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介護、HR、デザインツール、データ分析…多彩なプロダクトに加え、初のHardware会員を含むPAAK卒業成果発表-OPEN PAAK DAY#5レポート

2016/10/24

9月27日に、第5回目となるPAAK会員 卒業成果発表会『OPEN PAAK DAY#5』がTECH LAB PAAKで開催されました。

本レポートでは、この日のメインプログラムである卒業成果発表と審査結果の模様をお届けします。前編のトークセッションとあわせてご覧ください。

27 チームいる5期生のうち、事前の予選を通過した PAAKメンバー7組、Hardwareメンバー6組の合計13チームが、それぞれ持ち時間3分で発表。その後審査員からの質疑を行いました。

審査員
TechCrunch Japan Chief Editor 西村賢氏
日本マイクロソフト株式会社 エバンジェリスト 砂金信一郎氏
500 Startups Japan マネージングパートナー 澤山陽平氏
Anchorstar Inc. Founder & CEO(元Facebook日本代表) 児玉太郎氏
株式会社リクルートホールディングス Media Technology Lab.室長 麻生要一氏

発表者
1.横溝一将氏 10hz
2.田邉政喜氏 Guidable Q&A
3.加藤雄一氏 Smooz (スムーズ)
4.甲斐啓真氏 OHAKO STUDIO
5.矢澤修氏 KidsTube(キッズチューブ)
6.今城善矩氏 stargzr(スターゲイザー)
7.堀浩輝氏 HR Brain 目標・評価管理
8.加藤史洋氏 Cook 1 UP
9.高野慎太郎氏 高齢者向けIT機器プロトタイピング
10.宇井吉美氏 排泄検知システム「Lifi」
11.梶原健司氏 まごチャンネル
12.西村拓也氏 人工知能ロボットMusio
13.星ヒカル氏 空中盆栽 -Air Bonsai-

1. 横溝一将氏 10hz

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会議自動化ツールの『10hz』。米国では年間、約4兆円ものお金が無駄な会議によって浪費されているというデータがある。一方、数年前から会議に使われるツールは変わっていない。そこに強い課題意識を持って開発。『10hz』のポイントは3つ。ひとつ目は、フォームに情報を入力するだけで整然としたアジェンダを作成できる。ふたつ目は、作成したアジェンダをカレンダーやメールで共有することができる。3つめは、アナリティクス。会議は以外とブラックボックス化しやすい。『10hz』を通じて、すべての会議の可視化に挑戦していく。すでにβ版をリリースしており、400社のウェイティングリストを獲得している。

2.田邉政喜氏 Guidable Q&A

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在日外国人向けのYahoo!知恵袋を目指している『Guidable Q&A』。訪日した外国人が質問を投稿。それに対して、日本人や日本に滞在経験のある外国人が回答するというプラットフォーム。サービスの特徴は、どこからも質問が行えること、世界中から回答を得られること。将来的には自分の国の言語で閲覧できるようにしていく予定。例として「郵便は住所を英語で書いても大丈夫?」という質問に対して「英語でもローマ字でも大丈夫」という回答が付くといった感じで、誰もが知っている情報ではなく、なかなか知ることができない滞在者向けの情報をターゲット層にカバーしていく。

3.加藤雄一氏 Smooz (スムーズ)

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ブラウザが賢くなる、ネットがもっと楽しくなるというコンセプトで開発したスマホ専用の次世代ブラウザ『Smooz (スムーズ)』。
検索した結果をのページを見て、違う場合は戻るといった行き止まりのブラウジングから、UI、AI、ソーシャルの3つを基軸に芋づる式に興味が繋がっていくような新しいブラウジング体験を生み出している。9月26日に無事リリースを済ませ、初日で6000件以上ダウンロードされているなど予想以上の反響を得ている。

