News

社会課題の解決に挑む起業家を支援!「Unreasonable Lab」日本初開催

2015/11/06

10月17日(土)を初日に、リクルートホールディングスが協賛する
「Unreasonable Lab(アンリーズナブル ラボ)」が開催されました。

社会課題を解決するビジネスや起業家を支援している「Unreasonable Institute (アンリーズナブル インスティテュート)」が、世界各国のチームと協働で提供しているこのプログラム。5日間という短期期間で、社会起業家に知見や資源(ヒト、モノ、カネ)、チャンスを提供することで彼らのプランを加速化させることを目的としています。
共同設立者であり、CEOであるDaniel Epstein(ダニエル・アプスタイン)氏の想いに共感したメンター(助言者:起業家、著名人含む)や投資家、賛同者が国を超えてプログラムをバックアップしています。

今回、開催国に日本を選んだ理由を
「日本は戦後かつてない危機に直面しています。ハイパー高齢化社会、福島原発事故をきっかけとして見直しが問われるエネルギー問題、21世紀を生き延びるためのクリティカルシンキングを重視した教育の欠如など、大きな課題の解決が求められています。日本にいま必要なのは、明治維新や戦後時のような大変革です。『Unreasonable Lab』では、いまの時代変革を推進する力となるボトムアップ型のイノベーションが日本に不可欠だと考えています」とコメントする主催側。

社会をより良くするイノベーションを推進するリクルートホールディングスのスタンスとも重なり協賛の運びとなりました。

01-1-2-2

(ペンギンは「Unreasonable Lab」のマスコット。鳥類の中で最も過酷な環境で卵を孵化させることから、困難をものともせずにビジネスプラン(卵)をインキュベート(孵化)させる起業家支援プログラムを象徴しています。)

プログラムが初めて実施されたのは2010年。これまで45カ国から116チーム、700万人が参加。うち79%のチームが資金調達に成功(累計96億円)。社会課題を解決するビジネスを勢いをもって推進しているといいます。

過去、日本から参加したチームはゼロでしたが、日本で初めての開催となる今回、国内から50チームのエントリーがあり、最終的に11チーム、リクルートグループからも推薦枠として2チームが参加となりました。

通常、半年から1年かけて行うプログラムを5日間に圧縮したというプログラムは、以下の内容。

1日目:構成要素マッピング+顧客発見
2日目:ラピッドプロトタイピング
3日目:マーケットテスト+関係構築
4日目:メンターデー
5日目:損益プラン検証+戦略プランニング

プログラムのベースとなるのは、エリック・リースが提唱する「リーン・スタートアップ」の考え方。
“スタートアップ”とは「起動」「始動」「立ち上げ」を語源とし、創業したばかりの企業や、はじめたばかりの事業を表します。
“リーン”は「痩せた」「引き締まった」「無駄のない」の意。
そこから、「リーン・スタートアップ」とは小さな失敗を効率的に重ねて、無駄なく、迅速に事業を育てる手法を表し、日本でも浸透してきました。

「リーン・スタートアップ」の考え方を机上で学ぶだけでなく、実践的なワークや、投資家などゲストに向けたピッチ(プレゼンテーション)、ビジネスパートナーとの出会いを提供する交流会といった機会も設けられ、修了時には、以下の状態を目指す仕立てとなっていました。

•ビジネスモデルの基本的な想定を明確にしたベンチャーマップの完成
•顧客発見手法について、何度でも使える手法の習得
•キーとなる要素を含んだ2−3のプロトタイプの作成
•見込み顧客とのプロトタイプテスト
•メンターとの関係構築と維持の仕方
•10〜12人のグローバルなメンターからのフィードバック
•損益分岐点分析を実施し、主要なコストや経理的なコストの予測を明確化。
•簡単な予算と財務分析の実施
•6ヶ月のオペレーティングプランの作成

本レポートでは、初日のプログラムと
4日目に行われた特別対談(Daniel Epstein×尊泰蔵氏)、ピッチ、交流会をレポートします。

◎プログラム1日目

美味しい朝食から午前中のプログラムがスタート。
参加者の自己紹介の後、
「Unreasonable Lab Japan」のリーダーSamuel Goodman氏が登壇し、
「リーン・スタートアップ」の考え方をベースに講義しました。

02-2

講義の後には、学びをもとにしたワークに。
「リーン・スタートアップ」の実践フォーマット「リーン・キャンバス」を使い、起業の初期段階における不確定な要素をクリアにしていきます。
03-3

ワーク後は、ランチタイム。
5日間の圧縮型プログラムということでこの時間も無駄にしません。
食事をしながら、スタートアップの先輩であるToshihiro Nakamura氏(CEO & co-Founder, Kopernik)の貴重な経験談に耳を傾けるという仕立て。
そのほか多彩なゲストがプログラムをバックアップしました。
04-5

午後は、フィールドワーク。
90%のスタートアップが、初期段階で仮説を見誤っているというデータが示すように主観や思い込みは事業を育てるうえで大きな障壁。
ヒアリングシートを手に渋谷の街にでて想定顧客に声をかけ、リアルに検証していきます。

