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SNS新世代ライターさえりさんの「好きを仕事にするブランディング」とは? — WOMAN CAREER Lab. vol2

2017/04/03

個を活かした新しい働き方をされている女性をお呼びして、お話をうかがうWOMAN CAREER Lab.。その第2回目のセミナーが2月22日に行われました。ゲストは、フリーライターのさえりさん。「妄想ツイート」で知られるTwitterは、月に1500万以上の閲覧数で、フォロワー数は合計10万人以上。昨年、4月にLIGを退職され、フリーライターとして独立されたさえりさんは、特に20代の女性から熱狂的な支持を集めています。そんなさえりさんと、『COMPASS』編集長・SNSコンサルタントである石井リナさんの平成2年生まれコンビのお二人に、「ライターは好きなことを書けない? 好きを仕事にするブランディング」と題して、90分間たっぷりとお話しいただきました。その内容を、本レポートで余すことなくお伝えします!

ライターは好きなことを書けない?
好きを仕事にするブランディング

 

さえりさん
フリーになってからは、ほとんど家で仕事をしているのでこんなに人がいるところは久々です…(笑)。よろしくお願いします。

リナさん
よろしくお願いします。さっそくですが、自己紹介をお願いします。

さえりさん
はい。ライターのさえりです。Twitterをたくさんやっていて、「普段、Twitter以外は何をされているんですか?」と聞かれたりすることもあるくらいですが、ライターですね。それで、石井さんと同じく平成2年生まれです。

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普段、Twitterでは「妄想ツイート」というものをやっていて、こういうシチュエーションがあったらいいなというものを頻繁に書いていますね。

リナさん
個人的な質問なんですけど、このツイートって実際にあったことを書くんですか?それとも、本当に妄想だけでこうなったらいいなということだけを書くんですか?

さえりさん
よく聞かれる質問なんですけど、これが全部実際にあったことだったら、私は何回人生を過ごしているんだというくらい“胸キュン”なシチュエーションが多すぎますよね…(笑)、全部嘘です。
ここからは、ざっとこれまでの経歴を話しますね。
1990年8月25日、山口県で生まれました。転校を繰り返していたので東京に住んだり、福岡に住んだりしていて、小学校5年の時に山口に戻ってくると。小学校はいつも「お腹が痛い」、中学校はいつも「帰りたい」という感じで。なんというか、人と一緒にいることが疲れるというか…。
大学は青山学院大学で、教育人間科学部の心理学科に入学しました。大学は比較的自由なので「帰りたい」ということは特にはなかったですね。でも、劣等生でした。心理学って、統計学があるんですよね。わかってはいたんですけど、すごく難しくって。
1年生くらいの時は、ザ・大学生という感じで過ごしていたんですけど、3年生の時にラジオのパーソナリティーをしてみたり、MCをやってみたりして意識が高くなって、いろいろあって元気がなくなって、休学しました。そこから引きこもり生活をして、復学して、就職して、無事に社会復帰をしました。最初の会社には1年いて、その後も1年、そして、今はフリーライターをやっています。

リナさん
ラジオのパーソナリティーというのは、どういうものだったんですか?

さえりさん
当時焼肉屋のバイトをしていたら、たまたま声をかけてくれたおじさんが名の知れた会社の偉い人で「何でも相談してよ」と言われて。ちょっと怪しかったんですけど、就活のことで悩んでいたので連絡をしました。会って話していると、「声がいいよね。この後ラジオの打ち合わせがあるんだ。その番組でコーナーを持ちなよ」ってその場で言われて(笑)。番組自体は音楽番組で、インディーズの人たちが曲を送ってくるんですけど、その中で私は「妄想で旅をする」というコーナーを持っていました。

リナさん
へえ〜。妄想歴、長いですね!

さえりさん
そうなんです。そのコーナーは、例えばデンマークに行ってきたという回の時には、デンマークに行った時の思い出をひたすら妄想で語るという感じ。それで、「という旅ってすごいなと思ってます」って言って終わるコーナーでしたね。

リナさん
今やっても、おもしろそうですね。

さえりさん
私が言ったんじゃないですよ。そのおじさんが、こういうコーナーにしたらどう?と言ってくれたんです(笑)。

リナさん
今はもう、すでに“さえりさん”という存在が成り立っていると思うんですけど、それがいつ頃どのように生まれたのかというところを深掘っていきましょうか。中学時代から、文章を書いていたということをお聞きしていますが…。

さえりさん
そうですね。ポエムを書いたり、写真を撮ったり、ポエムを書いたり、ポエムを書いたり…という感じでした(笑)。中学校時代は、とにかく学校が嫌いだったので「お腹痛い」って言って休んだり、その言い訳が通じなかったら学校に行って保健室に行ったりとか。でも、友達もいたので周りから見れば別に愉快な子だったんじゃないかな。
当時は多感な時期だったので、週5日友達に会っているのに休日も友達に会うなんて疲れちゃうから無理という感じで。だから休みの日は家にいて、ポエムを書いていましたね。

リナさん
今でも、そういう感じなんですか?

さえりさん
今でも、あんまり人に会っていなきゃ嫌だっていうタイプではないですね、一人でいたい時の方が多いかもしれない。昔から、写真を撮ってポエムを書いて、それを仲のいい音楽の先生にあげたりとか。

リナさん
大学生になられてからは本を販売されたり、ストップモーションアニメを作られたりしていたそうですね。そんなこともされるんですね?