4.甲斐啓真氏 OHAKO STUDIO

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OHAKO STUDIO』では、GUIコーディングツールをベースにデザインツールよりも簡単に作れるものを目指している。現在のUIデザイナーは、『Photoshop』や『Sketch』のほか、動きを付けるためにプロタイピングツールを併用しているケースが多い。しかし、これらを使用してもプロダクトにするためには、エンジニアの手を借りる必要があるため、この『OHAKO STUDIO』を開発。既存のツールでは、デザイン時にもコードに近い記述が必要だが、『OHAKO STUDIO』では特許を取得した配置の仕組みで、直感的にデザインすることができる。また、制作中のデザインもリアルタイムにプレビューできるようにしている。β版は11月にリリース予定。

5.矢澤修氏 KidsTube(キッズチューブ)

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子供用の動画はおもちゃで遊んでいるようなものばかりで、インプットがなにもなく保護者としては後ろめたさがある。『KidsTube(キッズチューブ)』は、その問題を解決して子供たちに質の高い動画を見せたいという思いから作られている。課題としては、クラウドソーシングを活用することで量産体制はできたが、子供たちが楽しめているのか、保護者は安心してみられるのかという部分が現状はまだ不明瞭。今後ユーザーを獲得して視聴者を増やしていきながら、データ分析をしていく。

6.今城善矩氏 stargzr(スターゲイザー)

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stargzr』は、ソフトウェアエンジニアのためのウェブサービス。ソフトウェアエンジニアが、様々なサイトで技術や知識をオープンにし、そこで保持している信頼度やスコアを自動で集計しランキング化することができる。
特徴は、ユーザーであるエンジニアが『stargzr』で自分のスコアを上げるために他のサイトと連携するというところ。そのため、『stargzr』上で優秀なエンジニアを様々なカテゴリーで検索できるようになる。ユーザーごとではなく、会社単位でランキングを出力したりプロジェクトごとにポートフォリオを作る機能もある。今後は連携できるサービスを増やしたり、インタビューを行い開発情報を増やしていく。

7.堀浩輝氏 HR Brain 目標・評価管理

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HR Brain』は、タレントマネージメント領域の頭脳となり、組織のパフォーマンスを引き出すための新しいツール。
注力分野は、目標と評価、適材適所、企業文化、育成・活性化。その中のひとつである、目標管理ツールは11月にβ版をリリース予定。特徴は、目標管理の『OKR』をテンプレートして取り込めたり、大企業と共有して研究したベーシックというシートが用意されている。キャリアイメージや強み・弱みなどのヒアリングシートも利用可能。評価者と非評価者のマッチングもUIで簡単に変更できる。これらで蓄積されたデータを元に、意思決定の精度を上げたり引き出しを増やしていくような、AI人事を目指している。

8.加藤史洋氏 Cook 1 UP

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をしており、翻訳シミュレータと調理シミュレータふたつのプロジェクトを開発中。
翻訳シミュレーターは、ゲーム開発用のツールとして作られたもの。英語やフランス語などへの翻訳以外にも、音声や画像、GIF動画などマルチメディアにも対応している。過去と現在の翻訳結果の差分がわかりやすいように、可視化して表示が可能。さらに、追加機能が必要なユーザー向けにソースコードを公開やバイナリーの提供、規模の大きな会社向けに有料でサービスを行う。調理シミュレータでは、通販サイト向けに販売している肉を上手に焼くためのモデルをアプリから有料でダウンロードしてもらうモデルを考えている。

9.高野慎太郎氏 高齢者向けIT機器プロトタイピング

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スマホが使えない高齢者向けに、LINEができるようにした『LINE固定電話』。
最近の若者はLINEだけでコミュニケーションを済ませることが多い。このままではデジタルネイティブと、お年寄りのようにそうでない人との格差が広がりコミュニケーションをするのが難しくなってしまう。『LINE固定電話』は、固定電話のようなシンプルな仕組みと3G回線を内蔵しており、ネットの設定無しにすぐに使うことができる。LINEからのメッセージは合成音声で受信が可能。音声案内に従って操作することで、返信も行える。今後はフェイスブックなどにも対応するなど、完成度を高めていく。