「ネットで声を集めることもできますが、特別な理由がない限り、対面で話を聞くほうをおすすめします。勇気が必要ですが、スタートアップは挑戦の連続。意志を持ってやりきりましょう」

と主催側。
声のかけ方、本音を引き出すヒアリング手法についても指導がありました。
07-8

街でヒアリングする際に使用したシート

プログラムを支えたのは、スタートアップを支援する組織「Slush Asia」をはじめとする35人のボランティアスタッフ。
司会進行や同時通訳、参加者への助言など、力強い支援が行われました。
中には、スタートアップを目指す学生も。彼らとの関わりも、参加者の刺激となりました。
06-14

プログラムの終わりには、交流会が。
社会起業家と、彼らをサポートするスタッフという立場を越え、集った人すべてが「世界を変えよう」という想いでひとつになりました。
08-12

◎プログラム4日目

社会起業家と、メンター、投資家をはじめとするゲストが一堂に会した4日目。

まずは「Unreasonable Lab Japan」のリーダーSamuel氏が登壇し、
「Unreasonable Lab」の紹介と想いを語ります。
10-1-2

続いて、Daniel Epstein氏と連続起業家兼投資家で、
スタートアップ支援を手がけるMistletoe株式会社の代表取締役社長
孫泰蔵氏の対談が行われました。
12-3

写真左から孫泰蔵氏とDaniel Epstein氏

この対談ではじめて顔をあわせたというふたり。
Daniel氏がいちばん聞きたかったこととして、
「人口の1割にもなる人がプレイしている「パズドラ」の成功から学んだことは?」に対し、

孫氏は「お金儲けやダウンロード数より、(人々から共感を得られる)新しくて面白いゲームをつくることだけを考えていた」
と語ったうえで
「SNSがあるいま、戦略を考えるうえでも共感を得ることはすごく大事。人を巻き込むことが前よりも簡単になったことでビジネスロジックが変容している。難しい課題に挑む社会起業家がいて、それが本当にエキサイティングなことであればサポートしたいという人は大勢いる」
と会場に訴えるとともに

「社会起業家が挑む課題をサポートするには、
お金や問題を解決する力よりも人と人をつなぐ力」

とし、
自らも幸せの連鎖の担い手として貢献したいと想いを伝えました。

一方、日本の社会起業家が直面している問題として、日本の文化について触れました。

シリコンバレーやハリウッドには社会起業家と、彼らのプランに巻き込まれたい人とのつながりが生まれやすい環境があるのに対し、日本は改善されつつあるとはいえ遅れている部分がある。失敗にネガティブな文化もあるといいます。
孫氏は、自らも多くの失敗をしてきた苦い経験に触れたうえで、失敗を恐れることはないし、その失敗は若い人の背中を押すという意味でも貴重であり、社会起業家と多くの人が接する機会を提供する「Unreasonable Lab Japan」は、日本に良いサイクルを生むきっかけだと賞賛しました。

また、社会課題の解決を支援するプログラムを多く目にしてきた孫氏が「これほど短期集中型ははじめて!」と驚いたという「5日間の圧縮型プログラム」について話は広がり、

Daniel氏は「5日間であっても1年間であっても決して充分とはいえないが、起業家のアイデアから生まれた火花を炎にする手助けができたらと思う。ほかのプログラムが職業創造やアイデアの共有に軸足を置いているのに対し、社会にインパクトを与えることにフォーカスしている」
と語りました。

そして、孫氏の「私たちに何を望みますか?」の問いに対し
Daniel氏は「コロラドのプログラム(起業家が5週間に渡って共同生活しながら刺激を与え合う)にもぜひ参加してほしい。
世界やコミュニティ、住んでいる街をもっとよくするために挑んでいる人たちから刺激を受けてほしい。
一緒に失敗しましょう。また挑戦して、失敗して挑戦して、いっきに成功しましょう。夢を追うだけでなく、実現しましょう」
と会場に呼びかけました。

13-5

対談で初めて顔をあわせたというおふたりですが、すっかり意気投合のご様子。
「これからも『Unreasonable Lab』を応援していきたい」と語る尊氏。

◎ピッチ

対談で場が温まった後には、いよいよ社会起業家11組によるピッチがスタート。持ち時間は各チーム2分。
ビジネスプランを端的に伝え、投資家や賛同者に支援を呼びかけます。

Edaya

フィリピンの高山地帯の先住民族にインスパイアされた原体験をもとにオリジナルブランド「Edaya」を創設。 “マイノリティー(社会的弱者)のエンパワーメント(湧活)”をテーマに、アジアの地方でロールモデルとなるような、 隠れた才能や資源を活かすブランド・社会的企業の構築を目指す活動をプレゼンテーション。
14-6

 

K2&Company

精神疾患を抱える人が、気軽に悩みをカウンセラーに相談できる LINEをベースにしたマッチングサービス「K2&Company」と、日本に600万人いる ADHD(注意欠陥・多動性障害)患者を対象に、短期記憶の補助を助ける自動音声記録ツール「&HAND」をプレゼンテーション。
15-7