さえりさん
そうですね。大学で何もやりたいことが見つからなかったので、就活する時も何をやったらいいのかわからなくて。そんな時に出会った“ラジオのおじさん”も、ラジオのMCをやっていた女性もすごく楽しそうに仕事をしていたんですね。それで、私も楽しそうにイキイキと働けないかなと思ったんです。そんな時、ストップモーションアニメという写真をいっぱい撮って動画にするアニメを、部屋で焼うどんとか食べながら作っていたんですね(笑)。

リナさん
一人遊びが得意なタイプなんですね?

さえりさん
そうですね、一人で遊ぶことしかできないんじゃないかというくらい(笑)。それで、ストップモーションアニメを作っていることを“ラジオのおじさん”に言ったら、「じゃあ、この番組のCMを作ってよ」って言われて。「できるかわからない」って言ったんですけど、「できなくてもいいから作ってみてよ」ってのせられて、ほんとうに素人っぽい感じのCMを作りました。それを、その番組のホームページに載せてもらって。そういうことを、やっていましたね。

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就活の波には上手にのれなかったので、その頃から起業家とか「自分たちの力で生きていくぞ」というような学生たちに吸い込まれていったんですね(笑)。でも、彼らのアクティブ感って半端じゃないんですよ、ギラギラしているというか。それで、ここは私の居場所じゃないかもと思い始めて…。心身ともに元気がなくなって、実家に帰ったんです。山口だと何もできないので、とりあえずポエムを書きましたね。「あれ?それってさっき聞いたよ」という感じですよね(笑)。

リナさん
振り出しに戻る、という感じですね。(笑)

さえりさん
はい。その頃からTwitterをやっていて1,000人とか1,500人くらいフォロワーがいました。ブログもやっていて、その投稿を見てくれる人たちに向けて「『言葉本』というものを作りました」って発信したんです。

リナさん
その『言葉本』は、けっこう売れたんですか?

さえりさん
前編、後編があるんですけど、50冊ずつ全部で100冊くらい売れました。自分の書いた文章を他人が買ってくれるという体験は、その時に初めて経験しましたね。

暇だと手を動かそうとする性質があるので『ポストを覗く楽しみ』というのもやりました。これは、出版社にいた時にやったものです。「家に帰りたくないな」という時って、あるじゃないですか。そんな時に、友達から何かが届いているとか、ネット通販で頼んだものが届いているとなるとポストを開ける瞬間、ちょっと楽しいですよね。その楽しさを、売れないかなと思って。要は「ハガキを置きます」というものだったんですけど、「ポストを覗く楽しさを売ります」という言葉に変えて、クリスマス前くらいにやったんです。注文してから2週間以内には届くんですけど、いつ送ったかは私が言わないので、注文した人もいつ届くのかはわからない。ハガキが届くまで、ポストを開ける楽しみができて、ワクワクしてもらえたらなと思って。

リナさん
その手紙の内容は?

さえりさん
まあ、普通のお手紙ですね(笑)。内容よりも、ハガキが届くという行為自体を楽しんでもらいたかったので。

リナさん
反響はどうでしたか?

さえりさん
10部限定で売ったんですけど、すぐに売れちゃって。『言葉本』を出してすぐだったので、けっこうおもしろがってくれた人がいたみたいです。

 

出版社を経て、夢を抱えてWebの編集者に

リナさん
その後、大学を卒業されてファーストステップに、出版社を選んだということですね。

さえりさん
はい。引きこもりを経て大学を卒業した時は、精神的に疲れていたので、「好きなことを仕事にしたい」とか「個人で仕事をやっていきたい」とか「海外に行きたい」とかもう諦めていましたね。
私が「好きなことを仕事にしたい」なんて、望んじゃいけなかったんだって。起業家を目指しているようなすごい人たちにもまれて、私には無理だったんだと。

リナさん
起業家のグループの人たちって、女の子は全然いなくないですか?

さえりさん
そうそう。学生起業家とかだと女の子はあまりいないか、もしくはいたとしても精神がすごくアグレッシブというか…。やっぱり戦う人って感じですからね。

リナさん
学生で、起業家になりたい女の子って“起業家になることがゴール”というか、椎木里佳ちゃんに負けたくない、みたいな人が多い印象があります(笑)。

さえりさん
ああ、確かに(笑)。だから、“居場所探し”くらいの感覚でいると、しっくりこないんですよね。それで、山口に帰って引きこもりをしていたので、大学に戻ってきてからは「生活費稼げればなんでもいいです」っていう感じで。ようやく地に足が着いたと言えるかもしれないですけど。実家が東京にあれば、多少お金に不自由しても生きていけるかもしれないけど、私は実家が遠いので。東京で一人暮らしをするためには、家賃を払わなきゃいけないし、洋服も買いたいのでその分稼がないといけないし。

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それで、お金をきちんともらえるところで働きたいと思っていた時、学生時代にやっていたブログとツイッターを見てくれた出版社の社長さんがいて、その人が「これからWebのメディアを立ち上げる予定でライターを募集しているんだけど、やってみる?」と言ってくれて。「何でもやります」という感じで、最初はアルバイトとしてその出版社に入りました。でも、結局その出版社でWebマガジンは立ち上がらなくて「この子、ライターとして雇ったのにどうしよう…入社させる?」という感じに社員の方たちがなって、それで入社させてもらいました(笑)!

リナさん
その出版社でのお仕事はどうだったんですか?

