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QREATOR AGENTを手掛ける佐藤詳悟氏 PRODUCERS CAMP TOKYO vol.2レポート

2017/02/27

15歳で起業した椎木里佳さん、“21世紀の魔術師” 落合陽一さん、予防医学研究者の石川善樹さん、それにPRODUCERS CAMPの第一回目にご登壇いただいた、空間プロデューサーの中村貞裕さん。

この4名にはある共通点があります。何だかわかりますか?

答えは、“QREATOR AGENT”に登録されているクリエーター、ということ。

クリエータープロデュース会社のQREATOR AGENTと、コンテンツのプロデュース会社FIREBUGの代表取締役を務められている佐藤詳悟さんをお招きし、PRODUCERS CAMP TOKYO vol.2が12月23日(金)に開催されました。

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佐藤さんは、吉本興業に入社後、お笑いコンビのナインティナインやロンドンブーツ1号2号などの大物芸人のマネージャーを経験されながら、新規事業やコンテンツをプロデュース。独立後、QREATOR AGENTとFIREBUGを立ち上げられ、さまざまな分野にわたる著名人のPR業務や番組などのプロデュースをされています。そのプロデュースの方法は、いたってユニーク。今までにない新しいチャレンジをし続ける佐藤さんに、“クリエーターのプロデュース”と題してお話いただいた貴重なトークセッションの様子を、たっぷりとお伝えします。モデレーターは、MTLの古川。みんなが気になる“あんなこと”や“こんなこと”を、つっこんで聞いてみました!

プロデュースの基盤ができた吉本時代

古川
まずは、自己紹介と会社の概要について教えてください。

佐藤さん
佐藤詳悟と申します、よろしくお願いします!今、33歳で…そういうことではない(笑)?

古川
興味ある方もいるとは思うんですが、そういうことではないですね(笑)。

佐藤さん
吉本興業(以後、吉本)を辞めてから会社をつくって、もうすぐ2年になります。吉本では、10年くらい働いていました。

古川
吉本には新卒で入社されたんですか?

佐藤さん
はい、新卒で入りました。そもそも、芸人さんが好きだったというわけではないんです。小学校くらいの時から、クラスの人気者に耳打ちして先生をいじったりするのが好きだったんですよ。

古川
だいぶ、腹黒い感じですね(笑)。

佐藤さん
文化祭とか体育祭とかでも、裏方が好きだったんです。だいたい副部長とか副委員長とかでした。

古川
裏で仕掛けるという感じですか?

佐藤さん
そうです、エンタメが好きだったんですよ。それで、エンタメが好きで裏方が好きで…何か仕事はないかなあと調べていたんですが、その頃ちゃんと就活をしていなくて、電通とかリクルートの存在を知らなかったんです。それで、NHKとかテレビ局を受けたりしていて、その時にたまたま本屋で吉本の社長が書いた本を読んだらそれがすごくよかったんです。今でこそ知られていますが、吉本は、音楽からスポーツから映画から本当に全部やっていたんですよね。
とんとん拍子に入社できまして、入社してみたら、ナインティナインさんにつかせてもらって。

古川
すごいですね、一年目からですか?

佐藤さん
はい。なんというか、体育会系バリバリな感じで…全く企画とかはできずに、ほぼほぼ水とタバコを持っているだけの1年半でした。だから、キャバ嬢とかよりもタバコを渡すのがうまいくらい。箱の音で空かどうかわかる感じ(笑)。
そんな水とタバコで1年半が経った頃、ロンドンブーツ1号2号(以後、ロンブー)のマネージャーに急になったんですよ。

古川
その時、すでにロンブーさんは活躍されていたんですか?

