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UX Days TOKYO×UX Sketch「パネルディスカッション」 -UX Sketch vol.12

2016/06/28

5月26日(木)、銀座 Media Technology Lab.(以下、MTL)Caféにて、UX Sketch vol.12が開催されました。

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<当日スケジュール>
18:30〜:開場
19:00〜:オープニング
19:10〜:個別インタビュー
20:00〜:パネルディスカッション・質疑
20:30〜:懇親会
21:20〜:クロージング
21:30:解散

今回のUX Sketchは、開始以来初めての試みとしてUX Days Tokyoとの共同開催となりました。

当日は、UX Days Tokyoの参加者のみなさまをパネラーに、UX Days Tokyoの菊池崇氏、大本あかね氏をモデレーターにお招きしました。

まず、大本氏よりUX Days Tokyoについてのご紹介。
UX Days Tokyoは、海外からスピーカーをお招きし、UXにまつわる海外事例を紹介する、年に一度のカンファレンスで、2016年はUXにIA(=Information Architecture、情報設計)をエッセンスとして加えているのが特徴です、とお話しいただき、本題へ。

パネラーのみなさん一人ひとりにお仕事内容などお話しいただきました。

おひとり目のパネラーは和田記光氏(アシアル株式会社チーフデザイナー)

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現在は、アシアル株式会社で、UI/ UXデザイナー、また、グラフィックデザイナーの統括を務めているそうです。海外事例や、最前線の事例を社内に持ち帰りたいという思いから、UX Days Tokyoに参加したと話しました。

次に、和田氏がお仕事の中で取り組んだ、デザインスプリントについての事例をご共有いただきました。
デザインスプリントは、インタビュー(課題整理)、スケッチ・ワイヤー作成、投票、プロトタイプ作成、インタビュー(フィードバック)という段階を踏みます、とご説明いただき、かつ氏は最初から全ての段階を踏むのは負担が大きいのでは、と考えたことに加え、課題整理は既存のものがあったので、今回は「スケッチ・ワイヤー作成、社内投票」のみをやってみたそうです。本を見ると、全てのプロセスを回さなきゃいけない、と思うこともあるかもしれませんが、講師のダニエル・ブルカ氏も状況に合わせて工程をカットしたり短縮すると仰っていたので、今回はそれに倣いスモールスタートで行ったそうです。スモールスタートにしたことで負担も少なくすんなりと導入できたので良かったと語りました。加えて、5日間でより良いアイディアの選択から検証までを行えるのがデザインスプリントの最大のポイントだと言い、月曜日に始まり、金曜日に終えることができることで、休日というラグが開かないのはチームにとっても良いモチベーションとなったと語りました。
また、社内フィードバックが足りていなかった部分があったと振り返り、今度は最後のフィードバックインタビューに力を入れたいとのことでした。
最後に、デザインスプリントはアイディアの選択・検証を行うことで、製品にとって正しい道を選ぶ作業であり、これらの作業を1週間に凝縮して行うので何度も繰り返すと負担が大きくなってしまう、とも語り、ダニエル・ブルカ氏もセミナー内で話していたように、毎回ではなく、ここぞという時にだけやるのが良いのでは、とまとめました。

 

お二人目のパネラーは、岩田裕平氏( NTTレゾナント株式会社)

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普段はR&D部門でプロジェクトのディレクションや、フロントエンドのエンジニアリングを行っている岩田氏からは、NTTの社内のプロジェクトを多く取り扱っているため話せることはあまり多くない、と前置きした上で、ご自身が関わるUXについて、お話しいただきました。
まず、UX Days Tokyoへの参加動機として、情報設計に興味があり、また海外の先進的なケーススタディを聞きたかったそうで、UX Days Tokyoの登壇者でもあるアビー氏の書籍でも多く使われる、「混乱」を解消するためのマインドセットを取得したかった、と話しました。
この「混乱(=カオス)」とは、様々な情報があふれかえっていることを指すとアビー氏は紹介していたそうです。
情報設計は、Webの文脈ではWebサイトの中でどのような言葉を使うか?、何をわかりやすくするか?を整理することに重きが置かれがちですが、チームやプロジェクト内でのコミュニケーションにおいても、言葉を整理して、使う言葉をシンプルな言葉に制限することにより、齟齬が無くせることを学んだと話しました。