さえりさん
まずは文字に関わる仕事をできるということだけでうれしかったですね。なにもできない私を雇ってくれてありがたいなという気持ちがありました。

でもなぜ辞めたか〜というと、そこはもともと学習参考書だけを作っている出版社で、Webマガジンを作るタイミングで一般書も作っていきたいということだったんですね。若い人の意見がほしい!って言ってくれて。できるだけ、会社の力になれるように頑張りたいと思っていたんですよ。で、一般書部門には私とその上司の方しかいなくて、始まった企画は30~40代向けのビジネス本が主で。

「この企画いけると思うんだけど、どう思う?」って聞かれても、わたし自身はターゲットとはかけ離れすぎていて、「さあ、いけるんですかね…」という感じになってしまって。これは、教えてもらってもわかるようにならないな。たった二人の部署なのに、上司がいいと思えるものを「え〜」と思っている部下がいる状況は厳しいなぁ、と思ったんです。

もちろん最初から自分の好きな本を出せるとは思っていなかったけど、意見は言わせてもらえる環境だったので、正直にいろんなことを相談したら「10年、20年は待ってほしい」と言われたんです。「ビジネス本を10年作って、そこから…?!」と思って(笑)、それでやっぱり無理だなと。小さい会社なのに役に立てないって辛いし、1年くらいで辞めました。

その時、「次の就職先を見つけてからにしてくれ」と親には心配されたんですけど、それだと変に焦って就職先を決めてしまう。「ここがいい」ではなくて、「ここでいいや」という風になってしまう。そういう基準で会社を選んだら、あとで大変なことになるなと思って、社員の方はみんな心配してくれたんですけど、まずは会社を辞めました。

リナさん
その後に、LIGというWeb制作会社に入られたんですよね?

さえりさん
そうです。1社目で編集の仕事を経験したことで、編集の仕事っておもしろいなと思ったんです。毎日プロの文章に触れて、ここはこうしたらもっとよくなるなとか考えたり、企画を考えること自体はすごく楽しくて。そういう意味では、編集の体験をさせてもらえたことは私の人生にとってとても大事な瞬間でしたね。でも、紙の編集をする会社に入るとなると、3年くらいの経験が応募条件として必須なんですよね。その分、Webの入り口はまだ広いなと。

会社を辞めて2日後くらいですね、友達二人がそれぞれ声をかけてくれて。その二人が教えてくれたのがLIGだったんです。友達二人はどちらもいい奴だったので、いいかなと思って。

リナさん
人の縁に支えられていますよね!

さえりさん
そう、ほんとうに!でも、いつも外に向けて発信するということはやっていたので、Twitterに「仕事ないです、やばい」みたいなことは書いたりしてました。やっぱり口に出さないと、誰も助けてくれないので。それで「とりあえず遊びに来なよ」と言われて気軽にLIGに行ったら、男の人4人くらいに迎えられてもう面接が始まってしまって(笑)。

LIGは、Webをやっている人たちの間ではけっこう有名なんですけど、当時の私は全然知らなくて。それで、会社に行く直前にブログを見て「いつも読んでます〜」とか言っちゃって。それなのに「どの記事がおもしろかった?」と聞かれて答えるのが、昨日アップされたばかりの記事だったり(笑)。

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文章界隈にいたいという気持ちはありましたがインターネットが好き!というわけではなかったので何のメディアが好きというものもないし、どんな記事を作ってインターネットをどうしたいかという希望も全然なくて。ろくなパソコンも持っていなかったし、携帯しか使わないという感じで。「好きなメディアは何ですか?」って聞かれて「メディアって何ですか?」と答えるみたいな。その後も「記事が書いてあるサイトとか、何でもいいので好きなものはないですか?」という風に促されて「発言小町ですかね」って答えました(笑)。ほんとうにやばかったんですよ。

リナさん
その状態からLIGに入って、だいぶ変わられましたか?

さえりさん
そうなんです。macのパソコンを初めて使って、初めて東京に来た人みたいに「すげ〜macすげ〜」って驚いていたくらいだから(笑)、一応少ないなりにも編集経験があったことが採用の決め手?だったみたいですが、こんな私をよく採用してくれたなと思いました。

リナさん
LIGの中では、具体的にどんなお仕事をされていたんですか?

さえりさん
私がやっていたのは「外部メディアの運営」でしたね。

そもそもLIG自体はWebの制作会社で、エンジニアの人とかデザイナーの人が大半なんですけど、『LIGブログ』という自社ブログがあって、そこでおもしろい記事を作ったりもしているんです。企画で社長が砂に埋められたり、役員の部屋を砂浜にしたりとか。あとは、社員が秒速で結婚したりだとか(笑)。それもブログの中の企画の一つで、ブログで結婚相手を募集してそこに応募してきた人とその場で結婚を決めた記事とかがあるんですよ。それで私、こんなウェイウェイな会社、大丈夫かなぁ…、って。

でもそういうちょっとファンキーな記事を作るLIGブログのファンは世の中にはいたので「こういう記事を作りたいです!」という感じで面接に来る人は、いっぱいいたそうなんです。だから面接の時に「あなたが入るチームは、外部からの依頼を受ける部署です。LIGっぽいことは全然できません、それでも大丈夫ですか?」と言われた時には、「ああ、よかった。大丈夫です」と答えて。

外部から「新しくメディアを作りたい」と依頼を受けたら、何のためにメディアを立ち上げるのかをヒアリングして、それならこういう記事を作りましょうと提案をして、企画をたて、外部のライターさんに記事をお願いして…。メディアをよりよくするためにはどうしたらいいのかというのを考えながら、継続的に記事をアップしていくという運営のお仕事でしたね。この時にわずかではありますが「メディアの仕組み」は少し勉強しましたね。なんのためにインターネットに記事があるのか、という根本とか、どうすればクライアントが喜ぶのか?とか。

リナさん
その時に、ライター業もされていたんですよね?