10.宇井吉美氏 排泄検知システム「Lifi」

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ミッションは「根拠のある介護」。介護の現場は、感と経験と信頼関係でなりたっている。そのため根拠が取りづらいという問題がある。その第1プロダクトとして作ったのが排泄検知シート『Lifi』。現状、おむつを開けないと中がどうなっているのかはわからない。そこでこのシステムでは、根拠を元に開けずにもわかるように検知できるようにしている。排泄を検知すると、ケアステーション等に通知を飛ばすことが可能。また、排泄のタイミングのパターンや、下剤投与などの情報も記録できるようにしている。

11.梶原健司氏 まごチャンネル

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毎日できる最高の親孝行を目指したプロダクトの『まごチャンネル』。日本だけではなく、世界的にも30パーセントが65歳以上となり、高齢化社会となってくる。そこで新しい社会課題として、社会的孤独という問題が注目されている。そこで、スマホで撮影した写真や動画を、実家のテレビに誰でも簡単に送って見ることができる『まごチャンネル』を開発。特徴のひとつ目はセットアップが簡単なところ。電源ボタンすらなく、電源とテレビへのケーブル(HDMI)を繋ぐだけで利用ができる。ふたつ目は、テレビリモコンでそのまま切り替えができること。3つめは、通信モジュールとSIMを内蔵しており、ネット環境が無い家庭でも利用ができること。この半年の成果は出荷ができたところ。今後は、有名なブランドと組んで販路を広げていくほか、グローバル展開を目指す。

12.西村拓也氏 人工知能ロボットMusio

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アメリカで5年間かけて開発した、ディープランニングの人工知能ロボット『Musio』。
特徴はふたつ。ひとつ目は、文脈を理解した会話が可能。ふたつ目は、500万種類以上の感情を持っているところ。これにより、感情を伴った会話が可能となっている。家庭のIoTのハブになれるようなロボットを目指しているが、まずは英会話ロボットとして販売していく。購入者はいつでもどこでも英会話の勉強ができるため、金銭的なメリットも生まれる。専用教材も用意されており、目的にあった勉強をすることもできる。まずは日本から販売を開始。日本語用のエンジンも開発しており、友達ロボットしても利用できるようにしていく。今後はオープンなエコシステムを使って、外部のユーザーなどにも開発してもらえるような環境を作っていく。

13.星ヒカル氏 空中盆栽 -Air Bonsai-

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「星を輝かせよう」というアートプロジェクトから生まれた、電磁力で浮く『空中盆栽』。1月21日から3月1日までキックスターターで発表。そこで3700ほどの支援と66カ国からサポートを得ている。製造のハンドリングの難しさやキックスターターの顧客対応のひどさ、為替レートの影響に技術特許の問題で訴えてくる会社があるなど、苦労した点は多数。その反面、ドバイの王子が来たいと言っているなど楽しい話もあったが、なによりもいきなり世界でチャレンジできた点が良かった。先週より3500個ほど出荷を開始。今後は、四季の部屋をイメージした箱を来年発表する予定。

審査発表

全13組の卒業成果発表がすべて終わった後、休憩時間の合間に審査員による各賞の選出とオーディエンス賞の投票が行われました。熱のこもった議論が交わされた中、審査が終了。審査発表が行われました。

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まずは各賞の発表の前に、麻生から挨拶と乾杯が行われました。

「半年間の素晴らしい活動の成果を見せていただいて、楽しい時間でした。我々はみなさんから1円もお金をいただいていません。つまりですね、かなりのお金を持ち出しております。僕たちからこれだけしてあげているのに、みなさんからしてもらうことがひとつもありません!(笑)だから、せめてすっごいPAAK卒業生になって、取材等で今の僕たちがあるのはPAAKのおかげですといってください。みなさん、素晴らしい半年間をお疲れ様でした!」と、すっかり恒例となった挨拶で締め、会場の雰囲気も一気に和やかなものになりました。

続いて本日の審査結果の発表!