佐藤さん
そうですね、もう番組は持っていましたね。その時にロバートさん、COWCOWさんとかも同時に担当することになりました。淳さんと話していると、けっこう社会的な話とかが多かったんです。ITとか新しいこともかなり好きだったので、ラジオ番組をとってきて、そこに蓮舫さんとかにゲストとして来てもらう。そこで、「政治家になりたい」とか話すと、Yahoo!ニュースのトップとかに「田村淳、政界進出か?!」みたいな記事がいっぱい出るんですよね。そうすると、「選挙報道特番のMCをやってくれませんか」というようなオファーがけっこう来たり。後は、『淳の休日』っていうネットのチャンネルをつくったり…。そういったことを、どんどん仕掛けるお手伝いをしていく5年間でしたね。なので、その時は比較的プロデューサーに近いようなことをやっていました。

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吉本のマネージャーというのは、実は車の運転とかカバン持ちとかいう仕事はそんなにないんですよ。どっちかというと自分たちでスケジュール管理をして、芸人さんがやりたいことを実現していくというような職種なので、それができた5年間は楽しかったですね。COWCOWさんの『あたりまえ体操』のお手伝いをしたり、最近流行っているロバート・秋山さんの『クリエイターズ・ファイル』も一緒に立ち上げたりしました。マネージャーという立場から、テレビからイベント、CMとかなんでも企画できるので、いろんなことをやりました。本当に吉本に入れて、色々なことをさせていただいて感謝ですね。

古川
吉本で、プロデュースのベースというか、基盤をつくられたということですか?

佐藤さん
はい、吉本にプロデュースの基本を全部学びました。芸人さんや先輩から学んだことが多いですね。そうやっていろいろなことをやっていたら、会社に「もっといろんなことをやりなさい」と言ってもらえたんです。

例えば、電通と厚生労働省が「イクメン」という言葉を流行らせたいということで吉本に話が来て、当時吉本にパパ芸人の人が100人くらいいたので、ロンブーの亮さんとかを「パパ芸人」としていろんなテレビ番組で打ち出していったら、けっこう「パパ芸人」という言葉が浸透していったんですよね。

あとちょうどこの頃、千原ジュニアさんの国技館ライブがあったんですけど、実はこのライブのチケットは5年前から売り始めたんですよ。

古川
ライブのチケットを5年前から(笑)?

佐藤さん
はい。最初は会場も決まっていなくて、5年間をかけてライブの内容が決まっていくという感じで…。僕は千原ジュニアさんのマネージャーではなかったんですけど、「こういう企画やりませんか?」って言って、やらせてもらって。

後は、キングコングの西野さんが「絵本をつくりたいけど、お金がない」と言うので、クラウドファンディングサービスの『CAMPFIRE』を紹介したり。

古川
それは、芸人さんから直接相談されるんですか?

佐藤さん
はい、吉本にいたときは、直接相談されていましたね。あとは、マネージャーさんからとか。そういうことを一緒に解決したり、「こういうのをやったらいいんじゃないですか」というのを提案して一緒にやったり。

 

才能がある人の最初のレールを敷いてあげる

古川
吉本の中でも、おもしろいことをどんどんやっていけそうだったと思うんですが、独立して外で仕事をした方がいいと思われたきっかけは何かあったんですか?

佐藤さん
吉本にいた最後の頃に、ベンチャー経営者とか大学教授のテレビ番組の露出のお手伝いをしていたんですよ。その時に、肩書きとかに関係なく大学教授にもおもしろい人はいるし、大学生にもおもしろい人はいるし、芸人さんという職業以外にもおもしろい人が増えているなという感覚があって、そういういろんな分野の人たちと一緒に仕事をしたらおもしろいんじゃないかなと思い始めたんです。それは1つありますね。

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後は、先ほどの千原ジュニアさんのライブが結果8,000人くらい入って、ニュースとかにもなったんですけど、けっこう大変だったんです(笑)。そのイベントが終わった後1か月くらい、空っぽになっちゃったんです。何もしたくなくなって、なんとなくシリコンバレーに行って。そこでPixarとかを見させてもらったら、なんだか一度自分でチャレンジしてみたいな、と思ったんです。これはもう直感でしたね。新しいことにチャレンジしてみたくなったんです。それで、先ほどのおもしろい人たちとなにか一緒に仕事をしたいなと思って、ビジネスモデルとかをあまり考えずに会社をつくっていった感じです。

古川
いろいろな人たちをプロデュースしていけるように会社を立ち上げたということですね?