さえりさん
そう。LIGは、その頃副業オッケーな会社だったので。それにLIGには社員が月に1本、LIGブログに記事を書かなくてはいけないというノルマがあったんですよ。「仕事を通じて得た知識を、記事としてアップしてください」という感じで。それで最初に書いた記事が、「文章力をあげる5つのポイント!現役編集者による実践添削例つき」というものでした。

リナさん
(記事を見ながら)すごい!“殿堂入り”って書いてありますね。

さえりさん
いいね数が500とかを超えると“殿堂入り”にしてくれるんですよね。何かをもらえるわけではないんですけど。書くからには“殿堂入り”は目指そうと思っていましたね。当時LIGブログは月間500万PVほどあったと思うのですが、自分でブログを始めても急には500万PVは無理じゃないですか。すでに500万PVという土台がある中で記事を書かせてもらえるなんて、適当にやったらもったいないなと思って。

ノルマなので適当な記事を書いている方も中にはいたんですけど、せっかくならここできちんとしたものを書こうと決めていましたね。中には、焦って書いたものもあるんですけどね。あとは、ハロウィンの記事を書いたり…。

リナさん
これ、読みました!今日の打ち合わせの時、この記事はさえりさんの記事だったんだって初めて知りました。

さえりさん
(笑)。

リナさん
このハロウィンの記事、見た人はいますか?

(参加者の多くの方が手を挙げる)

さえりさん:ありがとうございます。

リナさん
すごいですね。これは、ハロウィンの仮装をしている人に職業を聞くという企画ですよね。

さえりさん
はい。これは私が『アシタノプラン(現在は運営されていません)』というメディアサイトの担当で、ライターの方に「このサイトに載せるハロウィンの記事を書いてください」とお願いしたんですね。それで、私も取材に同行することになったのでついでに自分も何かできないか?という急なアイディアで作ったものなんです。でも結果かなりバズって、その頃にはTwitterも1万フォロワーとかになっていたので、SENSORSさんで取材してもらったりして…。その頃からライティングの仕事を回してもらえるようになったという感じですね。

リナさん
こういう環境だと知らなくてLIGに入ったけれど、与えられた環境がすごくよかったという感じですね。

さえりさん
そうそう。(記事を見ながら)この『本当に「私以外私じゃないの」か?東大の哲学教授・梶尾真司先生に聞いてみた』は、自分でも気に入っていますね。

リナさん
これも“殿堂入り”ですね。

さえりさん
これは、すごくおもしろかった。先生に答えを聞きにいったら「どう思う?」って聞き返されるというまさかの取材で(笑)。こういう記事のライティングを、本業とは別にやっていたという感じでした。

リナさん
この後、LIGを退職するわけですけど、辞めるきっかけはあったんですか?

さえりさん
そうですね。編集の仕事も楽しいけど副業の仕事が増え始めて、両立できなくて、断らないといけなくなっちゃったんですよ、ありがたいことに。それで、書く仕事を断りたくないなと思って、LIGを辞めちゃいました。でも、生活の見通しは全然立っていませんでした。出版社を辞めた時と同じですね。先のこと考えていないという。

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当時、いろいろな仕事の手が離れるいいタイミングだったことと、何人かがまとめて辞めることが決まっている時期だったので、いまだ!と思って。「たくさん人が辞めるから社内の混乱が落ち着くまで待って」と言われましたが「どうせ混乱するなら、もう一人同時に辞めても一緒じゃないでしょうか」って言ったら「たしかに」ってなって(笑)。

リナさん
この働き方が、今私がしていることと近いですね。所属しながらフリーでも仕事をしていて、コンサルタントとかたまにライターの仕事をもらったり。指名してもらって仕事をもらえるって、すごくありがたいことで、それを断るのが嫌だから独立した、というのはすごくわかりますね。

さえりさん
やってみたいことが別に移っちゃったんですよね。でもLIGには本当に感謝していて、今でも仲は良いです。会社を辞めて、まずは海外に行きたかったんですよ。それで去年の5月、6月くらいにスペインに行ってきたんです。海外で暮らしてみたい、というのが夢の一つとして以前からあって。スペインから帰ってくる時が秋だったらセンチメンタルになっちゃうから嫌だなと考えて、それで逆算して3月に辞めたんです。

リナさん
その発想は、すごいですね。普通は、海外にいる時の向こうの季節のことを考えますよね(笑)。

 

ライターは、文章という手段を使って「伝える」仕事

リナさん
ここからは、今現在さえりさんがされているお仕事について、聞いていきます。そもそも“フリーライター”とは何なんでしょうね。

さえりさん
“ライター”という言葉の定義、最近問題になっていますよね。

最近はセイコーマートさんの記事を書いたり、京都学園大学さんから依頼をいただいて『「源氏物語」って結局どんなお話なの?』という記事を書いたり、じゃらんさんの記事を書いたり、AirDoさんという北海道の航空会社さんから依頼をいただいて記事を書いたりしています。
これは個人的にも“ライター”としての仕事だと思っていますね。

その他に“ストーリー作り“という仕事もしていて。『【結婚したい】年下彼氏と結婚するまでに踏みたい理想のステップ71』とかがそうですね。これはLIGにいた時に書いたものなんですが、本屋で年下の店員の彼と出会ってから結婚するまでが、8,500字に渡って書いてあるという(笑)。