アンカースター賞
宇井吉美氏 排泄検知システム「Lifi」
副賞は焼肉トラジお食事券3万円分

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児玉氏:「ベッドの中のセンサーはまだ未開の地だと思います。臭いだけではなく、センサー技術を使っていろいろなIoTな革命が起きていくひとつの実例として、商品化できそうなものを見せてもらったのが受賞の理由です」
受賞者コメント:「PAAKはトータルで1年間お世話になって、拠点が千葉なのでこちらで会議するときやイベントに使わせていただきました。最近プロジェクトメンバーが増えてきたので、(副賞)はありがたいです(笑)」

TechCrunch Japan賞
堀浩輝氏 HR Brain 目標・評価管理
副賞はAmazonギフトカード3万円分

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西村氏:「日本の状況を考えると、働き方を変えるのは人事考課と表裏な問題だと思います。それを透明化したりみんなが認めていけるような素晴らしいものだと思いました。」
受賞者コメント:「まさかもらえるとは・・・・・・少しだけ思っていましたけど(笑)。すごく嬉しいです。裸一貫で起業して、当時は上島珈琲が本社だったのですが、コーヒーでお腹を壊して危機的な状況のときにPAAKに入らせていただきました。非常に感謝しています。」

マイクロソフト賞
加藤雄一氏 Smooz (スムーズ)
副賞はズワイガニ 姿 ボイルセット

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砂金氏:「ブラウザはほかに対抗できないと思っている人が大半の中、いろんな問題を抱えているし俺たちがリストラクトしてやるぜという姿勢が素晴らしいと思いました。スマホ向けのブラウザを起点にして、いろんな情報検索や閲覧の文化を作っていただきたいです。」
受賞者コメント:「始めたたときは、本当にそれやるの? と言われる状況で不安になるときもありました。仲間のふたりが信じてやってくれたので、ここまでこれました。」

500 Startups Japan賞
横溝一将氏 10hz
副賞は神戸牛リブロース すき焼きセット

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澤山氏:「会議のアナリティクスのあたりな伸びそうだと思ったのが理由のひとつです。VCは土日に浸食しはじめてるくらい、会議が多いです。なので、正直アナリティクスは欲しいです(笑)。」
受賞者コメント:「澤山さんには、個人的に3年ほどアドバイスをいただくなどお世話をいただいています。PAAKも東京に来てずっとお世話になっています。ありがとうございました。」

TECH LAB PAAK賞
星ヒカル氏 空中盆栽 -Air Bonsai-
副賞はAmazonギフトカード3万円分

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麻生氏:「一消費者として、欲しい。一目惚れしたのが受賞の理由のひとつ。企業としては製造プロセスに入っていて、いかに苦労したか語られた中で、出荷できたことが我が事のように嬉しいというのがひとつ。このプロセスを通じて、日本のIoT界とクラウドファンディング界をひっぱていただける存在だと思います。ぜひ大きくなっていただいて、PAAKにちょっとだけ感謝していただけると嬉しいです!」
受賞者コメント:「PAAKは、麻生さんも岩本さんも、みなさんにお世話になりっぱなしです。今出荷中でトラブルも相変わらずありますが、キックスターターのノウハウ自体は結構持っていますので、何かあったら気軽に聞いてください。」

オーディエンス賞
会場内の投票で行われたオーディエンス賞も決定。今回は大きく票を集めた、梶原健司氏のまごチャンネルが選出されました
梶原健司氏 まごチャンネル

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オーディエンス賞に選ばれたチームは卒業せずに、引き続きPAAK利用が可能に。梶原氏からは、「本当に出荷できて良かったです(笑)。PAAKの7階にウィルキンソンがあって来るたびに10本ぐらい飲んでいます。減るときは私がいるときです」という喜びの声が聞かれました。

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このあと全員で撮影会が行われ、そのまま懇親会に突入。第5期のみなさま、ご卒業おめでとうございます!