News

3つの視点から見るIoT -UX Sketch vol.14レポート

2016/10/13

7月26日(火)、銀座・Media Technology Lab.(以下、MTL)Caféにて、UX Sketch vol.14が開催されました。

ux14_5

今回のテーマは「3つの視点から見るIoT」とし、IoTプロダクト、IoTサービス、そしてIoTを実現する上で欠かすことのできないインフラ、この3つの立場から、UXについてお話しいただきました。

<ご登壇者>
佐藤未知 / チカク | まごチャンネル 共同創業者
木村大介 / リノベる。 新規事業部
清水雄太 / ソラコム シニアソフトウェアエンジニア

 

おひとり目のご登壇者は、佐藤未知氏(チカク | まごチャンネル 共同創業者)。

ux14_1

電気通信大学で博士号を取得、シンガポールの企業でIoTプロダクト開発の経験をされた後、現職に就かれたという佐藤氏。
現在は研究の側面を持ちながら、ハードウェアの制作、プロトタイプづくりをされていらっしゃいます。

本題に入る前に、今回事案例としてご紹介いただく、IoTプロダクト、「まごチャンネル」について簡単にご説明いただきました。

まごチャンネルは、こどもの写真を撮り、専用のアプリに保存すると、祖父母宅のテレビに映り、さらに、祖父母が見始めるとスマホに連絡が来るという、見守りツールとしても機能するIoTプロダクトと、ご紹介いただきました。

そんなまごチャンネルを開発していく中で、どんな取組をしてきたかをUXに重点を置いてお話しいただきました。

そもそも、PCのスライドショーをつなげば良いのでは?と思う人も少なくないかもしれませんが、そもそも高齢者の家にWi-Fi環境が整っていることは少なく、且つ使いこなせる可能性も見込めないことから、Wi-Fi使用の選択肢は最初に除外。携帯で一般的に使われている3Gネットワークを採用したそう。祖父母宅ですぐに使えることを考えると、シンプルな構造でないと使われないと考え、機能をそぎ落とし、今の形になったと話しました。

次に、量産段階での施策についてご紹介いただきました。

量産フェーズでは、プロトタイプの作成時とはまったく違う問題が出てくるのは、よくあること、と前置きし、佐藤氏がこだわった筺体のデザインについて、お話しいただきました。

筺体デザインにおいては、外部のプロダクトデザイナーに入ってもらい、様々なデザインを考え、ターゲットであるおばあちゃんに見せていったそうですが、10人中10人が「かわいい!」というデザインにたどり着くまで考えたデザインはなんと70案。そこからさらに、10回ほど微修正を加え、今の形になったそうです。

また、「UX」ということでさらにこだわったのがパッケージだそうで、届いてから使うまでのストーリーをイメージして、箱が開くのにかかる秒数を指定したこともあった、と話しました。

最後に、IoTハードウェアスタートアップはものすごく大変、と話しながらも、なぜIoTハードウェアをやっているかの理由については、「今までできなかったことができるようになる」ことにワクワクしているからだと語りました。

今後、ハードウェアと通信技術においては、もっと新しい通信規格が出てくることでパラダイムシフトが起こるはず、それが今から楽しみと、結びました。

 

おふたり目の登壇者は木村大介氏(リノベる。 新規事業部)。

ux14_2

木村氏が所属するリノべる。は、IT系の会社ではなく、中古物件をリノベーションして販売をする住宅販売会社。その中で、木村氏はスマートハウス事業を担当していらっしゃいます。

この日は、「UXドリブンの事業開発とは?」をテーマに、木村氏が手掛けたサービス開発についてお話しくださいました。

まず、リノベーションとは、古い物件に全く新しい価値を提供する、住宅取得の新しい方法だと紹介、メリットも多い領域ですが、築年数の古い物件を探して、自分でリノベーションを手配や、ローンの審査手続きがが面倒、などといったデメリットをワンストップで解決するのがリノべる。だと紹介しました。