これはすごく読まれて、Twitterも20,000シェアくらいされて。でも、“マジレス”も来て。この記事の中で本屋になかった本を注文して、次の日に取りに行くという話があるんですね。それに対して、「本は次の日には届きません」みたいなレスが来たり。すごくうれしかったですね、みんな読んでくれているんじゃんという感じで。こういう記事はライティングなんですけど、ライターの仕事って言っていいのかわからないので、ストーリー作りとして認識しています。

あとはエッセイっぽい仕事で「アマノ食堂」というアマノフーズさんが運営しているサイトで『ティファニーで朝食を食べられなかった私たち』という連載をやっていたり、雑誌のwithさんのサイト「with online」さんで、ほぼ週間で連載記事をやっていたり。

リナさん
偏見かもしれないんですけど、さえりさんが書くエッセイとかのジャンルって、今の大学生くらいの子たちにすごく人気な気がします。それで、こういうところを目指してライターになりたい人が多い印象がありますね。

さえりさん
そう。だから、今回はライターの仕事とは分けて説明してみました。確かに私はライターを名乗ってこういうお仕事をしているけど、今言ったエッセイのお仕事やストーリーの仕事は、ライターっぽくはないなあという意識があるので。そこを勘違いさせてしまうと、みんなが困ると思うので…

リナさん
普段は、どのようにライターとしてのお仕事を受けているんですか?

さえりさん
私の場合はブロガーではなくライターなので、好きな文章を書いて載せているわけではなくて、企業さんから依頼があって書いています。よく、勘違いされて「僕、こういうことをやっているので興味があったら取材しにきてください」というメールが来たりして、どうすればいいんだろうと思っているんですが、ライターは基本的には媒体からの依頼がなければお金はもらえないですからね。私の場合は、依頼は企業さんから代理店を通して来ることもあるし、企業さんから直接来ることもあります。あとは編プロ経由もありますね。

Webライターは「読者に伝える」のもそうですが「クライアントの要望に応える」のが鉄則なので先ほどの京都学園大学の場合だったら「入学希望者を増やしたい」という要望があって私に仕事が来ているので、希望者が増えるような記事を書かなければいけないんですね。

取材対象が決まっている場合もあれば、単純に「メディアに人を集めたいんですけど、どうしたらいいでしょう?」という相談もあるので、どういう企画にすればクライアントと読者が喜ぶかを考えるのもライターの仕事ですね。この辺は編集者との仕事分担も曖昧なんですが…。

クライアントの要望が「サイトに人を集めたい」というものであれば、先ほどの年下彼氏の記事が成り立つこともあります。あれは、「年下彼氏と結婚したい人を増やしたい」という要望を出されたわけではなくて「サイトに人を集めたい」という要望だったので。書きたいものは書いているけど一応「クライアントの要望」に応えるものを書いているってことだけはわかっておいてほしいですね(笑)。趣味ではないんですよ。

リナさん
ライターって言っても、いろいろな種類があるじゃないですか。クライアントから依頼されて記事広告を書く、だったり、オウンドメディアを運営するものが一般的に多いと思うんです。さえりさんの場合は企画から入っていたり、クリエイターの側面が強いですよね。

さえりさん
そうかもしれないですね。いろんなライターさんがいて、いろんなライティングがあるので一概には言えないのですが、あくまで私の場合をお話ししているということはわかっておいてほしいです。

わたしは、文章を書く仕事につきたいなら、「文章を書くことが好き」とか「自分を表現したい」と思っていると、だいぶギャップがあると思っていて…。自分が書きたいことを仕事として書いているわけではないので。
なので「人に伝えることが好き」とか、「人のことを理解することが得意」という人がライターになるといいんじゃないかなと思います。先ほどのエッセイの仕事は、今は私もやらせてもらえているけど、一般的なライターの仕事ではないと思った方がいいと思います。ライターは“文章という手段を使って、伝える人”なので、自分を表現する人ではない。これを言っていかないといけないなと。

リナさん
言い続けていってほしいです。

さえりさん
勘違いしている人、けっこう多いですよね。勘違いさせてしまっているのだろうけど…。自分を表現できるようになることもあるけど、あくまで最初は“伝えること”が仕事です。ライターは仕事を任せてくれる人がいて、そして読んでくれる人がいて初めて成り立つもので、自分が好きなことを書いて読んでも読まれなくてもいいと思っている人はアーティストです。芸術家とか、詩人とか…、小説家も売れないと意味がないので、ニーズを汲んで書いている人が大半だと思いますし…。

リナさん
それから、メディアがどのようにマネタイズしているかを知らずに、好きなことだけを書いて生きていけると思っている人が多い印象です(笑)。そこは、ちゃんとわかっておいた方がいいかもしれないですね。

さえりさん
そうですね。私もLIGや出版社の経験が少しでもあったから「お金になること」を考えなきゃ意味がないっていうのは十分わかっていますね。最初はわからないですよね。私も中学、高校の時はポエムを書いていたように、自分を表現するような文章しか書いたことがなかったし、ニーズに応える文章ってなんだ?って感じで。LIGに入ってようやくライターはこういうことをやっていたんだとわかりました。

リナさん
私の場合は、自分が取材したいと思った人や場所、企業しか取材には行かないし、記事も書かないんです。

さえりさん
うわあ、いいなあ。

リナさん
うちのメディアは、マーケター、ビジネスマン向けにやっているメディアで。でも、そこでのマネタイズは考えていなくて、メイン事業でマネタイズしているので、会社のブランディングとしてやっているメディアなんですね。

私の独断と偏見で(笑)、イイなと思ったものしか取材しに行かないので、逆にさえりさんのようにタイアップで書けるのがすごいなと思っていて。「タイアップで記事を書いてほしい」と言われても「それはいいと思わないからなあ」となってしまうし。その辺りは、どういう風にされているんですか?