佐藤さん
はい。やっぱり、才能がある人はみんな、こっちがある程度様々な「紹介」をするとどんどん進んでいくし、知られていくんですよ。
最初の導入部分にだけ必要な人、必要な考え方を紹介してあげることがとても大事です。セルフプロデュースをできる人は、自分で解決し、広げていくんですけど、ただ最初の線路を間違った方向に敷いてしまうととんでもないところに行ってしまう人たちが多いので、そこだけはすごく気をつけていますね。そんなこともあって、QREATOR AGENTの創業に至ったという感じです。色々な人たちが世の中に知られたり、間違わない方向にいったりするお手伝いがしたいと。

古川
現在は、FIREBUGグループとして会社を経営されているんですか?

佐藤さん
はい。FIREBUGはQREATER AGENTの親会社なんですけど、人のプロデュースをする時はQREATOR AGENTで、企画とかイベントのプロデュースをする時はFIREBUGという会社で依頼を受けています。

 

面倒なことをできるかできないかが分かれ道

古川
QREATOR AGENTで抱えているクリエーターを、FIREBUGでイベントやメディアへの露出をつくっているという感じですね?

佐藤さん
そうですね。
それからFIREBUGの由来ですが、僕は“放火魔”と言われていたんですよ。火だけつけて逃げるという、立ち上げ屋みたいな。そこからFIREBUGという会社名が決まりました。でも、さすがに直訳の“放火魔”を社名の由来として説明するわけにはいかなかったので、“火付け役”という意訳をしています(笑)。

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プロデューサー業務って、けっこう面倒なことも多いんです。でも、面倒なことも多いからこそおもしろいんですが、でもそこを一歩踏み出せない人がけっこういるんですよね。僕は、そこがプロデューサーになれるか、なれないかの分かれ道だと思います。そういう意味で、僕らFIREBUGグループは、けっこう面倒なこともきちんとやって、少しでも才能のある人たちや、何かをやりたいと思っている人たちがそれを実現できるような手助けをしていく会社になればいいなと思っています。でも、多少は立ち上げて逃げるという意味も入っているんですけどね(笑)。

今は二つしか会社がないですけど、僕が思うにエンターテイメントって、いわゆる映画とかテレビとか音楽とかに限った話ではないと思うんですよ。例えば、お酒とかも、ただお酒があるだけではなくて、パッケージやボトルがひと手間かかっていたり、何か企画があった方が楽しいじゃないですか。そんな風に、楽しくさせるというのが“エンターテイメント”なんじゃないかと思うんです。なので、今僕らはQREATOR AGENTで人を、FIREBUGでイベントやテレビ番組をプロデュースしていますけど、別に飲食店をやったりしてもいいんじゃないかなとも思うし、街づくりとかもエンターテイメントの力でどうにかできるんじゃないかとも思っているんです。

今は立ち上げ時なので、そんなにすぐに大きくはできないんですけど、もしかしたら家電をつくるなど、長期で考えていけたらいいんじゃないかなと。その場合、僕は家電つくれないですけど、つくれる人を集めてきて、いろいろな分野に広がっていくということもできたらいいなと。

彼らがやりたいことを実現するスピードを上げるのが僕たちの仕事

古川
では、ここからQREATOR AGENTの詳しい話に入っていきましょうか。

佐藤さん
QREATORのQは、“Quantum Leap”のQ。“ぶっとんだ粒子”という単語からとりました。これは僕が考えたのではなくてnanapiのけんすうさんに考えてもらったんですけど。(笑)

よく「クリエーター」というと、デザイナーとか映像作家とかを思い浮かべると思うんですけど、僕らが思うクリエーターは大学教授とか料理人、経営者もそれにあたります。大学教授だったら新しい研究をしていたり、料理人だったら新しい料理を生み出したり、経営者だったら新しい会社やシステムをつくったり…。とにかく何かおもしろいことをつくっている人たちのこと。

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それから、“正しい欲”と言っているんですけど、自分の研究しているものをもっと世の中に広めたいといった欲とか、お客さんを楽しませたいといったような、こちらが聞いていてしっくりとくるような欲を持っている人。

それから、僕らが好きな人。嫌いな人はプロデュースできないから、基本的にうちのスタッフが好きな人だったらプロデュースをやってもいいということになっています。

古川
それは、何回かお話されてみて、合う、合わないを確かめるという感じなんですか?

