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2015年ベストアプリチームから学ぶ!デザインコンセプト設計 UX Sketch vol.7

2016/02/08

1月29日、UX Sketch Vol7が開催されました。
今回の会場は、Vol4以来の開催となった渋谷TECH LAB PAAK。平日の開催にも関わらず、80名を超える参加者にお集まりいただきました!

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<当日のスケジュール>
18:30〜 開場
19:00〜19:35 冨樫 晃己(AWA Co. Ltd. – Product Manager & Interactive Animator)
19:35〜20:00 花城 泰夢(株式会社トランスリミット – デザイナー)
20:00〜20:25 片山 育美(クックパッド株式会社 – デザイナー)
20:25〜20:30 会場整備・アンケート
20:30〜22:00 交流会

 

今回のテーマは、「2015年ベストアプリ輩出チームに学ぶ、デザインコンセプト設計」。

昨年のiOS・androidベストアプリに選ばれたアプリの制作チームのデザイナー・ディレクターをお呼びし、新規事業開発やアプリ開発におけるデザインコンセプト設計についてお話しいただきました。

 

おひとり目の登壇者は、冨樫 晃己氏(AWA Co. Ltd. – Product Manager & Interactive Animator)。

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3000万曲以上を配信する定額制のストリーミング音楽配信サービス・AWAのプロダクトマネージャーであり、インタラクションアニメーターを務める冨樫氏からは、サービス発足時より掲げているサービスコンセプト「リコメンドが強みの音楽聴き放題サービス」を実現するための3つのポイントをご共有いただきました。

1つ目のポイントは、「ワクワクするリコメンドの精度」。

(このサービスは)自分に合ってる!と思ってもらうために、当初想定していた、AWAのエディターのみがプレイリストを公開するのではなく、1人1人のユーザーがプレイリストを公開し、好みに合わせてリコメンドする、という仕組みを導入することで、多種多様な音楽の世界観をパーソナライズするようにしたそうです。

2つ目のポイントは、「おしゃれで、初心者でもわかりやすいUI/UX」。

「おしゃれ」と「使いやすさ」は相反しがちなため、かなり難しいテーマだったそうですが、普段目にしているもの(現実世界にあり得る表現やOS標準の挙動)に近づけ、直感的に操作できる統一性のあるデザインを取り入れることで、「おしゃれ」を意識したときに失われやすい「使いやすさ」を維持する工夫をした、とお話しいただきました。

3つ目のポイントは、「ストレスフリーな反応と音質」。

差分同期や高速なストレージを使用するなど、最小限の通信にとどめても、通信は発生してしまいますが、さらにUXの工夫があったとお話しいただきました。

AWAでは、“Loading(通信中)”という表現をやめ、さらに、通信中は操作できないという固定概念を払拭、通信中とはわかりながらも操作可能にすることで、イライラを軽減できたそうです。

また、チュートリアルは強制しないガイドアニメーション程度のものを1か所に抑えることで、”今”やりたいことが”今”できないストレスを最小限にし、ユーザーの「音楽を聴く」体験を阻害しないサービスが実現できた、とお話しいただきました。

最後に、UI、システム、アニメーションまで全て含めたUXを「ユーザーとの非言語コミュニケーション」と定義した上で、UXとビジネスプラン(事業設計)がうまくかけあわさった時にユーザーとサービスの調和は生まれるのでは、とまとめてくださいました。

 

おふたり目の登壇者は花城 泰夢氏(株式会社トランスリミットデザイナー)。

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編集とデザイン、Webのコンテンツデザイン、さらに海外で新規事業の立ち上げを経験し、帰国後にトランスリミットにジョインした花城氏は、まずデザインとは装飾ではなく、コンセプトを磨くことと提言、その実現方法として、「類似サービスの研究、一目でわかるデザイン、デザイン案は100本ノック!」という3つのメソッドを紹介してくださいました。「徹底的なリサーチ、企画は3行、企画は100本ノック!」という編集者時代の3本のメソッドと共通していて、違う職種でも経験が活きているとお話しいただきました。