さらに、次世代のリノベーションを提案するのが、リノべる。のスマートハウス事業。

木村氏は、スマートハウスで生活がどう変わるのかを知るために、モデルルームにスマートデバイスを置いてみて、一般に公開。すると、インターフェースとなるはずのタブレットがアプリだらけになり、何をするために何をしたらいいのかをユーザーが理解できなかったそうで、デバイスを置いただけでは生活は豊かにならない、とわかったと話しました。
そこでリノべる。がすべきことは「家づくりから豊かな生活までトータルで提案すること」と定義。売り切りではなく、生活が始まってからもサポートし続ける、と決めたのだそうです。

ここから本格的なサービス開発が始まるわけですが、木村氏はまず、この製品がもつコアな価値とコミットしないことを先に決めているそうで、そのためにUXを先に定義していると紹介しました。
というのも、必要な機能を羅列することから始めて、様々な齟齬が起こっていたと言います。

例えば、あとから「あれもやろう、これもやろう」と言い出すことがあったそうですが、これはチーム内コミュニケーションの齟齬。「あれもやって」と言われたことに関しては、チーム外とのコミュニケーションの齟齬、「なんでやってるんだっけ?」と思ったことについては、過去の自分との齟齬がそれぞれ起こっていそう。今では、この3つの齟齬が極端に減ったとお話しいただきました。

次に、現状のUXを明確にするために、カスタマージャーニーマップを用いて、フェーズごとのアクション・感情をまとめていったそうです。
その中のマイナスの感情をプラスの感情に転じさせることができる機能を作るべき、とし、ユーザーの行動をどう変えていくかをデザインするかが、UXをデザインすることなのだと話しました。

また、IoTにおいては、価値の最大化だけを考えるのではなく、技術の実現性も考慮しなくてはならないので、鳥の目(俯瞰する目)と虫の目(細部を観る目)を駆使し、優先順位をつけていくのだと話しました。

最後にまとめとして、UXという言葉、Web関連以外でも使える言葉だと話し、UXドリブンで開発を行うことは、ユーザーの課題が浮き彫りになること以上に、チーム内のコミュニケーションロスがなくなるなどの収穫も多いので、ぜひ取り入れてみてほしい、と会場にメッセージを送りました。

 

最後の登壇者は清水雄太氏(ソラコム シニアソフトウェアエンジニア)。

ux14_3

清水氏は、製造業のシステム構築や、クックパッドでの人事評価システム開発等を経験された後に、ソラコムが立ち上がるタイミングでジョイン、現在は専門ではないながらも、UIUXに取り組んでいると話しました。

ソラコムは、「世界中のヒトとモノをつなげ、共鳴する社会へ」をミッションに、IoT向けの通信プラットフォームを提供しています。

IoT向けの通信プラットフォームといっても、有線・無線、またBluetoothなどそれぞれに固有の問題があります。ソラコムが提供するモバイル通信は、電源さえ入れれば、煩雑な設定などなしに電波が入ることから、IoT領域でもニーズがあるはずだと予測。料金体系をIoT向けに設定し、サービスを提供しているそうです。

現在3000以上のお客様にご利用いただいている理由については、従量課金という使いやすい料金体系と、クラウドとの統合が容易でスモールスタートが可能な点と分析しました。

また、ソラコムが力を入れて取り組んでいることとして、エコシステムの構築について紹介しました。

また、業界全体でIoTを盛り上げていくための、ソラコム独自のパートナープログラムがあるそうです。パートナー企業には、新規サービスをリリース前に試用を依頼、フィードバックをもらいよりよいサービスにつなげたり、パートナー企業の動作確認の負担を軽減するために、ソラコムで動作検証をしたデバイスを紹介などしているそうです。

最後に、通信サービスを作って売るだけではなく、普及させるアクションを実現するためには、チームも大事、とし、全員がリーダーというフラットな組織づくりをしていると話しました。

さらにソラコムには、リーダシップステートメントという、“憲法”のようなものがあると紹介。組織の規模やフェーズが変わっていく中、陳腐になっていかないように3か月置きに全社員で見直しを行っているそうで、迷った時に立ち戻るところとして機能しており、自分が間違えたときにも納得することができるので、いろんな組織でも試してみてほしい、と語りました。

 

その後懇親会を設け、閉会となりました。

今後のUX Sketchもお楽しみに。

ux14_4