さえりさん
ん〜断りますね。何とかおもしろくできないかはもちろん考えますが、いくら聞いても「これは読者に届けたところで面白いと思ってもらえないな」と思うようなものなら、顔を出して文章を書いている身なので、何でも「これはいいですよ」という風に読者に勧める記事を書くことはできないですからね。

一人で私のように顔出しして仕事をしていく上で難しいのは、仕事を選ばなくちゃいけないことです。私は、基本的にはTwitterで拡散もするという仕事もあるので、いやいや仕事を受けていやいや仕事をやったとしたら、それがダイレクトに次の仕事に響いちゃうんですよ。みんなが見てるから。こっそりテキトーな仕事してお金だけもらうってことができないので…。逆に自分が正しい判断でいい仕事をすれば、いい仕事が舞い込んでくるけど、適当な記事を作れば全部自分に返ってくるという怖い仕事ではありますね。

リナさん
さえりさんのお仕事は、出版社と同じですね。さえりさんというメディアが、ブランドとしてやること、やらないことのラインを決めているということですよね。

さえりさん
そうですね。やらないことを決めています。いくらおもしろくてもエロ系はやらない、とか。おもしろいじゃん、とか思ったとしても、私がやってもウケないと思ったら受けないとか。

さえりさんみたいなライターになりたいです」と言われるのはすごくうれしいんだけど、既存のライターさんとは違う仕事の仕方をしていると、私は思っています。もともとの「伝えたい」という気持ちの出発点は一緒なんだけど、既存のライターさんの仕事はもともと「黒子になりきることができる人」の仕事。でも、私は自分を出して文章を書いているので、今までのライターさんとは違うのかなと思っています。

最近、私のようなライターはけっこういます。でも、今までの既存のライターの方が母数は多いし、ライターになりたいと思ったら最初にたどり着くのはそっちなので「自分を出したい」とか言って、ライターの面接を受けると怒られると思います。

リナさん
それは、怒られますね(笑)。

さえりさん
でしょう。私もLIGで編集をしていた時に「私もさえりさんみたいに自分をどんどん出していけるライターになりたいんです」とかいう子が面接に来たら、絶対に採らなかったです。気持ち的にはうれしいけど、編集者が欲しいのは自分を出す人ではなくて、情報をキャッチしてよりおもしろくわかりやすく伝えてくれる人。私が「どうも!さえりです!」と自分を出しながら記事を書けるのは、わたしのことを知ってくれている人がいるから、なんですね。誰も知らない人が「どうもミチコです。私が最近ハマっているのは〜」とか言ってもみんな「誰?」ってなりますからね…。

 

SNS時代を生きる“個性を出すライター”

さえりさん
最近、話題になっていたのが「“読モ”ライター」。職人気質のライターさんが、「最近は“読モ”ライターみたいな人が増えているよね」という記事を出したんですよ。読者と距離感が近くて顔出しをしていて、という人のことを言っていたようなんですが、「職人ライター」「読モライター」とかそういう話題が出るくらいに、まだライターの世界はジャンル分けがきちんとできていないんですよ。私は “ライティング”しているから“ライター”と名乗っているだけなので特になにかしらの主張をする気はないのですが、顔出しをして活動しているライターが増えすぎて、職人気質のライターさんたちが「あんなのは邪道だ!」という事態はちょこちょこと起こっていましたね。ライターという仕事を勘違いされて厄介なのはわかるので、ごめんなさいという感じですが。

リナさん
でも、時代の流れというか、それは必然的なことだと思っています。スマホを触っている時に、SNSを見ている時間も多いので、SNSでファンのつくタレント性のあるライターさんが増えても仕方のないことだと思うんです。

さえりさん
自分をどんどん出していく、みたいな人が増えてきて、ライター界はちょっと困惑しているのかもしれないですね。

リナさん
仕方がないんじゃないですかね。

さえりさん
私がなぜ顔出しライターになったかというと、はじめから「顔だして売れるぞ!」とか思っていたわけじゃないんですよ。編集者になった時、私が担当するメディアのPV数がそんなになくて、ライターのフォロワー数もあまりいなくて。そうしたら読者が記事にたどり着くための導線があまりに少ないんですよね。で、どうやったらせっかく書いてもらえた記事を見てもらえるんだろうと考えた結果、編集者である私が発信力をつければいいのかもしれないと思ったんです。

そういう考え方をするような人なので、自分が普段から発信力があればメディア自体にPV数がなくても、記事をたくさん読んでもらえる仕組みを作れるかもと思って。

せっかく記事を書くならたくさんの人に届けたいと思うのはライターとしては当然ですからね。それでTwitterのフォロワーを増やしていたら、だんだん「さえりさん」が認知されるようになる。するとファンが増えるので顔出しして「さえりさんが書きました!」という体裁で書いてくれ、という依頼が増える。そうしてだんだん偏った仕事が集まるようになるんです。だから“職人ライター”が書くような記事を書きたくないとかじゃなくて、そういう仕事は回ってこないんですよね。

顔出しライターは、結局“個人”にファンがついたライターなんですよね。どっちがいいとかではなく、どっちが向いているのかということの違いだと思います。職人ライターのことは私にはわからないので語れないですが、顔出しは顔出しで大変ですよ。誰が書いたかすぐわかるから変なことを書いたら個人攻撃ももちろんあると思うし、お金になるからと言って健康的に怪しそうな商品を記事で紹介したらそれは私が怒られるし。ブランディングも自分で組み立てなくちゃいけないので、それはそれで難しさがあります。

リナさん
炎上しないコツって、何かありますか?

