News

Discussion!UXとUXデザイナーの範囲とは -UX Sketch vol.18レポート

2016/12/15

10月20日、銀座Media Technology Lab.(以下、MTL Café)にて、UX Sketch vol.18が開催されました。

今回のテーマは“ディスカッション”。
その名の通り、参加者がUXについて広く議論するという、UX Sketch初の試みとなりました。
言いたいことがある! という参加者は、随時円形に並べられた椅子の中央に集まり、議論を繰り広げました。

ディスカッションに先立ち、モデレーターの松川よりコンセプトを紹介。
「様々な立場から“UXデザイナー”とお話をする中で、会社や組織によって、UXデザイナーの守備範囲が異なることがわかってきました。今日は何らかの形でUXに携わっている方がお集まりだと思うので、ありのままの“UX”について見聞きして、UXデザイナーってこういうことがあるのか、という気付きを得てもらえれば」と話しました。
その気づきを得てもらうためには、UXデザインとは何か? から話していく必要がある。とし、「どこからどこまでがUX?」というテーマでディスカッションがスタート。

ux18_01

この日モデレーターを務めた松川と、4名の参加者が中央の席に座り、参加者が業務の中で携わる“UX”についての紹介から始めました。

冒頭には「なんでもかんでも“UX”。お客様の体験は全て“UX”」、「ユーザーがサービスを知る・触ることすべてがUX」という広義でUXを捉える意見が続きました。
続いて、電機メーカー勤務する参加者は、「製品価値というより、製品を使って得る“価値”がUXだ」と話しました。
ここで、松川から、「UXデザインってそもそも何のこと?」とトピックを投げかけます。

まず、「前まではユーザーの気持ちは考えずにプロダクトを出していたが、今はユーザーの気持ちを考えてプロダクトをリリースしようという時代の流れになってきている。その切り口の1つが、UXデザインだと思っている。」という意見が。
一方で、「ある価値を与えようとするときに、どう実現をしていくか、実現するためにどういう見せ方が良いか、を考えるのがUXデザインだと思う。」という意見もありました。
ここで、「ユーザーにとっての“良い悪い”は重要な視点。でも、例えば、スマホのゲームは、ライフなどの制限をつけて、あえてユーザーにとって気持ちよくないことをしていることがある。これはいかにユーザーに“気持ちよく”お金を出させるかという側面もある。理想はユーザーが気持ちいいことだが、ゲームもあくまで事業であることを踏まえると、その狭間をうまくデザインすることも必要、と考えたりもする。」と、新しい意見が出てきます。
「制約の中で一番良い“解決”をするのがUXデザインだと思う。ユーザーの価値を最大限にすることを考えると同時に、サービスを継続させることを考える必要があるので “いかに納得して、お金を払ってもらうか”は考えなくてはいけない。価格設定まで話が及ぶと、UXデザイナーという立場だけでは決められないことも多くある。」と同調する意見もでてきたところで、新たな参加者が前に登場します。

「より快適さを求める人からお金をもらわないといけない。UXデザイナーに限らず、何かを作る人であれば、企業の収益につながることを考えるのは当然のこと。目的を決めて、手段を選ぶ時に、どれだけ費用対効果が良いものを選ぶことができるかが、デザイナーとしての腕の見せ所。」と話しました。
それに対しては、「UXを考える上で、ユーザーのニーズを顕在化しなくてはいけない。ユーザーは“製品を買うため”にお金を払うのではなく、“やりたいことを実現するため”にお金を払うのだから、UXデザイナーだって、ユーザーがそもそも何をしたいのか、を理解する必要があるのでは?」という意見もありました。

 

ここで議題は「UXデザイナーの定義について」へ。松川が「UXデザイナーの定義がある方?」と質問を投げかけると、
「UXデザイナーは専門職で、UXを良くするために何か提言ができる人がUXデザイナーだと思っている。仮に小さいチームでUXデザインを全員が考えることができるなら、UXデザイナーはいらない。UXデザイナーはUXの考え方をインストールできる、エバンジェリストのような人のことだと思っている」という意見が最初に出てきました。
続いて、「開発という観点から言うと、要件定義の前の“要求開発”をするのがUXデザイナー。」という意見も。
松川の「つまり、プランナーということ?」という質問に対しては、「プラニングができても、ユーザーに届くまでの面倒を見ることができなければ、UXデザイナーとは言えないのかな?」と答えました。

ux18_02

ここで松川は「UXデザイナーがどれくらいものづくりに関わるのか?」と新たな議題を提案。
ケンカを売るつもりはない、と前置きした上で、「ユーザーにとってよりよいことを考えられるチーム・エコシステムができていれば、極論UXデザイナーは必要ないとも思う。」という刺激的な意見が。
さらに、「UXデザイナーは専門職じゃなくていろんな穴を埋めることができるジェネラリストだと思う。極論不要に同意する部分もあるが、そうなるとUXデザイナーには俯瞰してみる目が必要かも。」という意見もありました。