ここで、大本氏は、「私も書籍を読んで、自分は『混乱』しない、と思っていましたが、実のところ世の中、『混乱』だらけだと気づきました。アビー氏の言葉を借りれば、その『混乱』を越えてこそ、よりよいWebサイトが作れるんですよね。」とつけ加えました。

岩田氏からは情報設計の実例を2つご紹介いただきました。
1つは「コントロールドボキャブラリー(統制語彙)」、という考え方の導入。
プロジェクトの中で使われていた煩雑な名詞を整理し、使っていい名詞と使えない名詞を設定することで、コミュニケーションロス、齟齬がなくなったと話しました。
もう1つは、チャネルに応じた情報の整理。
異なるコンテキスト、ユーザーにどう見せるのかを、PCやスマホ、デジタルサイネージといったインターフェイスごとにコンテンツを整理したそうです。この時初めて各々のインターフェイスに合わせて、設計をしたのだそう。アビー氏のワークショップで、スマホ向けアプリとPC向けWebサイトのUIとUXを整理し、それぞれのユーザーの使い方に応じたUXが実現されていることを再確認したといい、このような取り組みがよりよいUXにつながっていると話しました。
また、大きい組織の実務担当として、まずは小規模の改善を重ねて、組織に普及させていいきたい、と今後の抱負を語りました。

三人目のパネラーは久須美達也氏( NTTレゾナント株式会社)

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お二人目のパネラーである、岩田氏と一緒にお仕事をされているという久須美氏は、現在gooニュース・gooスポーツのプロデューサーとして、企画・運用・開発管理までをされています。
UX Days Tokyoへの参加理由について、海外のトップクラスの登壇者が多いのはもちろんのこと、ストーリーボードに関心があったことが一番大きかった、また、ワークショップで米国ヤフーでUXデザイナーの経験を持つ、講師のケビン氏から実際にストーリーボード作成のレクチャを受けられることを楽しみにしていました、と話しました。
ワークショップの中でケビン氏は、ストーリーボードを書くためには、まずスクリプトを書いて、そこから不要な部分を削っていく、そうして必要な部分だけを残す、それが大事なのだと伝えたそうです。
ストーリーボードの作成の手順として、「絵」を描いてから、スクリプトを書く人も多いかと思うのですが、先に「絵」を書くと、必要なことが書けなくなるので、先に洗練されたスクリプトを書くことが重要だということを学んだそうです。

また、実務でストーリーボードを取り入れた成功例として、自分たちが目指しているゴールへのプロセスに関するチーム内の認識ずれが企画時にわかり、すぐに修正できたこと、と紹介し、また失敗例としては、ストーリーボードを用いて上司へ説明する時に手書きの絵ではなく「写真」を使ったこと、と話しました。というのも、具体的な写真を使ったことで、サービスの本質とは関係のない部分でつっこまれてしまい、本題についてなかなか話ができなかったそうです。ケビン氏も、ストーリーボード内の人物はある程度抽象的にすることで、ストーリーボードを見る人が自分を投影しやすい、と話していたそうです。
他のツールと比べ、ストーリーボードがすぐれている点は、「何よりも、ストーリーであること」。その理由は、ユーザーがゴールに至るまでの実現方法をストーリーで伝えるため、認識のずれや内容の漏れなく相手に伝えることができること、また、コンセプトがぶれている場合に早い段階で見つけられること、と話しました。
最後に、現場で起きているUXに関する問題として、社内での「UX」の伝わり方に課題感を感じている、ボトムアップのアプローチに加えて、理解のある中堅層をうまく巻き込みながら、社内全体に波及させていくのがよいのでは?と会場に提言していました。

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最後に司会の松川より、MTLが運営するL’OREMについて紹介させていただきました。
「ビジネス」と「デザイン」を考察するキュレーションメディアとして、国内外のUXに関する記事を和訳して掲載しているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

次回のUX Sketchは7月に開催予定です。お楽しみに!