さえりさん
うーん。死ぬほど考える、かな。私は、“炎上させないこと”がモットーとしてあって。世間には炎上マーケティングというように、とにかく何でもいいから炎上させて、たくさんの人に届ける。その中にいいと思う人は必ずいる、という考えの人もいると思います。それ自体も方法の一つだと思っているんですが、私はそうではない方法でたくさんの人に届けてみたいという思いがあります。なので、記事のチェックを入念にする時間は欠かせないですね。

リナさん
そういう基本的なことをちゃんとする、ということですね。

さえりさん
はい。基本的なことはちゃんとして、誰かを傷つけるような言葉遣いはしない、とかは気をつけていますね。ちょっと繊細な内容の記事を書くときには、立場の違う友達を二人、頭の中で思い浮かべるんですよ。この立場の違う二人が記事を読んだときに悪く聞こえないかなとか、すごく考えますね。立場が違えば、自分が責められていると感じる人もいるじゃないですか。そんなつもりは全然ないのに、「それって、私たちのことをどういう風に思っているんですか」みたいに非難する言葉も出てくることもあるから。なので、一応そういうスタンスをとっています。

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ちょっと昔のインターネットには某掲示板とかにいるような「リア充爆発しろ!」みたいな人たちがたくさんいたと思うんです。パソコンもネットもそんなに普及していなかった時は、そういう情報に詳しい人しかインターネットにいなくてとても偏った世界だった。でも、今はスマホがあって誰でもネットができるし、Instagramとかが出てきて、「リア充は死ね」みたいな世界だけではなくなったじゃないですか。Instagramでおしゃれな写真を載せても「ほっこりします」みたいなコメントがつく時代。私はそういう人たちと仲よくして生きていきたいんです(笑)。

リナさん
私は、あんまりTwitterには“住まない”ようにしています。Twitterの人たちって、なんか怖い(笑)。

さえりさん
確かに、今は両方の人たちが“住んで”いますよね。「リア充は死ね」みたいな人たちと、「ほっこりします」みたいな人たちが両方“住んで”いるから、ちょっと変なことを書くと、まだ怖い時代ですよね。でも、私のフォロワーにはそういう怖い人は全然いなくて、ハッピーに“暮らせて”いますね。

リナさん
それ、すごくいいですね。

さえりさん
自慢なんですよ。私のリプ欄は、すごく平和なんだぜって。

 

ブランド作りをしたことで、「好き」を仕事にできた

リナさん
ここまでもいろいろと聞いてきたんですけど、さえりさんは「好きを仕事にするブランディング」について、どう思われますか?

さえりさん
そうですね…。私が今ライターとして活動しているお仕事の他に、ストーリー作りだったり、エッセイを書いたりできるのは、最初にも言ったように自分にブランド力がついてきたからだと思うんです。“ブランド力”というと大げさですけど、言い換えると私をある程度知ってくれているフォロワーさんがいて、あの人が言うんだったらそうかも、と思ってもらえるというか。私が「なんかこれ好きです」と言ったものに対して「じゃあ、買おう」となってくれる人がいることで、ようやく好きなことを書かせてもらえるような仕事も増えたと思っています。

大学時代もやりたいこととか得意なことがあったんですけど、でも最初からやるのはやっぱり無理だったなと今ではよくわかるんです。実力もないし、それに「こいつ誰だよ!」ってみんな思いますからね。今は書く力も昔よりはついたし、人に届ける企画も昔よりは考えられるようになった。そして届けられる土台がある。だから、自分の好きだった写真を撮ってそれを活かした記事を作ることもできるし、ディズニーのことが好きだからディズニーのことをいっぱい喋りたいと思っていたことが今なら仕事として依頼してもらえる、とか。だから地味に目の前のことをこなして勉強しながら、同時に「ブランド作り」としての発信を欠かさなかったことがうまく融合して、今の自分があるんだなと思いますね。

リナさん
うん、うん。さえりさんに憧れて、そんな風になりたいと思う人もいると思うんですけど、でも、それは急にはできないことだと思うんです。みんなが設計してうまくブランドを作っていけるかと言ったら、そうではない。基本的にはSNSで人気のある方は会っても面白いんですよね。さえりさんの場合も、ご自身に魅力があるから、それをTwitterに出して純粋にファンがついているのかなと。

さえりさん
うわあ、すごく褒められていますね(笑)。だから、「さえりさんみたいになりたいです」って言われるとうれしいんだけど、だからと言ってどうすればこうなれるのかということは説明できなくて。私と同じように妄想ばっかりしていてもしょうがないし、アドバイスに困るんですよね…。でも、言えることがあるとすれば“発信すること”ですよね。自分の中にあるおもしろいと思っているものを発信して、共感が集まればおもしろいっていうことだし、集まらなければ、残念ながらおもしろくなかったということ。続けてトライアンドエラーで反応を見ることでしか本当にそれが市場が求めているのかはわからないですよね。私の妄想に関して言うと「これはおもろい!有名になれる!」とかそんな気持ちがあったわけじゃもちろんなくて、妄想してみたらありがたいことにニーズがあったから続けているって感じですしね。