佐藤さん
基本的に今は、何かものをつくっている人、正しい欲を持っている人、僕らが好きな人。その三つが揃っていればお手伝いさせてもらっていますね。正直、わからないんですよね、誰が売れるのか売れないのかとかは。それは世の中が決めることで、僕らが決めてはいけないなと思っています。ただその三つの条件が揃っていないと僕らが手伝う意味もないなと思っています。

今は250人くらいのクリエーターの方々に登録してもらっているんですけど、うちは事務所ではないので所属というかたちではないんですね。専属事務所は、全てを守るかわりに、全てをお手伝いする仕組みだと思います。それを求めているクリエーターも、もちろんいるとは思いますが、僕らはクリエーターの方々が求めるサービスだけを提供していくというスタイルです。具体的に言いますと、クリエーターのスケジュール管理とか営業とかをサービスとして提供していて、それに対するお金や決まった額のマージンをいただいています。やはり僕たちの仕事は、才能を持っている人がいないと成り立たないし、お金を生み出せない仕事なんです。そう考えた時、才能のあるクリエーターにもっと上に立ってもらって、クリエーターたちに雇われて仕事をするというのが今の僕らにとってはすごく気持ちいいなと思うんですよ。なので、今は「ここまでなら無料でやりますよ。ここからのサービスは有料でやりますよ」というかたちでクライアントさんであるクリエーターの方とお仕事をさせてもらっています。

古川
それは、人によって違うということですか?

佐藤さん
はい、そうですね。
この先10年後とかを考えた時に、SNSなどで仕事がとれる時代において、個人で活動していく人が増えていくと思うんです。でも、個人でスケジュールを立てて仕事をやっていくのはけっこう大変なこと。そうなると結局、営業やスケジュールを管理するスタッフは必要になってくると思うんですよね。そういう時に、「あの人にマネージャーをやってほしい」とか指名される会社になっていきたいなと考えています。

古川
QREATOR AGENTはQREATORSというWebサイトも運用してますね。これはどういう狙いなんでしょうか?

佐藤さん
QREATORSのページには、クリエーターの一人ひとりのプロフィールを載せているのですが、写真はファッション誌の撮影をしている若いカメラマンの方に撮影してもらったり、肩書きも一緒に考えて…。メディア出演の実績などは、うちが仕事をとってきたもの、とってきていないもの関係なく、その人が出演したものを全部載せています。それで、その人の今日時点での最新のプロフィールをA4一枚でプリントできるようになっています。メディアの企画会議では、紙の資料を必要とされる事が多いので、その需要に沿ってプリントアウトがしやすいようにしています。

古川
なるほど。事前にサイトを見させてもらった時に、なぜこの時代にあえて印刷ボタンがあるんだろうと思っていたんですよ(笑)。

佐藤さん
それから、タレントさんたちって何を目指しているかというと、テレビに出てテレビのギャラをもらって生活するというのが基本的なゴールだと思うんですが、僕らのところに登録してくれているクリエーターの人たちは、そうではないんです。例えば、経営者なら、メディアに出ることによって自分の知名度を上げて自分の本業の収益を上げていければという風に考えている人たち。そう考えた時に、日本で知名度を上げていくためには、やっぱりテレビの影響力があるんです。例えば、女子高生起業家としてブレイクしている椎木里佳さんも、二年くらい前からプロデュースのお手伝いを始めて、最近では街を歩いていても「あっ椎木里佳だ」って声をかけられることが多くなったみたいなんです。それってやっぱり、ネットではなくてテレビの影響なんですね。でも、うちに登録してくれている人たちをテレビに出すには、けっこうハードルがあるんですよ。

古川
それは、どの辺りがハードルなんですか?

佐藤さん
例えば、テレビ局の人にいきなり『Popteen』の編集長の森さんをテレビに出させてくださいと言っても、裏付けがないと断られてしまうと思うんです。でも、「この人はこういう人で、この番組に対してこういう風に出すとおもしろいですよ」という風に提案したり、後はネットである程度の話題とかをつくってそれを持っていくと、テレビ局の人たちは興味を持ってくれます