 

Coaido

心臓が突然とまってしまう人は1日に200人。生存率は10%。AED活用率を向上させることで、救える命がある。心停止者救命支援アプリ「AED SOS」の開発を通じ、病院外心停止者のいる現場にAEDが迅速に届けられる共助システムの構築を目指す活動をプレゼンテーション。
16-8

 

Manabicia

「新しい学びを通じて働く女性を幸せにする」をミッションに、女性管理職の人々をメンターとして働く女性とつなぐプラットフォームの構築を目指す活動をプレゼンテーション。目的達成後に料金が発生し、その料金は発展途上国の女性支援に使われるといいます。
17-9

 

Uptree

介護支援NPO「Uptree」。介護離職や介護うつが社会問題化しているなか、解決策として介護者手帳の作成を提案。介護者同士のコミュニケーションを促進し、介護うつの低下と介護が続けられる社会づくりを目指す活動をプレゼンテーション。
18-10

 

Stela

シングルマザーを経済的困窮から救いたいとの想いから無料プログラミング学習サービス「Stela」を提案。PCがなくても使えるスマートフォンで完結する仕立てであり、ユーザ同士のつながり、求人情報との連動も。
19-11

 

スポーツ×地域共生

愛知県には5万人、静岡県には3万人の在日ブラジル人が在住。その中央に位置する浜松にプロ野球チームを創設することで、スポーツを介した多文化共生をはかるプロジェクトについてプレゼンテーション。
20-12

 

防災ガール

防災意識が高い20〜30代の女性で構成されるコミュニティ「防災ガール」。震災時、92%の人が安否確認できなかったというデータをもとに、子供たちの靴に GPS 機能の入ったセンサーを入れ、母親が居場所をモニタできるサービスの開発を目指す活動をプレゼンテーション。
21-13

 

ネイバーキッズ

リクルートグループが推進する「はたらく育児」を応援するプロジェクト「iction!(イクション!)」からのエントリー。お母さんとシッターのマッチングプラットフォームを考案。マッチング成立時に、ネイバーキッズがシッター代金の一部を手数料として取得するビジネスモデル。
22-14

 

Reluff

空間のイメージを即座に形にするプラットフォーム「Reluff」。
夢の中で見たものを実際に形にする方法を人類にインストールすることを目指して活動。その一環として、子供や社会人が考えたものをラピッドプロトタイピングしたものを展示するといった活動などをプレゼンテーション。
23-15

 

Learning Journey

保育者として乳幼児施設の運営に携わってきた知見から、本物と出会い、実際に触れることで、子供たちの情操教育に良い影響を与えることができ、他人に優しい人間として育つとし、乳幼児の体験プログラムを開発している活動をプレゼンテーション。
24-16

25-18

ピッチに聞き入るゲストたち。

ピッチ後には、メンターを囲んでのダイアログ(対話)が設けられました。
それぞれのビジネスプランに対し意見を交わし、気づきを得ます。
27-19-2

ダイアログの後には、スペシャルメニューとお酒を楽しみながらの交流会が開催に。
28-29-4

美味しさはもちろん、見た目にもテンションがあがるオリジナルメニュー。

31-22

5日間の圧縮プログラムを開発したBanks Benitez氏。
プログラムも終盤に差し掛かるなか、リラックスした面持ちで交流を楽しんでいました。

32-21

会場には、「iction!(イクション!)」プロジェクトのリーダーを務める小安美和氏の姿も。

33-26

Daniel氏からエールとともに、協賛企業の紹介を得た玄正氏。

参加者が投資家や賛同者との交流をはかる中、Daniel 氏と、協賛を推進したリクルート ラドクリフ氏との間でも今後の展開が期待される対話が生まれました。

「今日、どれだけの人が集まってくれたのか、みんなが世界を変えるんだ、という意思のもとに
集ってくれたことが素晴らしい。今回の開催を実現してくれたリクルートに対し、私たちはどのように還元したらいいだろう」と尋ねるDaniel氏に対し、

「ひとりの学生が思い描いたビジネスプランがリクルートの原点であり、スタートアップには親和性がある会社です。社会をより良く変える事業の創造や、起業家の支援を目指すいま、今後も交流を深めながら、社会を変えるインパクトを生む海外の起業家やメンターの紹介を期待します」
と返したラドクリフ氏。

さらに「今回の開催が、グレートなパートナーシップのスタートライン」とDaniel氏。

「スタートアップが苦労するリクルーティングにおいてもリクルートに期待したい」と新たな可能性を語ってくれました。
34-24

左からDaniel氏とラドクリフ氏。

熱狂のまま幕を降ろした5日間。
この手応えをもとに、次なるプログラムがどのように進化するのか。
そこからどのようなイノベーションが生まれるのか。
世界が熱い眼差しで見守るなか、
リクルートグループは「Unreasonable Lab Japan」との出会いを活かし、
新たな領域へと挑みます。失敗を恐れずに。

35-25-2

交流会の参加者。Samuel氏のお気に入り「わっしょい!」の掛け声とともに、刺激的な出会いを記録しました。