“ブランド作り”として何をやってきたかなと振り返ると、私の場合は、まずは最初に“武器を一つ作ること”でしたね。好きなことはいっぱいあったけど、あれもこれもではなくて、まずは文章に絞ってプロの文章を読みながら文章の勉強をしつつ、Twitterを続けて。フォロワーの少ない頃から「イメージ作り」はしていたり。柔らかい言葉を書く人だなとか、そういう認識をしてもらえるように一貫性を持つというか…。

それから、ブランディングをする上で何が必要かと聞かれることがすごく多いんですけど、「やらないことを決める」のはすごく重要だと思っています。最初からやりたいことが決まっている人はいいんですよ、それに向かって一直線に走っていけばいいんだから。そうでなければ、私のようにエロ系はやらない、とか、人を傷つけることはしない、とか、露出はしないとか、ラインを決めることですね。

リナさん
うん、うん。とりあえずやってみて、社会的な相対評価を受けて、初めて気づくことってありますよね。

さえりさん
ありますね。自分はすごくおもしろいと思っていたのに、ウケなかったりとか。だから、やってみて反応を見て…の繰り返しなのかもしれない。

あと大事なのが、「ブランド力をつけて何をしたいか」だと思うんです。ゴールというか、向かいたい場所を持つというか。私は毎日がちょっとハッピーになるような…、みんなが自分をちょっと好きになるような…、そんなものを作りたいんですね、今も昔も。みんなの日常とか、私の日常がハッピーになるものが作れたら、何でもいいかなと。まあ、今のところはそれを文章でやりたいという感じですね。

リナさん
私も、今は『COMPASS』の編集長として、記事を書く仕事もしていますけど、もともとは広告代理店でコンサルタントをしていて。その代理店にはビジネスマン向けにSNSのノウハウを伝えるメディアがあったんです。そこでSNSのコンサルタントをする人間は、自分たちにノウハウがあることを伝えるために記事を書かなければいけなくて。それで記事を書いていたら、意外と、向いているのかもしれないと思うようになったんです。

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人の行動を分析して、言語化するということがわりと向いているということが、世に出て初めてわかったんです。そうした記事がきっかけで声をかけてもらうようになりました。みなさんもまずはやってみて、得意不得意に気づくことがあるのかなと思いますね。

さえりさん
そうですよね、やってみないとわからないですよね。

リナさん
それでは、ここからは今後のビジョンについて教えていただけますか?

さえりさん
人をほんの少しハッピーにしたいという気持ちで仕事をしているので、あまりこれといった目標や野心はないんですけど、仕事の幅は広げたいなと思っています。インターネットだけじゃなく、やりたいことはたくさんあるんです。脚本を書いてみたいなとか、作詞してみたいなとか…。あまりに手を広げすぎると何をやっている人なのかわからなくなっちゃうので、まずは文章を軸にして、いろんなところでハッピーを届けられるようになりたいなと。今は書籍も書いていて、4月くらいに出るんです。それを経てまた、私がどんな手段をつかってハッピーを届けたいのかが、少しずつわかるんだろうなと思いますね。

リナさん
さえりさんがされているお仕事は、すごくクリエイター気質なお仕事ですよね。本当なら広告代理店とかが作らなければいけない企画とかも、ご自身でされているので。今は文章のお仕事に集中するとおっしゃっていますけど、いろいろとできることが多いんだろうなと。

さえりさん
うーん、そうですね。正直インフルエンサーとしての仕事とかも受けようと思ったら受けられるんですよ。商品を拡散するだけで10万円!とかね。でもそれはやらない、と決めているので。いつかは商品企画とかもやりたいですね。こういうものがあったら、みんながよろこぶなとかを考えることが好きなので、いろいろとやりたい。でも、マネージャーもいないので、そこは自分でコントロールしていかないといけなくて、どの時期にどんな仕事をしたらいいのかとかを考えると、禿げそうになりますね(笑)。

リナさん
マネージャー、欲しいですね。

さえりさん
マネージャーも欲しいし、相談できる人も欲しい。一人でやるのはすごく寂しいので。だから、リナさんみたいにどこかに所属しながらフリーでも仕事をやるというのが、一番オススメな働き方。

リナさん
それは、私もすごくオススメです!

さえりさん
寂しいですもんね。

リナさん
そうそう。あと、フリーランスだとお部屋も借りられないですし。

さえりさん
そうそう、私も大変でした。一人でやっているとほんとうに寂しいんですよ。だから今日はみなさんを前にお話しが出来て嬉しかったです。

リナさん
さえりさん、本日はどうもありがとうございました!

 

こうして、さえりさん、石井リナさんのお二人がキャリアについて語る対談が終了しました。

鋭い視点からの切り口で、みんなの聞きたいことをどんどん聞いてくださったリナさん。それに対して、どんなことでもさらりと笑顔でお話をしてくださったさえりさん。最後には同い年ということもあってか、お二人で共感され、盛り上がる場面が何度もあったこのトークセッション。そのトークを間近でお聞きになられていた参加者のみなさんも、多くの方が共感されたのではないでしょうか。

WOMAN CAREER Lab.は、全6回。次回は、でんぱ組inc.やPUFFYなどさまざまな有名アーティストの音楽プロデュースをされている、もふくちゃんがゲストです。ぜひ、次回のレポートもお楽しみに!

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