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僕たちが今までやってきた中で、テレビ局の人の食いつきがよかったのは、今も言いましたが、ウェブでの種まきをしてからテレビ局に持っていった場合。ウェブでの実績が、営業の打率を上げてくれるんですよ。なので、僕らとしては今クリエーターの人たちがテレビに出るために、デジタル上、ネット上でPRを展開しているという感じです。それが、先ほども言った“プロフィール作戦”です。だいたいおもしろい人ってマメな人が少なくて、テレビ局の人が、その人の情報を聞きつけて検索したとしても、きっちりとしたプロフィールが出てこなくて、代わりにTwitterとかの変な書き込みを見つけちゃったりすると、「この人は違うかも」ということになって、遠ざけられてしまうと思うんです。だから、僕らが代わりにきちんとしたプロフィールをつくって、そこにはその人の人となりが丁寧にきちんと出ていて、今まで出たメディア出演の実績を全部見られるようになっていると比較的打率が上がります。結果、森さんはフジテレビのユアタイムなど色々な番組に出させていただいてます。

もう一つ、クリエーターの人を売り出す作戦としてやっているのが、“PRコンテンツ作戦”。これは、この人はこういうことができますよというのをウェブの記事としてアップしてあげるということ。例えば、その人の面白い部分をその人の取り扱い説明書のように丁寧な記事にして、その人の価値を上げていく記事をアップしていく、というものです。それで、プロフィールと記事を抱き合わせにして、テレビ局に持っていくと打率が上がる。後は、ウェブだけ見てくれたテレビ局の人たちが話を持ってきてくれる。そうして、彼らがテレビに出ることで結果的に、彼らのやりたいことが早く実現できるようになるんですよね。

事例として紹介したいのは、小学校教師の沼田晶弘先生。
沼田先生は、日直をキャプテンと呼んでいたり、掃除の時間にダンスをしたり、常に授業を工夫しています。要するに、子どもたちが飽きないようにして、どうやって自発性を高められるかを考えているんですね。沼田先生の場合は、まずはPRとしてプロフィールをつくって、後は何本か記事をつくったんです。特に、リクルートさんが運営されている『HRナビ』に掲載された記事が、9.7万いいねを獲得していて、自分でもびっくりするくらい、まわりの人たちが「あの記事見たよ」って言ってくれた記事なんですよ。公開して二日目とかでいろんなテレビ番組からオファーが来て、テレビ番組やラジオ番組などあっという間に多くの媒体に出ましたね。

古川
それは、テレビ関係者の方が直接その記事を見てオファーしてきたということですか?すごいですね。

佐藤さん
そうみたいですね。沼田先生の場合は、本を出すことが1つのゴールだったんですね。
テレビに出たら、まずは本を出すという目標がすぐに叶って、今では4冊出版を控えています。沼田先生の場合はプロデュースし始めてから3か月くらいで目標が現実になったんです。なので、沼田先生は記事一つで人生が変わったという事例ですね。

それに、僕らの仕事は才能をつくることではないんですよね。例えば、ロンブーの淳さんだったら、僕らがニュースキャスターにしたわけではなくて、淳さんがニュースキャスターになりたいからなれたんです。僕らがやりたいことは、その人の才能や価値が何年か、かかるはずが、僕たちがいることで一ヶ月とか二ヶ月で世の中に知られること。それが僕らがいる価値だと思うので、その辺りが“プロデュース力”というものだな、とよく思っています。これは吉本の大先輩に教わったことです。

プロデューサーにとって実現するということが一番大事、だから企画書はA4一枚

古川
FIREBUGでは、どのような企画や番組をつくられているんですか?

佐藤さん
基本はコンテンツをいっぱいつくっていて、今はテレビ番組をメインにつくっています。けっこう僕らは、東京ではテレビ局がクライアントで、テレビ局さんがつくりたいものをつくらせていただくということをやっていて、地方のテレビ番組の制作では、クライアントさんのやりたいことを地方で実現させていただくということをやっています。

あんまり人のプロデュースと変わらないんです。要はクライアントさんが最大限楽しんで、お客さんも楽しんで、ゴールに早く行き着くお手伝いですね。

古川
『メルカリ』のイベントやテレビのコンテンツも手掛けていらっしゃいますが、クライアントさんのつくりたいものをやっているということですか?

佐藤さん
そうですね。後は、リクルートさんの『ゼクシィ』や『スタディサプリ』も今後やらせていただく予定です。

古川
後は、ネットもやられているんですよね?