続いて、実際に花城氏がデザインコンセプトを手掛けた2つのプロダクトのデザインコンセプトの作り方についてご共有いただきました。

1つ目の『Brain Wars』は、ゲームコンセプト設計時よりグローバル展開が視野に入っていたそうです。そこでテーマを「スマホ時代だからできる頭脳のオリンピック」とし、デザインコンセプトを設計していったそうです。わかりやすいルールとフラットデザインをとりいれて人気のあるゲームに倣い、デザイン方針は、「シンプルなフラットデザイン」、「直感的に老若男女が楽しめる」加えて、「非言語化で翻訳コストカット」に決まっていったそうです。そうしてリリースされたBrain Warsは全世界で1600万ダウンロードを超え、そのうち海外比率が95%、さらに38か国以上でベストアプリを受賞し、これはテーマに沿ったデザインコンセプトが設計できた結果では、とお話しいただきました。

リリース一か月で1000万ダウンロードを達成した2つ目のプロダクト、『Brain Dots』は、ローンチ時からローカライズできなかったBrain Warsの反省点を活かし、ローンチ時より15か語に対応したそうです。結果アメリカがダウンロードシェア1位だったBrain Warsに対して、Brain Dotsは韓国がシェア1位になったそうですが、その理由として、韓国版ではハングルでタイトルをデザインしたことが、うまく当たったようだ、と分析していました。

以上の経験から、デザイナーとエンジニアの間にUIとUXがあると前置きした上で、良いデザインを実現するためには、お互いがお互いを尊重し、コンセプトを磨きあげることが大事だ、とまとめてくださいました。

 

さいごの登壇者は片山 育美氏(クックパッド株式会社デザイナー)。

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現在、クックパッド株式会社で新規事業の立ち上げ責任者を務める片山氏からは、昨年リリースした「くらしのきほん」の立ち上げ時にぶつかった様々な問題について、「デザイナー一人で始めた新規事業の話」をテーマにお話しいただきました。

「ユーザー視点でデザインをやるぞ!」と意気込んでクックパッドにジョインした片山氏が、最初に直面したのが「ユーザーの気持ちわからない問題」でした。この問題の解決の糸口は意外にも、スタッフかつヘビーユーザーという存在だったそうです。そこで、「ヘビーユーザーになれば、ユーザーファーストな開発ができるのでは?」と仮説立て、ヘビーユーザーになるための計画(他社に毎日レシピを公開する、SNSに写真を投稿するなど)を実行したんだそうです!すると、仮説通りユーザーの気持ちがわかるようになったのですが、今度は「クックパッドより他社のレシピサービスの方がおもしろい問題」にぶちあたったそうです。

レシピ以外を意識的に排除してきたクックパッドにはない、個人の生活にひもづいたレシピがとても魅力的に見えたという片山氏は、絶対に楽しいという確信を持って、もっと料理が楽しくなる人と暮らし中心のメディアを作りたい、と一大奮起。社長に直談判したところ、あっさり承認をもらえたそうです。ユーザー視点を研究しつくした結果の提案だったから承認をもらうことができた、と語りました。

社長の承認直後に待っていたのは、「新規事業って何から手をつけたらいいのかわからない問題」だったそうですが、「毎日の料理を楽しみにすること」という理念にあったサービスには、他部署のプロジェクトにも協力的、という社風があったためクックパッドの関係部署の手厚いサポートを受け、解決ができたそうです。

また、デザインコンセプトは、いわば料理(コンテンツ)を引き立てる、白い器だと言い、あえてちょっとダサめを狙っているそうです。目指すべき「100年価値のあるアーカイブ」を実現するために、ユーザーに楽しさを疑似体験してもらえるようなコンテンツを制作するための技術・手法には特に注力している、とお話しいただきました。

片山氏が「くらしのきほん」の立ち上げ経験から学んだことは、ユーザーファーストを追求することで、デザインも経営も確度の高い判断ができるようになるということ。そして、ユーザーの楽しみを増やすためには、まず自分たちが楽しむことが大事だと参加者に伝えました。

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レクチャーの後は、登壇者を含めての懇親会。

多くの方にご参加いただいた今回も大盛り上がりの様子でした。

また今回はUX Sketch Vol.1にご登壇いただいた西村氏もご来場されていました。今回のテーマにご興味をお持ちいただき、ご自身でエントリーしてご参加してくださったそうです、ありがとうございます!

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今回は、デザイナーから、エンジニア、営業の方まで幅広い方にご参加いただきましたが、どのような職種の方にもためになるお話ばかりだったのではないでしょうか。

来月もまた同じテーマで開催予定ですので、普段は「UX」というテーマにあまりなじみのない方々もご参加いただければと思います。

来月のUX Sketchにもぜひご期待ください!