているサービスをアプリ化してスマートフォンファーストで出したら、誰でも成功するという「美味しいところ」がだいたいアプリ化されていたからです。

大きなところはスマホ化されて、残りはニッチしかないというのが、今のスタートアップの状況です。そこで登場した大きなプラットフォームチェンジが、VRです。これから3年ごと、おおよそ10年ぐらいは大きなイノベーションが起こっていくと思います。

一番重要なのは、VRならではの体験ができること。それを見つけていくのが、決定的に重要です。

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時間ぎりぎりまで濃厚なお話が聞けた、今回のトークセッション。いつまでも聞いていたい内容ばかりでしたが、残念ながらここでタイムアウトに。

続けて、後編の卒業成果発表会レポートもあわせてご覧ください。

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編集後記

この日PAAKでは、VRの展示も行われており、多くの人が興味津々にそれぞれのコーナーを見ていました。それだけ、VRに関する熱量が徐々に大きくなってきているということなのかもしれません。今回行われたトークセッションは、まさにベストタイミングで行われた内容で、会場内に訪れていた人も熱心に聞き入っていました。リクルートでは、BRAIN PORTALやPAAKなど、さまざまな形でサポートさせていただきます。モノづくりで日本の未来を明るく!今後の展開にもご期待ください。