 

ここで松川は新たに「UXデザイナーがものづくりの現場で求められるのはどんな時? 何を期待されるのか?」と尋ねます。

「UXに対する期待値はバラバラ。なので、受託側からすると、クライアントがどういうことを求めているのかを探りながら話すことが多い。」と答えると、「制作会社の提供する商品のひとつがUXで、ラベルとして、UXデザイナーをあてがっているのでは。」という意見が出てきます。
この強気な発言に対して、「UXデザイナー=ラベル、について納得する部分がある。なぜかというと、私自身がデザイナーでもあり、プランナーであり、角度によっては営業でもある。それができる立場をUXデザイナーと呼んでいるのに近いのかも。UXデザイナーには、開発全体を通して、ユーザーを知ることから、仕様を決めて、ユーザーに届けることまで考えることを求められる。」と参加者自身のご経験をお話ししていただいたところで、次のトピックへ。

ux18_03

ここで参加者が交代。1人の参加者が前に来て、松川との対談のような形で進められました。
松川がUXデザインが求められるようになった理由を聞くと、逆にやらない理由を知りたい! と質問を返されます。
それに対し松川は、「カスタマージャーニーマップやUXのメリットを感じていない人は多い。そういった人たちに対してUXデザインのよさを伝えるのはすごく難しい。」と話すと、その難しさはよくわかる、と同意し、「受託側でUXデザイナーという肩書で働いているが、UXをやっていない、そもそもUXという言葉すら知らない組織にUXのプロセス、価値を伝えるのはすごく難しい。カスタマージャーニーマップを書くイコール売上があがる、ではないので、伝えるのはすごく大変だし、まだベストな伝え方が見つけられていない。」と続けました。

 

ここで参加者からも、「カスタマージャーニーマップを成果物にすることが大事なのか、それとも作る過程が大事なのか?」と質問が。
それに対しては、「結論どちらもある。ドキュメント・成果物としてある意味は、目標のような、共通認識をもつため。また、カスタマージャーニーマップを作るプロセスの中で、意見を出し合って作るのも取り組み方の1つなので、工程も大事。
チームの向いている方向をそろえるためのツール、チームビルディングのためのものとも言えるかも」と答えました。

 

ここで話は、組織内にUXデザイナーが生まれた経緯に移ります。松川からも事例を話しつつ、ある参加者は社長に直談判して、会社の軌道修正のためにUXグループができた、と話します。松川はそこで、「UXグループができたことで、社内で変わったことってありましたか?」と尋ね、「目に見えて変わったことは意見を言えるようになったこと。会社の中に何年もいると、入社当時に思い描いていたものを失い、意見を言わなくなっていた。でも、UXは大事、今まで間違っていました。と上が認めた時に、みんなが意見を言ってよいという雰囲気に変わって、議論する時間が増えた。」と思わぬ複産物があったと紹介。

それに対しては、「改めて、UXって固有名詞であり、視点を注入するための名詞だと思った。モノを作ることを目的にしちゃいけないと伝える立場で、会社がうまくいっていない時には、違う角度から光を当てることができる立場。それがようやく最近定義され始めただけとも思う。」とまとめてくれました。

 

様々な方向に広がりを見せたこのディスカッションも、そろそろ終了に。

最後に松川より、「UXは認定を取らずとも名乗ることができる。つまり“UX”は、UXを必要だと思う、名乗りたい人が自由に名乗る事ができる。いい意味では、UXを広めるためにプラスに働くことがある。しかし、幅広いUXが存在してしまうが故に、ネガティブに広まってしまうこともあると思います。一方で、しっかり体系的に学んでいる人もいます。このいろんな“UX“をどう思いますか?自由度を持たせたままでよいのでしょうか?」とまとめの挨拶に加え、参加者に新たな質問を投げかけて、懇親会へ。このディスカッションの続きは懇親会でさらに盛り上がっていました。

 

今回は、登壇者がいない、参加者全員が登壇者となりうる新しい形のUX Sketchとなりました。参加者、また、レポートをご覧のみなさまはお楽しみいただけましたでしょうか?
これからも様々な形で“参加”できるUX Sketchも企画していきますので、話を聞くだけじゃなくて、もっと自分から発信したい! なんて方も、ぜひご参加くださいね。