佐藤さん
はい。ネットは『AbemaTV』さんがメインなんですけど、だいたい月に3〜4本くらいの特番を担当していて、24時間生放送シリーズとかを製作させていただいています。後は、『LINE LIVE』とか『Popteen TV』の運用もやっています。

イベントも企画していて、『Wantedly』さんのトークイベントのキャスティングもお手伝いしました。あとは、『メルカリ』は、年に一回その年一番人生が好転した人を表彰するというイベントのキャスティングから制作、メディア呼び込みまで全部やっていますね。前回の時はちょうどハロウィンの時で、セーラームーンのコスプレをした渡辺直美さんが話題になりました。後は、リクルートさんの社内イベントとかもやらせていただいてます。

先ほど紹介した記事とかも、社内でつくっています。今後は、本の出版もFIREBUGでやろうかなと考えています。

古川
出版社としての機能を持つということですか?

佐藤さん
まだ出版社の機能は持てないですけど、出版社と組んで、うちがコンテンツを作る。編集プロダクションという感じで。

後は、CM。『MERY』とか『メルカリ』の制作協力というかたちで関わっています。キャスティングのお手伝いをしたり。企業のコンサルティングもやっていて、メルカリはけっこう多岐に渡って携わっているので、会社に週一で通っているほどです。『MERY』も同じような感じですし、『リネット』というクリーニングのベンチャー企業や、『カトージ』というベビーベッドなどを販売している会社、この4社はコンサルティングをやっています。これも要はプロデュースで、その会社のやりたいことを実現していくというかたちですね。やりたいことがあるけど、その会社の人たちだけではできないから、僕たちがお手伝いさせていただいている、という感じです。

古川
それを、テレビだったりイベントだったりで、実現していくということですね?

佐藤さん
はい。なので、FIREBUGもQREATOR AGENTとやっていることは一緒で、その人のやりたいことを聞いて、それに対してこういうことができますよと提案をしてお手伝いをしていく感じなので、あまり業務として大きな変わりはないかもしれません、クライアントの課題が人の露出かコンテンツ開発かという違いだけで。
後は、いろんなイベントや番組の記事をつくったり…。

古川
イベントレポートとかも、仕掛けて書くんですか?それとも、メディアさんが入って?

佐藤さん
メディアさんが入りますね。なので、メディアさんが来て下さるようなネタをうちで仕込む。今何が求められているのか、ということは記者さんのことを参考にすれば、比較的すぐ思いつくことができるんですよ。

古川
ライブ動画を配信する『SHOWROOM』の番組を担当されると、お聞きしたんですが?

佐藤さん
明後日の12月25日にやるんですけど、「(SHOWROOMが)3周年だから何かやりたいね」ということになって、うちで企画協力をさせていただいて、それで先週の金曜日(12月16日!)くらいにやることが決定したんですよ。

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この番組の企画書は、全然大それた企画書ではないんです。プロデューサーにとって実現するということが一番大事だから、企画書はA4一枚だけ

古川
みなさん、これが現場のほんとうの企画書らしいですよ(笑)。

佐藤さん
こういうのも、よく企画書の書き方を描いてある本とかがありますけど、結局実現できれば何でもいいと思っているんです。何が目的で、どういう企画で、誰が出るのかというのがとても大事で、基本的には僕らがつくる企画書はこのくらいのレベルです。

古川
どういう企画なのかと、誰が出るのかと、何が目的かということを書くということですね。

佐藤さん
はい。この三つがあれば、それだけで成立すると思うので。

古川
FIREBUGのビジネスモデルのことをお聞きしたいんですが、こちらでは制作っぽいことをされているんですか?

佐藤さん
今まで紹介したように基本的にクライアントさんがいらっしゃるので、そういったクライアントであるテレビ局やメーカーさんから制作費をいただいて、それを収益とさせてもらっています。なので、FIREBUGの方は分かりやすいビジネスモデルですね。

リスク背負って実現のために一歩を踏み出せれば、誰でもプロデューサーになれる

古川
それでは最後に、プロデューサーにとって必要なことや、今後プロデューサーはどんな役割になっていくべきなのかといったところをお話いただけますか?

佐藤さん
プロデューサーって、“何でも屋”だと思うので、大事なのは実現できるかどうかだと思うんですよ。だから、実現できなければプロデューサーではないと思いますし。実現するためにはコネクションを使ったり、企画を出すために企画者を連れてきたりする必要がありますよね。それができればプロデューサーなんじゃないかなと思います。

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プロデューサーって、誰でもなれると思うんです。実現に向かって、一番アクセルを踏んで何かあった時の責任を取れる人だと思うので。リスク背負って実現のためにどれだけ一歩を踏み出せるかが、プロデューサーとしては大事なんじゃないかなと思っています。

古川
チャレンジしてみるというところと、やりきるというところですかね?

佐藤さん
はい。テレビとかCMとかって、実現するために、キャスティングの他にもけっこうなステップがあるじゃないですか。

古川
そうですね。先ほども、コネクションとおっしゃられましたけど、それってなかなか誰もが持っているものじゃないですよね…。

佐藤さん
それって、経験だと思うんですよ。後は、人のよさ。この業界のプロデューサーって、それがないと難しいんじゃないかな、と。人によってスピード感は違うと思うんですけど、ある程度アシスタントで学ばない限り難しいと思いますね。なので、なりたい方は思いきってこちらの世界に飛び込むことが必要だと思います。

古川
FIREBUGやQREATOR AGENTでは、アシスタントさんがいて、プロデューサーがいて、というかたちになっているんですか?

佐藤さん
はい。QREATOR AGENTが特にそういう風になっています。プロデューサーって、職人的な職種だなと近頃感じています。ある程度経験しなければダメなことと、優秀なプロデューサーは独立してやっている方が多いな、とこの一年間くらいで気づいたんです。なので、クリエーターの人たちくらい、優秀なプロデューサーの存在も稀有で希少価値の高い存在だと思っているので、2017年からはプロデューサーも社員というかたちではなくて、登録制にしようかなと考えているんです。

今、そういったいろんな人たちにプロデューサーとして登録しておいてもらって、アーティストがプロデュースしてほしいと相談してきた時に、うちがマッチングするという会社になっていこうかなと思っています。

QREATOR AGENTにアシスタントとして入るといろんなプロデューサーについていろんな分野のことが学べるし、さまざまなクリエーターと接することができるので、それがアシスタントがプロデューサーに育っていく環境になっていくんじゃないかなと思うんです。

古川
プロデューサーから学ぶことと、クリエーター自身から学ぶこと。二つあるということですね?

佐藤さん
そうですね。そうしてアシスタントに経験を積んでもらって、自分でもうできるなと思ったり、こちらから見て大丈夫だなと思ったりした人には、独立してもらうというかたちにしたいなと。もしかしたらうちに登録しているクリエーターと一緒に会社をつくって、例えばジブリの宮崎駿さんと鈴木敏夫さんみたいになったなら、それはすごく良いです。

古川
プロデュースしながら、プロデューサー自身も育てるという会社になっていく、ということですね。

佐藤さん
はい。いいプロデューサーになるためには、やっぱり現場に行くしかないと思うので、その時にいい環境にいれば、いいプロデューサーになるための成長スピードを速められると思っています。プロデュースしながら、プロデューサー自身も育てたいですね。アシスタントもプロデューサーも絶賛募集中です!

古川
佐藤さん、本日はありがとうございました!

 

こうして、“クリエーターのプロデュース”についてお話いただくトークセッションが終了しました。この後は、会場の参加者からの質疑応答の時間へ。そして、参加者が提出した事前課題に、ひとつずつ丁寧に講評いただきました。

参加者の中には、プロデューサーを目指しているという方や、すでにご活躍されていて、これからますますプロデュース力を高めていこうとする方など、さまざまな方がいらっしゃって、会場は佐藤さんの言葉を一言も逃すまいと熱気に包まれていました。

普段から見ているテレビ番組やCMの舞台裏のお話、現場で扱われている企画書のお話など、普段は聞くことのできない貴重なお話を聞けた第二回目のPRODUCERS CAMP TOKYO。第三回目のゲストは、ライブエンターテイメントのプロデューサーとして第一線で活躍されている依田謙一さんです。(依田さんの”手の内”は当日ご参加いただいた方限定でのご紹介となりました。)
第四回目のゲストは、数々のお化け屋敷を手がけられてきた恐怖体験のプロデューサー五味弘文さん。次回のレポートも、どうぞお楽しみに。